6 / 17
本編
決別
しおりを挟む
私は王妃陛下と別れて、王宮の廊下を歩いていた。
(それにしても・・・シルビアが牢に入れられたことといい、私に聖女の資質があったこと・・・驚きの連続だわ。)
そう思いながら廊下を歩いていた、その時―
「リリス・・・なのか?」
背後から声が聞こえてきた。
私が振り返ると―
そこにはひどくやつれた様子の人間が四人、立っていた。
(・・・なぜ彼らがここにいるの?)
間違いない。
公爵邸で私を虐げた公爵と公爵夫人と公爵令息。そして、婚約を解消しシルビアを選んだ元婚約者。
(家族だった人と、婚約者だった人・・・。)
私は国王陛下にした時と同じように床に膝をついて頭を下げる。
「オーギュスト公爵閣下、公爵夫人、公爵令息様、ヘンドリック公爵令息様。私に何か御用でしょうか?」
「リリス・・・・。」
呆気にとられた公爵の声が聞こえた。
「リリス、そんな風にしなくてもいいじゃない。私たちは家族なのだから。」
公爵夫人が言った。
「いえ、私は平民ですから。」
「っ・・・・。」
「リリス、今までのことは悪かった。だからどうか家に帰ってきてくれないか。」
そう言ったのはオーギュスト公爵令息だ。
「先ほども言いましたが今の私はただの平民でございます。平民が公爵邸に足を踏み入れるわけにはいきません。」
「リリス・・・。」
「リリス、僕もシルビアの魅了にやられていた。君のことが好きなんだ。もう一度、やり直したい。」
次に出てきたのはヘンドリック公爵令息だ。
「平民が公爵令息様と結ばれるわけにはいきません。」
「・・・・」
途端に押し黙った。
顔を上げると、四人全員が辛く、苦しく、悲しそうな表情を浮かべていた。
(自分たちは被害者ですって感じの顔ね。)
「私は、公爵邸に戻る気はありません。」
自分の考えをハッキリと告げる。
「な、何故だ!?公爵令嬢として暮らせば宝石やドレス、欲しい物は何でも手に入るんだぞ!?」
「リリス、もしかしてまたあんなことをされるのが怖いの?大丈夫よ、私たちはもうあんな過ちを犯したりしない。」
「そうだ、もうシルビアはいないから安心して邸へ戻ってきていいんだ。」
「リリスは私のことを慕っていただろう?今度こそ結婚しよう。」
四人が口々に言った。
「私は・・・どうしても思い出せないのです。確かに、十歳の頃までは貴方達に愛されていたと思います。ですが、その時のことがもうほとんど思い出せません。今の私にとって貴方達は家族だった人たちです。それ以上でもそれ以下でもありません。それに私には・・・新しい家族がいるのです。」
そう言って私は四人に背を向ける。
「ま、待てリリス!新しい家族ってな―」
公爵が言いかけたその時、私の目の前に会いたくて仕方がなかった人が現れたのだ。
「リリッ!」
「・・・ロン?」
ロンは笑顔でこちらへ駆け寄ってくる。
「どうしてここにいるの?」
「王妃様と王様に特別に許可をもらったんだ。親父とお袋もあそこにいるよ。」
「「リリちゃん!!」」
「お義父様!お義母様!」
私たちは再会の抱擁を交わした。
公爵たち四人はそんなリリスの姿をずっと見ていた。
「・・・リリス。」
公爵たちの目に映るそれは、まさに絵に描いたような”幸せな家族”だった―
(それにしても・・・シルビアが牢に入れられたことといい、私に聖女の資質があったこと・・・驚きの連続だわ。)
そう思いながら廊下を歩いていた、その時―
「リリス・・・なのか?」
背後から声が聞こえてきた。
私が振り返ると―
そこにはひどくやつれた様子の人間が四人、立っていた。
(・・・なぜ彼らがここにいるの?)
間違いない。
公爵邸で私を虐げた公爵と公爵夫人と公爵令息。そして、婚約を解消しシルビアを選んだ元婚約者。
(家族だった人と、婚約者だった人・・・。)
私は国王陛下にした時と同じように床に膝をついて頭を下げる。
「オーギュスト公爵閣下、公爵夫人、公爵令息様、ヘンドリック公爵令息様。私に何か御用でしょうか?」
「リリス・・・・。」
呆気にとられた公爵の声が聞こえた。
「リリス、そんな風にしなくてもいいじゃない。私たちは家族なのだから。」
公爵夫人が言った。
「いえ、私は平民ですから。」
「っ・・・・。」
「リリス、今までのことは悪かった。だからどうか家に帰ってきてくれないか。」
そう言ったのはオーギュスト公爵令息だ。
「先ほども言いましたが今の私はただの平民でございます。平民が公爵邸に足を踏み入れるわけにはいきません。」
「リリス・・・。」
「リリス、僕もシルビアの魅了にやられていた。君のことが好きなんだ。もう一度、やり直したい。」
次に出てきたのはヘンドリック公爵令息だ。
「平民が公爵令息様と結ばれるわけにはいきません。」
「・・・・」
途端に押し黙った。
顔を上げると、四人全員が辛く、苦しく、悲しそうな表情を浮かべていた。
(自分たちは被害者ですって感じの顔ね。)
「私は、公爵邸に戻る気はありません。」
自分の考えをハッキリと告げる。
「な、何故だ!?公爵令嬢として暮らせば宝石やドレス、欲しい物は何でも手に入るんだぞ!?」
「リリス、もしかしてまたあんなことをされるのが怖いの?大丈夫よ、私たちはもうあんな過ちを犯したりしない。」
「そうだ、もうシルビアはいないから安心して邸へ戻ってきていいんだ。」
「リリスは私のことを慕っていただろう?今度こそ結婚しよう。」
四人が口々に言った。
「私は・・・どうしても思い出せないのです。確かに、十歳の頃までは貴方達に愛されていたと思います。ですが、その時のことがもうほとんど思い出せません。今の私にとって貴方達は家族だった人たちです。それ以上でもそれ以下でもありません。それに私には・・・新しい家族がいるのです。」
そう言って私は四人に背を向ける。
「ま、待てリリス!新しい家族ってな―」
公爵が言いかけたその時、私の目の前に会いたくて仕方がなかった人が現れたのだ。
「リリッ!」
「・・・ロン?」
ロンは笑顔でこちらへ駆け寄ってくる。
「どうしてここにいるの?」
「王妃様と王様に特別に許可をもらったんだ。親父とお袋もあそこにいるよ。」
「「リリちゃん!!」」
「お義父様!お義母様!」
私たちは再会の抱擁を交わした。
公爵たち四人はそんなリリスの姿をずっと見ていた。
「・・・リリス。」
公爵たちの目に映るそれは、まさに絵に描いたような”幸せな家族”だった―
946
あなたにおすすめの小説
【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた
堀 和三盆
恋愛
「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」
ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、婚約者からの贈り物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。
どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。お父様に相談しても「いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」と、話にならない。仕方なく義妹の欲しがるものは渡しているが、いい加減それも面倒になってきた。
――何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので。
ここは手っ取り早く魔法使いに頼んで。
義妹が『ずるい』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。
【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?
星野真弓
恋愛
十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。
だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。
そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。
しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――
「今日から妹も一緒に住む」幼馴染と結婚したら彼の妹もついてきた。妹を溺愛して二人の生活はすれ違い離婚へ。
佐藤 美奈
恋愛
「今日から妹のローラも一緒に住むからな」
ミカエルから突然言われてクロエは寝耳に水の話だった。伯爵家令嬢一人娘のクロエは、幼馴染のミカエル男爵家の次男と結婚した。
クロエは二人でいつまでも愛し合って幸福に暮らせると思っていた。だがミカエルの妹ローラの登場で生活が変わっていく。クロエとローラは学園に通っていた時から仲が悪く何かと衝突していた。
住んでいる邸宅はクロエの亡き両親が残してくれたクロエの家で財産。クロエがこの家の主人なのに、入り婿で立場の弱かったミカエルが本性をあらわして、我儘言って好き放題に振舞い始めた。
[完結]だってあなたが望んだことでしょう?
青空一夏
恋愛
マールバラ王国には王家の血をひくオルグレーン公爵家の二人の姉妹がいる。幼いころから、妹マデリーンは姉アンジェリーナのドレスにわざとジュースをこぼして汚したり、意地悪をされたと嘘をついて両親に小言を言わせて楽しんでいた。
アンジェリーナの生真面目な性格をけなし、勤勉で努力家な姉を本の虫とからかう。妹は金髪碧眼の愛らしい容姿。天使のような無邪気な微笑みで親を味方につけるのが得意だった。姉は栗色の髪と緑の瞳で一見すると妹よりは派手ではないが清楚で繊細な美しさをもち、知性あふれる美貌だ。
やがて、マールバラ王国の王太子妃に二人が候補にあがり、天使のような愛らしい自分がふさわしいと、妹は自分がなると主張。しかし、膨大な王太子妃教育に我慢ができず、姉に代わってと頼むのだがーー
【完結】「お姉様は出かけています。」そう言っていたら、お姉様の婚約者と結婚する事になりました。
まりぃべる
恋愛
「お姉様は…出かけています。」
お姉様の婚約者は、お姉様に会いに屋敷へ来て下さるのですけれど、お姉様は不在なのです。
ある時、お姉様が帰ってきたと思ったら…!?
☆★
全8話です。もう完成していますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります
恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」
「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」
十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。
再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、
その瞬間に決意した。
「ええ、喜んで差し上げますわ」
将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。
跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、
王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。
「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」
聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる