5 / 17
本編
謁見
しおりを挟む
私はあの後、馬車に乗り王宮に来ていた。
そして今、国王陛下と王妃陛下の御前にいる。
私は膝をつき、頭を下げる。
貴族令嬢ならカーテシーだが私はもう平民なのだ。
「よく来てくれたな。リリス嬢。」
そう言ったのは国王陛下だ。
「リリス嬢、そんなにかしこまらないで。顔を上げてちょうだい。」
私は恐る恐る顔を上げる。
二人とも数年前見た姿のままだった。
「リリス嬢、今日あなたを呼んだのはあなたの家族であるオーギュスト公爵家についてなのだけれど・・・。」
王妃陛下が切り出す。
「シルビア嬢は今、牢屋に入れてあるわ。」
・・・・・・・・・え?
「な、何故・・・。」
シルビアが牢屋に入れられている?
そんなのはオーギュスト公爵家が許さないはずだ。
だってオーギュスト公爵家はシルビアを溺愛していたのだから。
「彼女、どうやら魅了魔法を使っていたみたいなのよ。」
―魅了。
それはこの国で「禁忌」とされている魔法だ。
男女問わず自分に心酔させることができる恐ろしい魔法。
それをシルビアが使っていたというのか。
「リリス嬢、あの女のせいで今まで辛い思いをしてきたんだろう?詳しく教えてくれないか?」
国王陛下が私に尋ねた。
そして私は国王陛下と王妃陛下に公爵邸での出来事を一つ一つ話し始める。
十歳でシルビアが公爵邸に訪れてからみんなが私を冷遇にするようになったこと、暴言を吐かれたこと、邸でいつもいないもの扱いされたこと、婚約者を奪われ、勘当されたこと。
「なんてひどい・・・!それも全てあの女のせいね。」
「公爵たちは今君にしでかしたことを理解して物凄い後悔に苛まれている。どうやら夜も眠れないようだ。」
(まぁ、あの人たちが・・・。)
驚くほどなんとも思わなかった。
私にとってあの人たちのことなんてどうでもいいようだ。
「それで、リリス嬢。王妃が、個人的に君に話をしたいと言っている。」
「ええ、リリス嬢と話したいことがあるの。」
王妃陛下が・・・?
一体何なのだろう。
私は別室へと通された。
王妃陛下が人払いをし、話し始める。
「調査で判明したことですがシルビア嬢の魅了は高位貴族でも自力で解けないほど強力なものでした。」
王妃陛下は私をじっと見据えて言葉を続ける。
「それなのに、あなたはその魅了にかかることはなかった。つまり―」
あなたには、聖女としての資質があります―
王妃陛下から告げられた言葉は衝撃的だった。
私に聖女としての資質がある?
「聖女は普通は王族と結婚しますが・・・私はようやく幸せを掴み取ったあなたをまた縛らせたくない。そう思いました。」
「王妃陛下・・・。」
「あなたには愛する人がいる。もし、聖女としてこの国を支えてくれるのならば、あなたに公爵位を授けましょう。その愛する人を夫として迎え、義理の両親たちにも何不自由ない暮らしを約束します。ちなみにあなたが聖女の資質を持っていることは国王陛下もまだ知らないから安心してね。」
王妃陛下の提案は一介の平民からすればとんでもないものだろう。
だけど私は・・・
そして今、国王陛下と王妃陛下の御前にいる。
私は膝をつき、頭を下げる。
貴族令嬢ならカーテシーだが私はもう平民なのだ。
「よく来てくれたな。リリス嬢。」
そう言ったのは国王陛下だ。
「リリス嬢、そんなにかしこまらないで。顔を上げてちょうだい。」
私は恐る恐る顔を上げる。
二人とも数年前見た姿のままだった。
「リリス嬢、今日あなたを呼んだのはあなたの家族であるオーギュスト公爵家についてなのだけれど・・・。」
王妃陛下が切り出す。
「シルビア嬢は今、牢屋に入れてあるわ。」
・・・・・・・・・え?
「な、何故・・・。」
シルビアが牢屋に入れられている?
そんなのはオーギュスト公爵家が許さないはずだ。
だってオーギュスト公爵家はシルビアを溺愛していたのだから。
「彼女、どうやら魅了魔法を使っていたみたいなのよ。」
―魅了。
それはこの国で「禁忌」とされている魔法だ。
男女問わず自分に心酔させることができる恐ろしい魔法。
それをシルビアが使っていたというのか。
「リリス嬢、あの女のせいで今まで辛い思いをしてきたんだろう?詳しく教えてくれないか?」
国王陛下が私に尋ねた。
そして私は国王陛下と王妃陛下に公爵邸での出来事を一つ一つ話し始める。
十歳でシルビアが公爵邸に訪れてからみんなが私を冷遇にするようになったこと、暴言を吐かれたこと、邸でいつもいないもの扱いされたこと、婚約者を奪われ、勘当されたこと。
「なんてひどい・・・!それも全てあの女のせいね。」
「公爵たちは今君にしでかしたことを理解して物凄い後悔に苛まれている。どうやら夜も眠れないようだ。」
(まぁ、あの人たちが・・・。)
驚くほどなんとも思わなかった。
私にとってあの人たちのことなんてどうでもいいようだ。
「それで、リリス嬢。王妃が、個人的に君に話をしたいと言っている。」
「ええ、リリス嬢と話したいことがあるの。」
王妃陛下が・・・?
一体何なのだろう。
私は別室へと通された。
王妃陛下が人払いをし、話し始める。
「調査で判明したことですがシルビア嬢の魅了は高位貴族でも自力で解けないほど強力なものでした。」
王妃陛下は私をじっと見据えて言葉を続ける。
「それなのに、あなたはその魅了にかかることはなかった。つまり―」
あなたには、聖女としての資質があります―
王妃陛下から告げられた言葉は衝撃的だった。
私に聖女としての資質がある?
「聖女は普通は王族と結婚しますが・・・私はようやく幸せを掴み取ったあなたをまた縛らせたくない。そう思いました。」
「王妃陛下・・・。」
「あなたには愛する人がいる。もし、聖女としてこの国を支えてくれるのならば、あなたに公爵位を授けましょう。その愛する人を夫として迎え、義理の両親たちにも何不自由ない暮らしを約束します。ちなみにあなたが聖女の資質を持っていることは国王陛下もまだ知らないから安心してね。」
王妃陛下の提案は一介の平民からすればとんでもないものだろう。
だけど私は・・・
805
あなたにおすすめの小説
【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた
堀 和三盆
恋愛
「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」
ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、婚約者からの贈り物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。
どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。お父様に相談しても「いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」と、話にならない。仕方なく義妹の欲しがるものは渡しているが、いい加減それも面倒になってきた。
――何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので。
ここは手っ取り早く魔法使いに頼んで。
義妹が『ずるい』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。
【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?
星野真弓
恋愛
十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。
だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。
そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。
しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――
「今日から妹も一緒に住む」幼馴染と結婚したら彼の妹もついてきた。妹を溺愛して二人の生活はすれ違い離婚へ。
佐藤 美奈
恋愛
「今日から妹のローラも一緒に住むからな」
ミカエルから突然言われてクロエは寝耳に水の話だった。伯爵家令嬢一人娘のクロエは、幼馴染のミカエル男爵家の次男と結婚した。
クロエは二人でいつまでも愛し合って幸福に暮らせると思っていた。だがミカエルの妹ローラの登場で生活が変わっていく。クロエとローラは学園に通っていた時から仲が悪く何かと衝突していた。
住んでいる邸宅はクロエの亡き両親が残してくれたクロエの家で財産。クロエがこの家の主人なのに、入り婿で立場の弱かったミカエルが本性をあらわして、我儘言って好き放題に振舞い始めた。
[完結]だってあなたが望んだことでしょう?
青空一夏
恋愛
マールバラ王国には王家の血をひくオルグレーン公爵家の二人の姉妹がいる。幼いころから、妹マデリーンは姉アンジェリーナのドレスにわざとジュースをこぼして汚したり、意地悪をされたと嘘をついて両親に小言を言わせて楽しんでいた。
アンジェリーナの生真面目な性格をけなし、勤勉で努力家な姉を本の虫とからかう。妹は金髪碧眼の愛らしい容姿。天使のような無邪気な微笑みで親を味方につけるのが得意だった。姉は栗色の髪と緑の瞳で一見すると妹よりは派手ではないが清楚で繊細な美しさをもち、知性あふれる美貌だ。
やがて、マールバラ王国の王太子妃に二人が候補にあがり、天使のような愛らしい自分がふさわしいと、妹は自分がなると主張。しかし、膨大な王太子妃教育に我慢ができず、姉に代わってと頼むのだがーー
【完結】「お姉様は出かけています。」そう言っていたら、お姉様の婚約者と結婚する事になりました。
まりぃべる
恋愛
「お姉様は…出かけています。」
お姉様の婚約者は、お姉様に会いに屋敷へ来て下さるのですけれど、お姉様は不在なのです。
ある時、お姉様が帰ってきたと思ったら…!?
☆★
全8話です。もう完成していますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります
恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」
「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」
十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。
再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、
その瞬間に決意した。
「ええ、喜んで差し上げますわ」
将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。
跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、
王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。
「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」
聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる