おかしくなったのは、彼女が我が家にやってきてからでした。

ましゅぺちーの

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本編

王と王妃

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「王妃、話はついたのか?」


別室から戻った王妃に尋ねたのは夫である国王だ。


すでに王は四十を過ぎているがまだ若々しかった。


「ええ。」


王妃はリリスとの会話を思い出しながら答えた。





「私には必要ありません。私は今までのように愛する人たちと暮らせればそれでいいのです。きっとその方たちも同じように答えるでしょう。」






(決意を固めた目をしていたわ・・・。)


そんな王妃を見た国王が尋ねた。


「リリス嬢には、聖女の資質があったんだろう?」


王妃は驚いた顔で国王を見る。


「・・・気づいていたの?」


「私は馬鹿ではない。あまり見くびるなよ?」


国王は苦笑いしながら王妃に話した。


「・・・気づいていたなら何故、リリス嬢を引き止めなかったの?一国の王ならば無理矢理にでもリリス嬢を聖女認定してここにいさせるべきだったでしょう。」


王妃が尋ねると国王は王妃をじっと見つめて、口を開いた。


「たしかに、国のことを第一に考えるのであればそうするのが最善だと言えるだろう。・・・だが、そうすることができなかった。」


「だから何故?私が知るあなたはいつも国のこと優先するような人だったと思うのだけれど。」


王妃が不思議そうに尋ねた。


「・・・昔の君に似ていたから。」


「・・・・え?」


「リリス嬢がまだ公爵邸にいた頃、王家主催の舞踏会に時々姿を出していただろう?その時の目が、まるで昔の君のようだった。侯爵家を追い出され、路頭に迷っていた君に。」


「・・・」


王妃は驚きで目を見開いた。


「オーギュスト公爵家は家族仲がいいことで有名だったし、私の勘違いだと思っていたんだがな。リリス嬢には謝罪を―」


「リリス嬢はきっとそんなこと望んでいないわ。」


王妃が国王の言葉を遮る。


「リリス嬢はたしかに公爵邸で辛い思いをしていた。だけどその過去があってこそ今のリリス嬢がいるのよ。愛する人と、本当の幸せを掴み取ったリリス嬢が。・・・私のようにね。」


王妃はそう言って少し顔を赤くして国王を見つめた。


「・・・そうか。」


国王は優しい瞳で王妃を見つめ返す。


「それで、シルビアとオーギュスト公爵家、ヘンドリック公爵家の令息はどうするつもりなの?」


「シルビアは処刑する。オーギュスト公爵家とヘンドリック公爵令息はリリス嬢を虐げたのは事実だが・・・彼らはシルビアの魅了にやられていただけだ。どうするべきか・・・。」


国王の言葉に王妃はクスクスと笑った。


「その方たちに関しては大丈夫よ。」


「・・・なんだと?」


「きっと今頃絶望しているでしょうね。」


そう言いながらクスクス笑う王妃を見て、国王はこの先、この人には絶対に逆らえないなと思うのだった。

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