23 / 54
計画の実行
しおりを挟む
そして、計画を実行に移す日がやってくる。
私とクリスとお父様は王宮へ登城していた。
シャルル殿下、お父様、私とクリスの3つのグループで動いていく。
お父様は側妃様とアズリール侯爵のもとへ、シャルル殿下は国王陛下のもとへ向かっている。
そして私とクリスは王宮の廊下を歩いていた。
シャルル殿下からの話によるとエイドリアン殿下はローラン公爵邸を訪れたあの日からずっと自室にこもっているという。
隣にいたクリスが私に話しかける。
「エレン、エイドリアン殿下はどうやらあの平民の女にふられたらしいぞ。」
「えっ!うそっ!?」
私は驚きすぎて開いた口が塞がらなかった。
「ほんとだよ、王宮で話題になってるらしい。」
エイドリアン殿下がリサさんにふられたなんて・・・。
「どうして・・・」
「エレン、知らないのか?あの女は元々エイドリアン殿下の王太子という地位しか見ていなかったんだよ。その地位を失うかもしれないエイドリアン殿下はもうあの女にとっては必要ないんだ。」
「そ、そんな・・・。じゃあリサさんはエイドリアン殿下を愛していたのではなく王妃の座が欲しかっただけということ?」
「そういうことになるな。」
私は驚きと共に僅かな怒りを覚えた。
そんな人に・・・婚約者の座を奪われてしまうなんて・・・。
「まぁ普通に考えれば平民が王妃になれるわけがない。側妃にすらなれない身分だぞ。そのリサという女、勘違いも甚だしいな。」
クリスが少しだけ怒りを滲ませた声で言った。
「ええ、そうね・・・。でもクリスはどうしてリサさんのことをそこまで知っていたの?」
「お前が婚約者候補から外されたと知ってすぐにそのリサという女を調べたんだ。そしたらその女の裏の顔が次々と判明したよ。」
クリスが面白そうに言った。
「裏の顔?」
「何でもあの女、エイドリアン殿下以外の男とも親密な仲だったようだ。」
「え・・・。」
あの人、そこまでヤバい人だったのか・・・。
清廉潔白そうに見えて、実は裏でそんなことをしていたとは。
「エレン、考えてもみろよ。人の婚約者を奪うような女だぜ?他に男がいても不思議じゃないだろ?」
クリスは笑いながら私に尋ねる。
「た、たしかに・・・!」
言われてみればそうだ。
「じゃあエイドリアン殿下はそれが理由で部屋に閉じこもっているの?」
私が尋ねるとクリスは軽く頷く。
「あぁ、多分な。エイドリアン殿下だけはあの女に対して本気だったんだろうな。」
「・・・だけは?」
「っと、着いたぞ。」
気づけばエイドリアン殿下の自室の扉の前まで来ていた。
「エレン、準備はいいか?」
「えぇ、大丈夫よ。」
クリスと私は扉を開け、部屋へと乗り込んだ―
私とクリスとお父様は王宮へ登城していた。
シャルル殿下、お父様、私とクリスの3つのグループで動いていく。
お父様は側妃様とアズリール侯爵のもとへ、シャルル殿下は国王陛下のもとへ向かっている。
そして私とクリスは王宮の廊下を歩いていた。
シャルル殿下からの話によるとエイドリアン殿下はローラン公爵邸を訪れたあの日からずっと自室にこもっているという。
隣にいたクリスが私に話しかける。
「エレン、エイドリアン殿下はどうやらあの平民の女にふられたらしいぞ。」
「えっ!うそっ!?」
私は驚きすぎて開いた口が塞がらなかった。
「ほんとだよ、王宮で話題になってるらしい。」
エイドリアン殿下がリサさんにふられたなんて・・・。
「どうして・・・」
「エレン、知らないのか?あの女は元々エイドリアン殿下の王太子という地位しか見ていなかったんだよ。その地位を失うかもしれないエイドリアン殿下はもうあの女にとっては必要ないんだ。」
「そ、そんな・・・。じゃあリサさんはエイドリアン殿下を愛していたのではなく王妃の座が欲しかっただけということ?」
「そういうことになるな。」
私は驚きと共に僅かな怒りを覚えた。
そんな人に・・・婚約者の座を奪われてしまうなんて・・・。
「まぁ普通に考えれば平民が王妃になれるわけがない。側妃にすらなれない身分だぞ。そのリサという女、勘違いも甚だしいな。」
クリスが少しだけ怒りを滲ませた声で言った。
「ええ、そうね・・・。でもクリスはどうしてリサさんのことをそこまで知っていたの?」
「お前が婚約者候補から外されたと知ってすぐにそのリサという女を調べたんだ。そしたらその女の裏の顔が次々と判明したよ。」
クリスが面白そうに言った。
「裏の顔?」
「何でもあの女、エイドリアン殿下以外の男とも親密な仲だったようだ。」
「え・・・。」
あの人、そこまでヤバい人だったのか・・・。
清廉潔白そうに見えて、実は裏でそんなことをしていたとは。
「エレン、考えてもみろよ。人の婚約者を奪うような女だぜ?他に男がいても不思議じゃないだろ?」
クリスは笑いながら私に尋ねる。
「た、たしかに・・・!」
言われてみればそうだ。
「じゃあエイドリアン殿下はそれが理由で部屋に閉じこもっているの?」
私が尋ねるとクリスは軽く頷く。
「あぁ、多分な。エイドリアン殿下だけはあの女に対して本気だったんだろうな。」
「・・・だけは?」
「っと、着いたぞ。」
気づけばエイドリアン殿下の自室の扉の前まで来ていた。
「エレン、準備はいいか?」
「えぇ、大丈夫よ。」
クリスと私は扉を開け、部屋へと乗り込んだ―
211
あなたにおすすめの小説
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい
神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。
嘘でしょう。
その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。
そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。
「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」
もう誰かが護ってくれるなんて思わない。
ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。
だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。
「ぜひ辺境へ来て欲しい」
※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m
総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ ありがとうございます<(_ _)>
殿下が婚約破棄してくれたおかげで泥船から脱出できました。さて、私がいなくなったあと、そちらは大丈夫なのでしょうか?
水上
恋愛
「エリーゼ・フォン・アークライト! 貴様との婚約は、今この時をもって破棄する!」
そう言ってどんどん話を進めてく殿下に、私はとあるものを見せました。
「これは?」
「精算書でございます」
「は?」
私はファイルを丁寧に開き、一番上の書類を殿下の目の前に掲げました。
「こちらが、過去一〇年間にわたり、私が次期王妃教育のために費やした教育費、教師への謝礼金、および公務のために新調した衣装代、装飾品代の総額です。すべて領収書を添付しております」
会場がざわめき始めました。
私はさらにページをめくります。
「次に、こちらが殿下の公務補佐として私が代行した業務の労働対価。王宮の書記官の平均時給をベースに、深夜割増と休日出勤手当を加算しております」
「な、何を言って……」
「そして最後に、こちらが一方的な婚約破棄に対する精神的苦痛への慰謝料。これは判例に基づき、王族間の婚約破棄における最高額を設定させていただきました」
私はニッコリと微笑みました。
「締めて、金貨三億五千万枚。なお、支払いが遅れる場合は、年利一五パーセントの遅延損害金が発生いたします。複利計算で算出しておりますので、お早めのお支払いをお勧めいたしますわ」
大広間が完全なる静寂に包まれました。
三億五千万枚。
それは小国の国家予算にも匹敵する金額です。
「き、貴様……。金の話など、卑しいとは思わんのか!?」
震える声で殿下が叫びました。
私は首を傾げます。
「卑しい? とんでもない。これは、契約の不履行に対する正当な対価請求ですわ。殿下、ご存知ですか? 愛はプライスレスかもしれませんが、結婚は契約、生活はコストなのです」
私は殿下の胸ポケットに、その請求書を優しく差し込みました。
そうして泥舟から脱出できる喜びを感じていましたが、私がいなくなったあと、そちらは大丈夫なのでしょうか?
『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!
志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」
皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。
そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?
『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!
お前との婚約は、ここで破棄する!
ねむたん
恋愛
「公爵令嬢レティシア・フォン・エーデルシュタイン! お前との婚約は、ここで破棄する!」
華やかな舞踏会の中心で、第三王子アレクシス・ローゼンベルクがそう高らかに宣言した。
一瞬の静寂の後、会場がどよめく。
私は心の中でため息をついた。
【完結】王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!
冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。
ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。
事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw
初恋にケリをつけたい
志熊みゅう
恋愛
「初恋にケリをつけたかっただけなんだ」
そう言って、夫・クライブは、初恋だという未亡人と不倫した。そして彼女はクライブの子を身ごもったという。私グレースとクライブの結婚は確かに政略結婚だった。そこに燃えるような恋や愛はなくとも、20年の信頼と情はあると信じていた。だがそれは一瞬で崩れ去った。
「分かりました。私たち離婚しましょう、クライブ」
初恋とケリをつけたい男女の話。
☆小説家になろうの日間異世界(恋愛)ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18)
☆小説家になろうの日間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18)
☆小説家になろうの週間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/22)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる