虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する

ましゅぺちーの

文字の大きさ
33 / 41
皇太子アルフレッド編

皇帝と皇后

しおりを挟む
それからプリシラは今にも倒れそうなキャサリンを支えて部屋へと戻って行った。


私はそれを確認して皇帝の部屋の中へ入った。


―ガチャ


部屋の扉を開けて中に入る。


「・・・!」


ベッドの上には、だいぶ弱った皇帝が横になっていた。


(・・・本当にあと少しで死にそうだな。)


「うう・・・アルフレッドか・・・?」


「はい、私です。父上。」


もう喋る気力も無いだろうに。


それでも皇帝は私に対して話し続ける。


「アルフレッド・・・私はもう長くない・・・私が死んだらキャサリンとプリシラを頼む・・・。」


皇帝は弱々しい声でそう言った。


最後まであの二人の心配をする皇帝に腹が立つ。


(キャサリンとプリシラを頼むだと?)


私の答えは決まっている。


「嫌です。」


「・・・何だと?」


皇帝は私の言葉に驚いた顔をした。


「ですから、嫌だと言ったのです。」


「なっ、何故だ!?」


皇帝に反抗するのは初めてだ。


私は今までずっと「父の言うことを何でも聞く良い息子」だったのだから。


「父上。私の母親はキャサリンではない。皇后フレアだ。」


「あの女の名前を出すな・・・!」


(あの女・・・。母上のことが本当に嫌いなようだ。)


私は皇帝が母を嫌っている理由を知っていた。


今となっては信じられないだろうが皇帝と皇后は昔は仲の良い夫婦だった。


父上も母上をそれなりに大切にしていたように見えた。


しかし、ある一人の女の登場によって全てが壊れてしまったのだ。


皇后フレアは容姿端麗で才女と呼ばれ誰に対しても優しく接する、まさに貴族令嬢の鑑だった。


それに加えて王家に次ぐ権力を持つ公爵家の令嬢。


そんな彼女には他国からも縁談が山ほど来ていたという。


心優しく美しい少女を令息たちは皆婚約者にしたがった。


驚くことに、皇帝もそのうちの一人だったらしい。


皇帝は先代皇帝陛下の唯一の子供で、お世辞にも優秀な皇子とは言えなかった。


貴族たちは皆皇太子時代の皇帝を「無能な皇子」と罵ったという。


父帝や母后は息子を庇うどころか叱責したそうだ。


「お前が努力しないからだ。」と。


両親は彼を愛していたわけではなかったのだ。


何故フレアがそんな皇太子に嫁ぐことになったのか。


それは先代皇帝が命令したわけでも、皇帝が無理矢理婚約者に据えたわけでもない。


フレアが皇太子に嫁ぐことを強く望んだそうだ。


フレアは皇太子に恋をしていた。


皇太子は確かに無能だった。


しかし心優しい人物だった。


フレアは他の高位貴族の令息たちのように傲慢なところが一切無い皇太子に心惹かれたのだ。


そして二人は婚約を結んだ。


皇太子も自分を初めて愛してくれるフレアに心を開いていく。


二人は仲の良い婚約者だった。


しばらくして皇太子は皇帝になり、フレアは皇帝と結婚して皇后になった。


それから第一子である皇子アルフレッドが生まれ、その数年後に第二子となる皇女シャーロットも生まれた。


この頃までは幸せだった。


しかしここから二人を悲劇が襲った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?

チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。 そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。 約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。 しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。 もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。 リディアは知らなかった。 自分の立場が自国でどうなっているのかを。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。 妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。 しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。 父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。 レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。 その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。 だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。

〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。

藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。 学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。 そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。 それなら、婚約を解消いたしましょう。 そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません

天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。 ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。 屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。 家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。

他の人を好きになったあなたを、私は愛することができません

天宮有
恋愛
 公爵令嬢の私シーラの婚約者レヴォク第二王子が、伯爵令嬢ソフィーを好きになった。    第三王子ゼロアから聞いていたけど、私はレヴォクを信じてしまった。  その結果レヴォクに協力した国王に冤罪をかけられて、私は婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。  追放された私は他国に行き、数日後ゼロアと再会する。  ゼロアは私を追放した国王を嫌い、国を捨てたようだ。  私はゼロアと新しい生活を送って――元婚約者レヴォクは、後悔することとなる。

処理中です...