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33 謎の人物
(この人は一体……?)
目の前に突如現れた謎の人物。
私は彼のことを知らない。
そしてそれは、私を襲おうとした男たちも同じだった。
「だ、誰だお前は!」
一人の男が倒されたのを見て、残る二人は狼狽えながらも謎の人物に立ち向かっていった。
が、しかし――
「ぐあっ!」
「グエエッ!」
彼は素早く後ろに回り込み、男たちの首に手刀を放った。
二人の男はうめき声を上げて気を失った。
(え、強!!!)
謎の人物はあっという間に三人の男を倒してみせたのだ。
その強さに驚きながらも、私はゆっくりと彼に近付いた。
(助けてくれたのかな……?)
目的がどうであれ、助けられたのは事実なのでお礼を言わなければならない。
そう思っていると、彼がくるりとこちらを振り向いた。
「あ……」
「……」
フードを深くかぶっていて顔はあまり見えなかったが、二つの碧眼がチラリと見えた。
それは暗闇の中から美しく光を放っていた。
(綺麗……)
思わず見惚れてしまうほどに美しかった。
「あ、あの……助けてくださってありがとうございます……」
「……」
彼は一言も発することなくただ私をじっと見つめていた。
(何かお礼をするべきだよね……?)
危機的状況を助けてもらったのだから何かしら礼をするべきだろう。
そう思った私は彼に声を掛けようとしたが――
「――こっちです!」
突然遠くから女性の声が聞こえた。
(あ……)
どうやら先ほど逃げた女性が警備兵を連れて戻って来たようだ。
「あ、あの……」
振り返ると、いつの間にか彼は姿を消していた。
「あ、あれ……?」
どこへ行ったんだろうと思って辺りを見回してみるも、どこにもいない。
どうやら既にこの場を去ってしまったようだ。
(お礼したかったのにな……)
せめて名前くらい聞いておけばよかった。
そう思いながらついさっきまで彼がいた場所をじっと見つめていると、戻って来た女性が私に話しかけた。
「あ、あの!大丈夫ですか?」
「ええ、平気ですよ」
「私のためにここまでしてくださるだなんて……ありがとうございます」
「いえ、お気になさらないでください」
それから気を失っていた男たちは、目覚めた後警備兵に連れて行かれることとなった。
***
「もう!どこ行っていたのよ、エミリア!」
「ア、アハハ……」
私はあの後、無事に三人の元へ戻ることが出来たが、案の定母親から厳しいお叱りを受けることになってしまった。
私を心配してそう言ってくれているのだということを分かっているので別に怖くはないが。
「子供でもないのに迷子だなんて!」
「ごめんって」
険しい剣幕のお母様に、周囲の人々がこちらに注目した。
(お母様……これ絶対今ここでするべきじゃない……)
それに気付いたお父様が私たちの会話に口を挟んだ。
「まぁまぁ、良いじゃないか。エミリアだって久しぶりの外出なんだ。浮かれていても無理はないだろう」
「あなた……」
その言葉にお母様はようやく落ち着きを取り戻したようだ。
私はふぅと安堵の息を吐いた。
(こういうときにいつも庇ってくれるのはお父様だったのよね)
お母様は昔からわりと厳しい人だが、お父様は私たち家族には比較的甘かった。
(お父様!ありがとう、助かったわ!)
お父様と目を合わせた私は、声に出すことなく唇を動かしてそう言った。
そんな私のメッセージに気付いたお父様がクスリと笑った。
目の前に突如現れた謎の人物。
私は彼のことを知らない。
そしてそれは、私を襲おうとした男たちも同じだった。
「だ、誰だお前は!」
一人の男が倒されたのを見て、残る二人は狼狽えながらも謎の人物に立ち向かっていった。
が、しかし――
「ぐあっ!」
「グエエッ!」
彼は素早く後ろに回り込み、男たちの首に手刀を放った。
二人の男はうめき声を上げて気を失った。
(え、強!!!)
謎の人物はあっという間に三人の男を倒してみせたのだ。
その強さに驚きながらも、私はゆっくりと彼に近付いた。
(助けてくれたのかな……?)
目的がどうであれ、助けられたのは事実なのでお礼を言わなければならない。
そう思っていると、彼がくるりとこちらを振り向いた。
「あ……」
「……」
フードを深くかぶっていて顔はあまり見えなかったが、二つの碧眼がチラリと見えた。
それは暗闇の中から美しく光を放っていた。
(綺麗……)
思わず見惚れてしまうほどに美しかった。
「あ、あの……助けてくださってありがとうございます……」
「……」
彼は一言も発することなくただ私をじっと見つめていた。
(何かお礼をするべきだよね……?)
危機的状況を助けてもらったのだから何かしら礼をするべきだろう。
そう思った私は彼に声を掛けようとしたが――
「――こっちです!」
突然遠くから女性の声が聞こえた。
(あ……)
どうやら先ほど逃げた女性が警備兵を連れて戻って来たようだ。
「あ、あの……」
振り返ると、いつの間にか彼は姿を消していた。
「あ、あれ……?」
どこへ行ったんだろうと思って辺りを見回してみるも、どこにもいない。
どうやら既にこの場を去ってしまったようだ。
(お礼したかったのにな……)
せめて名前くらい聞いておけばよかった。
そう思いながらついさっきまで彼がいた場所をじっと見つめていると、戻って来た女性が私に話しかけた。
「あ、あの!大丈夫ですか?」
「ええ、平気ですよ」
「私のためにここまでしてくださるだなんて……ありがとうございます」
「いえ、お気になさらないでください」
それから気を失っていた男たちは、目覚めた後警備兵に連れて行かれることとなった。
***
「もう!どこ行っていたのよ、エミリア!」
「ア、アハハ……」
私はあの後、無事に三人の元へ戻ることが出来たが、案の定母親から厳しいお叱りを受けることになってしまった。
私を心配してそう言ってくれているのだということを分かっているので別に怖くはないが。
「子供でもないのに迷子だなんて!」
「ごめんって」
険しい剣幕のお母様に、周囲の人々がこちらに注目した。
(お母様……これ絶対今ここでするべきじゃない……)
それに気付いたお父様が私たちの会話に口を挟んだ。
「まぁまぁ、良いじゃないか。エミリアだって久しぶりの外出なんだ。浮かれていても無理はないだろう」
「あなた……」
その言葉にお母様はようやく落ち着きを取り戻したようだ。
私はふぅと安堵の息を吐いた。
(こういうときにいつも庇ってくれるのはお父様だったのよね)
お母様は昔からわりと厳しい人だが、お父様は私たち家族には比較的甘かった。
(お父様!ありがとう、助かったわ!)
お父様と目を合わせた私は、声に出すことなく唇を動かしてそう言った。
そんな私のメッセージに気付いたお父様がクスリと笑った。
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