からふる〜名前に色が入っている殺人鬼達の殺人回想録〜

望月ナナコ

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22【ミキ視点】

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・・・ん?・・・・・???

どんよりとした感覚が徐々に定まっていく時、私は自分が夢と現実の狭間にたたずんでいるんだろうと思っていた。

そこには暗闇の中で身動きのとれない、まるで蜘蛛の巣に引っかかった蝶のような自分がいた。動きたいけど動けない、何かに囚われているというゾッとする危機感。

お酒を飲んだ後やこたつで寝た時、いつもとは違う状況で夢を見ると変な夢を見るものだ。薬で眠らされていた事実も相まって、私は嫌な蜃気楼で包まれ、苛まれながら現実の世界に辿り着こうとしていた。

・・・痛っ。

ーージャラ。

自分が動くと共に真上から思いもしない音が聞こえてきた。

・・・・・何これ。

そしてその音をはっきり聞いた事が自分が見ていたのは夢では無いと強く実感させた。

腕を離そうとしても下に降ろそうとしても鎖の音がするだけでどうにも動かなかった。足の方も片足ずつ何かに繋がれているようで大きく動かす事は出来なかった。

それに加えて目が覚めたはずの自分の視界は真っ暗で今が朝なのか夜なのかも分からない。

ベッドに乗っている感覚で自分が服を着ていない事を知った。という事はあの時のまま・・・?

サトルさん・・・サトルさんは一体何処に行ったんだろうか?

これは・・・サトルさんにも何かあった・・・・・それとも、サトルさんが・・・。

そう思った時、遠くからこちらに歩いてくる音が聞こえてきた。

コツン、コツン、コツン,コツン・・・。

ーーーカチャ。

そして、鍵を回す音がした。

「・・・・・サトルさん・・・?」

私は怖くて小さい声しか出なく、震えた声でそう呟いた。

「・・・・・やあ、目覚めたかい?気分はどう?」

サトルさんは思いの外明るい口調で私にそう聞いてきた。

「サトルさん・・・これ・・・これはどういう・・・。」

その時の私はああ、サトルさんはこういう趣味を持っているのかと衝撃を受けていた。誰にだって人には言えない秘密はあるものだ。

カッコイイサトルさんが未だに誰のものでも無いのはこういう理由があったからなのだと。

それにこうも思っていた。拘束されるくらいなら全然、構わないと。

「ミキは・・・運命って、信じるかい?」

「・・・運命、ですか?」

「君とボクが出会ったあの日から、もうこの結末は決まっていたのかもしれないね。」

「・・・結末?」

そして結末という言葉を聞いて初めてサトルさんに違和感を感じたんだ。

「ミキの事は愛しているよ・・・それは嘘じゃない、信じて欲しい。でも・・・だからこそ、今日もう一度ボクと一つになって欲しい。」

そして彼は続けて、とても楽しそうな声で言った。

「そう、これから本当の意味でボクの一部になって欲しいんだ。」

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