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52 既視感
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一週間後。
(ルーク、来てくれるかな……?)
平民が着るような質素なワンピースに着替えた私は、王宮の広場でルークを待っていた。
待ち合わせの時間まであと十分ある。
家族以外の男性と二人きりで出掛けるのは初めてだったのでかなり緊張していた私は、待ち合わせ時間よりもだいぶ早く来てしまったのである。
(彼が来てくれる保証なんてどこにも無いけど……)
「――おい」
「……!」
突然後ろから声をかけられたので振り返ると、そこにいたのはルークだった。
前と違ってローブを脱いでいる。
「ルーク!来てくれたのね!」
「……」
私が嬉しそうに駆け寄ると、彼は目を逸らした。
相変わらず無愛想だが、気にしない。
来てくれたというだけでも本当に嬉しかったから。
「さぁ、行きましょうルーク!もう予約してあるのよ!」
「お、おい……」
私はルークの腕を引っ張って歩き出した。
彼はかなり困惑しているようだったが、私の手を振り払うようなことはしなかった。
それから私たちは横並びで店までの道を歩いた。
私は隣を歩くルークに声をかけた。
「でも本当に嬉しい!まさか来てくれるなんて思ってなかったから」
私が感激したようにそう言うと、ルークは素っ気なくこう答えた。
「……女を悲しませちゃいけないって、昔母親が言ってた」
「あら、それで来てくれたの?とっても良いお母さんね!」
たしかに彼は出会ったときからずっと紳士的な人だった。
危機的状況を助けてくれたり、落とし物を届けてくれたり。
こんなにも男性に親切にしてもらうのは久しぶりだ。
(ルーク、すごい良い人じゃん!オリバー様と大違い!)
離婚して以来、家族以外の男性に苦手意識を抱いていた私だったが、彼となら良い関係を築いていけそうだ。
初めての異性の友人になるかもしれない。
もちろん、世の中の男性全員が悪い人だとは思っちゃいないけど。
彼に興味が湧いた私は、気になったことを尋ねた。
「ルークのお母さん、どんな人だったの?」
「……」
私の問いに、彼は何故か言葉を詰まらせた。
(あら、聞いちゃいけないことだったかしら?)
どうやら失言をしてしまったようだ。
「ご、ごめん!私、そんなつもりは無くて……」
「……いや、別に平気だ」
彼はそう言ったが、先ほどよりも明らかに表情が暗くなっている。
(私、やっちゃったみたい……)
後悔と罪悪感で胸がいっぱいになった。
それからしばらくの間、私たちの間には沈黙が流れた。
私は横を歩いている彼の顔を何気なくじっと見つめた。
(こうして見ると、結構カッコイイなぁ……)
ルークはかなり顔立ちが整っている。
知らない人からすれば、一国の王子だと言われても信じてしまうほどだ。
(それにしても、彼どこかで見たことあるような……)
私はまたしても、ルークに妙な既視感を覚えた。
前に再会したときから感じていた疑問だった。
昔、彼と会ったことがあるような気がしてならない。
(気のせいよね?私たちあのとき初めて会ったはずだし)
「……何だよ」
「あ」
私の視線に気付いたらしい彼が不快そうな顔で口を開いた。
嘘をつく理由も無かったので、正直に答えた。
「いやー、カッコイイなって思って!」
「……ッ!?」
素直な私の言葉に、ルークは顔を真っ赤に染めた。
「う、うるさい!」
「……」
耳まで真っ赤にして顔を逸らしたルークを見た私は思った。
(あれ?何か可愛い……)
もしかして、普段あまり褒められ慣れていないのだろうか。
想像とは違う彼の姿に、私は思わずクスリと笑みを溢した。
(ルーク、来てくれるかな……?)
平民が着るような質素なワンピースに着替えた私は、王宮の広場でルークを待っていた。
待ち合わせの時間まであと十分ある。
家族以外の男性と二人きりで出掛けるのは初めてだったのでかなり緊張していた私は、待ち合わせ時間よりもだいぶ早く来てしまったのである。
(彼が来てくれる保証なんてどこにも無いけど……)
「――おい」
「……!」
突然後ろから声をかけられたので振り返ると、そこにいたのはルークだった。
前と違ってローブを脱いでいる。
「ルーク!来てくれたのね!」
「……」
私が嬉しそうに駆け寄ると、彼は目を逸らした。
相変わらず無愛想だが、気にしない。
来てくれたというだけでも本当に嬉しかったから。
「さぁ、行きましょうルーク!もう予約してあるのよ!」
「お、おい……」
私はルークの腕を引っ張って歩き出した。
彼はかなり困惑しているようだったが、私の手を振り払うようなことはしなかった。
それから私たちは横並びで店までの道を歩いた。
私は隣を歩くルークに声をかけた。
「でも本当に嬉しい!まさか来てくれるなんて思ってなかったから」
私が感激したようにそう言うと、ルークは素っ気なくこう答えた。
「……女を悲しませちゃいけないって、昔母親が言ってた」
「あら、それで来てくれたの?とっても良いお母さんね!」
たしかに彼は出会ったときからずっと紳士的な人だった。
危機的状況を助けてくれたり、落とし物を届けてくれたり。
こんなにも男性に親切にしてもらうのは久しぶりだ。
(ルーク、すごい良い人じゃん!オリバー様と大違い!)
離婚して以来、家族以外の男性に苦手意識を抱いていた私だったが、彼となら良い関係を築いていけそうだ。
初めての異性の友人になるかもしれない。
もちろん、世の中の男性全員が悪い人だとは思っちゃいないけど。
彼に興味が湧いた私は、気になったことを尋ねた。
「ルークのお母さん、どんな人だったの?」
「……」
私の問いに、彼は何故か言葉を詰まらせた。
(あら、聞いちゃいけないことだったかしら?)
どうやら失言をしてしまったようだ。
「ご、ごめん!私、そんなつもりは無くて……」
「……いや、別に平気だ」
彼はそう言ったが、先ほどよりも明らかに表情が暗くなっている。
(私、やっちゃったみたい……)
後悔と罪悪感で胸がいっぱいになった。
それからしばらくの間、私たちの間には沈黙が流れた。
私は横を歩いている彼の顔を何気なくじっと見つめた。
(こうして見ると、結構カッコイイなぁ……)
ルークはかなり顔立ちが整っている。
知らない人からすれば、一国の王子だと言われても信じてしまうほどだ。
(それにしても、彼どこかで見たことあるような……)
私はまたしても、ルークに妙な既視感を覚えた。
前に再会したときから感じていた疑問だった。
昔、彼と会ったことがあるような気がしてならない。
(気のせいよね?私たちあのとき初めて会ったはずだし)
「……何だよ」
「あ」
私の視線に気付いたらしい彼が不快そうな顔で口を開いた。
嘘をつく理由も無かったので、正直に答えた。
「いやー、カッコイイなって思って!」
「……ッ!?」
素直な私の言葉に、ルークは顔を真っ赤に染めた。
「う、うるさい!」
「……」
耳まで真っ赤にして顔を逸らしたルークを見た私は思った。
(あれ?何か可愛い……)
もしかして、普段あまり褒められ慣れていないのだろうか。
想像とは違う彼の姿に、私は思わずクスリと笑みを溢した。
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