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浮気な者と一途な者
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「本当にレミアを大事に思ってますか!?」
リドーにラミアが詰め寄っている。
「ラミア、私は大丈夫だから!」
若干おどおどしつつレミアがそれを止めに入る。
先程まで講堂の隅に隠れ、扇で顔を隠していたがリドーを助けようと必死だった。
「大事に思ってる!だからこそ婚約の確認を念のために「前に婚約破棄したっていってましたよね!?」
ここ数日、リドーがレミアを大切に思っていると感じたのは中庭での告白の瞬間だけだとラミアは思っていた。
なのでレミアに交際は止めるよう言っていたがレミアは聞かなかった。
そんな時にリドーが訳の分からない行動をしたのだ。
ラミアは腹が立って仕方なかった。
しかし詰め切る前に音楽が流れ始める。
ダンス講習の後半が始まる合図だ。
仕方なくラミアはパートナーの元へと戻っていった。
リドーとレミアも先ほどは一曲目だったので次は二曲目で踊る。
それを待つ間がリドーには気まずくて仕方なかった。
「…リドー様、私、わかってます」
そんなリドーに対して、いつも人の視線を気にするレミアが、扇で顔を隠してはいたが凜とした声で話し始めた。
「リドー様は私が美しいと思い、顔を見ずに告白してしまったのですよね。違ってごめんなさい」
気付いていたのかと驚き思わずレミアの顔を見る。
その横顔は美しいとは言えないが美しく感じる強さがあった。
「君は…どうしてそう思うのにさっき私を助けようと…」
ここまで言って何を聞こうとしているんだとハッとした。
そんなリドーを見ることも無くレミアは語った。
「ずっと容姿を気にして隠れて生きてきた私を見付け、勘違いでも求愛して下さって嬉しかったのです。
私の容姿を見てそっと引く方が多く、酷いときには罵倒されたこともあります。
でも、間違いでもリドー様はここ数日私を婚約者のように大事に扱って下さいました。
エスコートをし、恥ずかしくて話せない私の話しをゆっくり聞こうとし、大切にして下さいました。
その優しさに私は惹かれています。
こんな私でも、責められる貴方を守りたいと行動出来るくらいには慕っております。だからリドー様の勘違いは悲しくとも私は今幸せなのです」
自分の考えを語るのはレミアにはとても勇気のいることだったのだろう。
時々声は震え、目には涙が浮かんでいる。
鼻はいつもより赤くなりそばかすを目立たせていた。
しかし、その顔が美しく、愛しく感じた。
思わず見惚れ、そんな自分に驚き二度見するとやはり美しい女性では無かった。
それでも一生懸命自分の思いを伝えるレミアは美しいとリドーの中に残った。
ダンスが始まる。
踊っているうちに鼻の赤みは幾分かマシになり、ダンスに集中しているのか涙も引いたようだった。
それでもレミアの容姿は良いとは決して言えない。
(なぜ、こんな程度の女性を美しいと感じたんだろう)
リドーは不思議だった。
そして、アネリアの時には感じたことのない感情があるのも不思議だった。
自分を守ろうとする彼女を守りたい。
リドーの中に、レミアに対する庇護の気持ちが芽生えていたのだ。
(私のために、こんな一生懸命な女性は初めてかもしれない…。だから、か?)
人前で盛大にやらかしたのでほとぼりが冷めた頃に別れよう、そう思いここ数日を過ごしてきた。
エスコートも最低限だし、話を振るもなかなか返事がないから待ちが長い。
しかし声だけは可愛らしいのでゆっくり続けていた。
それだけのことを、彼女は幸せだと言った。
胸が締められるような何とも言えない愛おしさ。
しかし顔を見ると少し気持ちが引いてしまう。
リドーは自分で自分が分からなく混乱していた。
そんな戸惑いをレミアは感じ取っていた。
視線の端で時々チラリとリドーを見る。
そのリードはダンス慣れしていない自分に合わせた物で成績が関係するのに初歩のステップばかり組み合わせてくれていた。
屋敷での練習より余程踊りやすく優しく思える。
リドーはいつもそうだった。
女性の扱いの上手さを感じるが無理強いをしてこない。
自然と合わせるのがクセ付いている男だった。
そんなリドーにレミアは
(リドー様がどう思っていても別れを切り出されるその日までこの想いを大切にしよう)
そう強く思うのだった。
リドーにラミアが詰め寄っている。
「ラミア、私は大丈夫だから!」
若干おどおどしつつレミアがそれを止めに入る。
先程まで講堂の隅に隠れ、扇で顔を隠していたがリドーを助けようと必死だった。
「大事に思ってる!だからこそ婚約の確認を念のために「前に婚約破棄したっていってましたよね!?」
ここ数日、リドーがレミアを大切に思っていると感じたのは中庭での告白の瞬間だけだとラミアは思っていた。
なのでレミアに交際は止めるよう言っていたがレミアは聞かなかった。
そんな時にリドーが訳の分からない行動をしたのだ。
ラミアは腹が立って仕方なかった。
しかし詰め切る前に音楽が流れ始める。
ダンス講習の後半が始まる合図だ。
仕方なくラミアはパートナーの元へと戻っていった。
リドーとレミアも先ほどは一曲目だったので次は二曲目で踊る。
それを待つ間がリドーには気まずくて仕方なかった。
「…リドー様、私、わかってます」
そんなリドーに対して、いつも人の視線を気にするレミアが、扇で顔を隠してはいたが凜とした声で話し始めた。
「リドー様は私が美しいと思い、顔を見ずに告白してしまったのですよね。違ってごめんなさい」
気付いていたのかと驚き思わずレミアの顔を見る。
その横顔は美しいとは言えないが美しく感じる強さがあった。
「君は…どうしてそう思うのにさっき私を助けようと…」
ここまで言って何を聞こうとしているんだとハッとした。
そんなリドーを見ることも無くレミアは語った。
「ずっと容姿を気にして隠れて生きてきた私を見付け、勘違いでも求愛して下さって嬉しかったのです。
私の容姿を見てそっと引く方が多く、酷いときには罵倒されたこともあります。
でも、間違いでもリドー様はここ数日私を婚約者のように大事に扱って下さいました。
エスコートをし、恥ずかしくて話せない私の話しをゆっくり聞こうとし、大切にして下さいました。
その優しさに私は惹かれています。
こんな私でも、責められる貴方を守りたいと行動出来るくらいには慕っております。だからリドー様の勘違いは悲しくとも私は今幸せなのです」
自分の考えを語るのはレミアにはとても勇気のいることだったのだろう。
時々声は震え、目には涙が浮かんでいる。
鼻はいつもより赤くなりそばかすを目立たせていた。
しかし、その顔が美しく、愛しく感じた。
思わず見惚れ、そんな自分に驚き二度見するとやはり美しい女性では無かった。
それでも一生懸命自分の思いを伝えるレミアは美しいとリドーの中に残った。
ダンスが始まる。
踊っているうちに鼻の赤みは幾分かマシになり、ダンスに集中しているのか涙も引いたようだった。
それでもレミアの容姿は良いとは決して言えない。
(なぜ、こんな程度の女性を美しいと感じたんだろう)
リドーは不思議だった。
そして、アネリアの時には感じたことのない感情があるのも不思議だった。
自分を守ろうとする彼女を守りたい。
リドーの中に、レミアに対する庇護の気持ちが芽生えていたのだ。
(私のために、こんな一生懸命な女性は初めてかもしれない…。だから、か?)
人前で盛大にやらかしたのでほとぼりが冷めた頃に別れよう、そう思いここ数日を過ごしてきた。
エスコートも最低限だし、話を振るもなかなか返事がないから待ちが長い。
しかし声だけは可愛らしいのでゆっくり続けていた。
それだけのことを、彼女は幸せだと言った。
胸が締められるような何とも言えない愛おしさ。
しかし顔を見ると少し気持ちが引いてしまう。
リドーは自分で自分が分からなく混乱していた。
そんな戸惑いをレミアは感じ取っていた。
視線の端で時々チラリとリドーを見る。
そのリードはダンス慣れしていない自分に合わせた物で成績が関係するのに初歩のステップばかり組み合わせてくれていた。
屋敷での練習より余程踊りやすく優しく思える。
リドーはいつもそうだった。
女性の扱いの上手さを感じるが無理強いをしてこない。
自然と合わせるのがクセ付いている男だった。
そんなリドーにレミアは
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そう強く思うのだった。
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