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一章
前世と今世
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「セシリア嬢!これくらいで泣いてどうするのです。王妃たるもの、涙を見せてはいけません!」
目の前にいる女の人が私を叱責する。
どこか見覚えのある顔だった。
(この人は……前世の私の……教育係……?)
思い出した。私の王妃教育を担当した講師たちのうちの一人だ。
たしか名前は――
その直後、鋭い痛みが手の甲に走った。
(!!!)
どうやら鞭で手の甲を叩かれたらしい。
(痛い……)
私は突如走った痛みに顔を歪めた。
その瞬間、場面が切り替わる。
(あれ……ここは……王宮……?)
私がいたのは王宮の廊下だった。
この場所にはあまり良い記憶がない。
早くここから立ち去りたい。
そうは思っても足は何故だか動かなかった。
それに視界が少しボヤけていて遠くのものがよく見えない。
王宮の廊下であるということはかろうじて分かるが。
(…………あれ?誰かこっちに向かって来てる)
私の方に誰かが向かってくるのが見えた。
だけど顔までは見えない。
その人物を視界に捉えた途端、私の足は勝手に動いた。
(……あれ、さっきはまるで動かなかったのに)
不思議だった。自分の意思とは関係なく体が動く。
まるで何らかの強制力が働いているかのようだ。
私が近づくにつれて、その人物の顔がハッキリと見えた。
(あ……)
驚くことに、こちらに向かって歩いてきていたのは成長した殿下だった。
それでも私が前世で最後に見た殿下よりかは少しだけ幼いから結婚する前だろうか。
私は殿下の前まで行くと彼の顔を見上げた。
殿下と私の視線がぶつかる。
殿下の瞳は私が少し前に見たものよりも鋭さを増していた。
何を考えているのか分からないが、私が来たことを不快に思っているのはたしかなようだ。
(…………怖い)
本当は今すぐにでもこの場から逃げ出したかったが、やはり体は言うことを聞いてくれない。
それなら目線だけでも、と思ったがそれすらも動かなかった。
困惑する私をよそに、今度は口が勝手に動いた。
「殿下、今日は殿下に差し入れを持ってきたんです」
そう言って私は殿下に差し入れを渡そうとする。
どうやらそのために殿下に近付いて行ったようだ。
殿下は相変わらず私を冷たい目で見下ろしている。
そして、一言こう言った。
「…………………いらん」
「…………え?」
殿下はどこまでも冷たかった。
顔も、声も、言葉も。
固まる私に殿下は告げた。
「そんなことをする暇があるのなら勉強でもしていろ。あと王宮ではあまり俺に話しかけてくるな」
「……」
そう言って殿下は私の横を通り過ぎていった。
彼の発した言葉に心がズタズタに切り裂かれている自分がいた。
こんなのはおかしい。
私はもう殿下のことが好きではないはず。
――なのに、何故こんなに胸が痛むのだろうか。
再び場面が切り替わった。
今度は公爵邸らしい。
私は自室にいた。
目線が先ほどよりもかなり低くなっているからまだ幼い頃の記憶だろう。
「おとうさまは?」
私は近くにいたメイドに尋ねた。
「旦那様はお仕事が忙しく、今日も戻られないかと……」
申し訳なさそうな顔をするメイド。
その周りにいる使用人たちも同じように目を伏せている。
「きょうはわたしのたんじょうびなのに……」
結局、その日は私と使用人たちだけで私の誕生日を祝った。
これらの光景には見覚えがあった。
間違いなく私が前世で体験してきたものだ。
どうしてなの?
どうして誰も私を愛してくれないの?
誰一人傍にいてくれないの?
どうして……
どこからか人の声が聞こえてくる。
「お前を愛してくれる人なんてこの先誰もいやしない」
「永遠に愛されない可哀そうな女」
「前世と同じ末路を辿るだろう」
――嫌ッ!
やめて!!!
それ以上言わないで!!!
聞きたくなくて耳を塞いだのに、私を嘲笑う声はだんだんと大きくなっていく。
私は、またあんな辛い思いをしなければいけないの……?
どうして、どうして私だけこんな目に遭わなければいけないの……?
私が一体何をしたというの……?
私はそのまま深い暗闇の中に取り残された。
「―――ッ!?」
目を覚ますと、見慣れた天井が目に入った。
(夢……だったのね……)
窓からは日の光が差し込んでいた。
もう起きる時間のようだ。
私はそのままベッドから上半身を起こして深呼吸をした。
そうすれば自然と心が落ち着いた。
まさか前世の夢を見るとは思いもしなかった。
夢の中で見たあれらは間違いなく前世で私が体験してきたことだった。
「……」
私はやはり前世に囚われている。
もう完全に忘れることが出来たと思っていたのに、まだ前世の傷が癒えきっていないらしい。
忘れかけてきた頃にこんな風にして出てくるだなんて本当に意地悪だなと思う。
どうして完全に忘れさせてくれないのだろうか。
――コンコン
「お嬢様、おはようございます」
そのとき、いつものようにミリアが部屋に入ってきた。
「ミリア……!」
ミリアの顔を見ると物凄く安心する。
私はベッドから出てギュッとミリアに抱き着いた。
こんな子供っぽいことをしたのはいつぶりだろうか。
それでも、こうせずにはいられなかった。
「お嬢様?どうしたのですか?」
ミリアはそんな私に困惑しているようだ。
「ミリア……」
私はその問いには答えずに、ただ彼女の名前を呼んだ。
そんな私をじっと見ていたミリアが尋ねた。
「もしかして、怖い夢でも見たのですか?」
「!」
どうやらミリアには全てお見通しのようだ。
彼女にだけは隠し事をしたくなかったため、私は正直に答えた。
「えぇ、とっても怖い夢を見たの。お前は誰からも愛されていないんだって言われる夢」
私がそう言うとミリアが少しかがんで私と目線を合わせて言った。
「お嬢様が誰にも愛されていないなんてそんなこと絶対にありえません。私共使用人は皆お嬢様が大好きです。マリアンヌ様たちご友人もいらっしゃるではありませんか。それに……リーナ様も天国からお嬢様のことをずっと見守っているでしょう」
「ミリア……」
優しいミリアの言葉に、心が落ち着いた。
前世の私はお父様には見向きもされなくて婚約者である殿下との仲も悪く、友達なんて一人もいなかった。
使用人たちとの仲だって決して良いとは言えなかった。
――だけど今は?
ミリアをはじめとした公爵邸の使用人達。
お茶会で出会ったマリアンヌ様たち。
そうだ、私には心強い味方がたくさんいるではないか。
――私はもう、一人じゃないんだ。
前世での私の末路が「運命」だと言うのなら、私はその運命を変えてみせる。
そして、自分の手で幸せをつかみ取るんだ――
目の前にいる女の人が私を叱責する。
どこか見覚えのある顔だった。
(この人は……前世の私の……教育係……?)
思い出した。私の王妃教育を担当した講師たちのうちの一人だ。
たしか名前は――
その直後、鋭い痛みが手の甲に走った。
(!!!)
どうやら鞭で手の甲を叩かれたらしい。
(痛い……)
私は突如走った痛みに顔を歪めた。
その瞬間、場面が切り替わる。
(あれ……ここは……王宮……?)
私がいたのは王宮の廊下だった。
この場所にはあまり良い記憶がない。
早くここから立ち去りたい。
そうは思っても足は何故だか動かなかった。
それに視界が少しボヤけていて遠くのものがよく見えない。
王宮の廊下であるということはかろうじて分かるが。
(…………あれ?誰かこっちに向かって来てる)
私の方に誰かが向かってくるのが見えた。
だけど顔までは見えない。
その人物を視界に捉えた途端、私の足は勝手に動いた。
(……あれ、さっきはまるで動かなかったのに)
不思議だった。自分の意思とは関係なく体が動く。
まるで何らかの強制力が働いているかのようだ。
私が近づくにつれて、その人物の顔がハッキリと見えた。
(あ……)
驚くことに、こちらに向かって歩いてきていたのは成長した殿下だった。
それでも私が前世で最後に見た殿下よりかは少しだけ幼いから結婚する前だろうか。
私は殿下の前まで行くと彼の顔を見上げた。
殿下と私の視線がぶつかる。
殿下の瞳は私が少し前に見たものよりも鋭さを増していた。
何を考えているのか分からないが、私が来たことを不快に思っているのはたしかなようだ。
(…………怖い)
本当は今すぐにでもこの場から逃げ出したかったが、やはり体は言うことを聞いてくれない。
それなら目線だけでも、と思ったがそれすらも動かなかった。
困惑する私をよそに、今度は口が勝手に動いた。
「殿下、今日は殿下に差し入れを持ってきたんです」
そう言って私は殿下に差し入れを渡そうとする。
どうやらそのために殿下に近付いて行ったようだ。
殿下は相変わらず私を冷たい目で見下ろしている。
そして、一言こう言った。
「…………………いらん」
「…………え?」
殿下はどこまでも冷たかった。
顔も、声も、言葉も。
固まる私に殿下は告げた。
「そんなことをする暇があるのなら勉強でもしていろ。あと王宮ではあまり俺に話しかけてくるな」
「……」
そう言って殿下は私の横を通り過ぎていった。
彼の発した言葉に心がズタズタに切り裂かれている自分がいた。
こんなのはおかしい。
私はもう殿下のことが好きではないはず。
――なのに、何故こんなに胸が痛むのだろうか。
再び場面が切り替わった。
今度は公爵邸らしい。
私は自室にいた。
目線が先ほどよりもかなり低くなっているからまだ幼い頃の記憶だろう。
「おとうさまは?」
私は近くにいたメイドに尋ねた。
「旦那様はお仕事が忙しく、今日も戻られないかと……」
申し訳なさそうな顔をするメイド。
その周りにいる使用人たちも同じように目を伏せている。
「きょうはわたしのたんじょうびなのに……」
結局、その日は私と使用人たちだけで私の誕生日を祝った。
これらの光景には見覚えがあった。
間違いなく私が前世で体験してきたものだ。
どうしてなの?
どうして誰も私を愛してくれないの?
誰一人傍にいてくれないの?
どうして……
どこからか人の声が聞こえてくる。
「お前を愛してくれる人なんてこの先誰もいやしない」
「永遠に愛されない可哀そうな女」
「前世と同じ末路を辿るだろう」
――嫌ッ!
やめて!!!
それ以上言わないで!!!
聞きたくなくて耳を塞いだのに、私を嘲笑う声はだんだんと大きくなっていく。
私は、またあんな辛い思いをしなければいけないの……?
どうして、どうして私だけこんな目に遭わなければいけないの……?
私が一体何をしたというの……?
私はそのまま深い暗闇の中に取り残された。
「―――ッ!?」
目を覚ますと、見慣れた天井が目に入った。
(夢……だったのね……)
窓からは日の光が差し込んでいた。
もう起きる時間のようだ。
私はそのままベッドから上半身を起こして深呼吸をした。
そうすれば自然と心が落ち着いた。
まさか前世の夢を見るとは思いもしなかった。
夢の中で見たあれらは間違いなく前世で私が体験してきたことだった。
「……」
私はやはり前世に囚われている。
もう完全に忘れることが出来たと思っていたのに、まだ前世の傷が癒えきっていないらしい。
忘れかけてきた頃にこんな風にして出てくるだなんて本当に意地悪だなと思う。
どうして完全に忘れさせてくれないのだろうか。
――コンコン
「お嬢様、おはようございます」
そのとき、いつものようにミリアが部屋に入ってきた。
「ミリア……!」
ミリアの顔を見ると物凄く安心する。
私はベッドから出てギュッとミリアに抱き着いた。
こんな子供っぽいことをしたのはいつぶりだろうか。
それでも、こうせずにはいられなかった。
「お嬢様?どうしたのですか?」
ミリアはそんな私に困惑しているようだ。
「ミリア……」
私はその問いには答えずに、ただ彼女の名前を呼んだ。
そんな私をじっと見ていたミリアが尋ねた。
「もしかして、怖い夢でも見たのですか?」
「!」
どうやらミリアには全てお見通しのようだ。
彼女にだけは隠し事をしたくなかったため、私は正直に答えた。
「えぇ、とっても怖い夢を見たの。お前は誰からも愛されていないんだって言われる夢」
私がそう言うとミリアが少しかがんで私と目線を合わせて言った。
「お嬢様が誰にも愛されていないなんてそんなこと絶対にありえません。私共使用人は皆お嬢様が大好きです。マリアンヌ様たちご友人もいらっしゃるではありませんか。それに……リーナ様も天国からお嬢様のことをずっと見守っているでしょう」
「ミリア……」
優しいミリアの言葉に、心が落ち着いた。
前世の私はお父様には見向きもされなくて婚約者である殿下との仲も悪く、友達なんて一人もいなかった。
使用人たちとの仲だって決して良いとは言えなかった。
――だけど今は?
ミリアをはじめとした公爵邸の使用人達。
お茶会で出会ったマリアンヌ様たち。
そうだ、私には心強い味方がたくさんいるではないか。
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