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一波乱
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馬車が見えてきたというのにグイッとラーウェイに腕を引かれた。
「しっ!」
鋭く、短く黙るように示される。
その表情は真剣だ。
思わず眉をしかめラーウェイの視線の先を自分も見るがよく分からない。
すると今度はそっと腕を引いて来た道を少し戻された。
「恐らく、何者かがレバンスを襲っています。ここで少しお待ちください」
桑の実が入った籠を地面に置きそう伝えられる。
「私も「足手まといです」
ピシャリと止められてしまうと何も言えない。
ラーウェイの背中を見送り祈るしか出来なかった。
レバンスはラーウェイの言うとおり正にピンチだった。
馬車の後ろに座らせられている。
端から見ると仲間同士談笑しているようだ。
しかし、レバンズの体は毒のナイフで切られしびれて動けずにいた。
「独立に関する書類はどこだ」
そう小声で言う男は外から見えないようにナイフを押し当てレバンスを脅している。
「ただの商人にそんなこと言われてもね」
ははっと力なく笑いつつ言うがナイフが押し当てられ痛みが走った。
「だから知らないって。人違いだよ」
男をにらみ付けながらレバンスはどう切り抜ければ良いか必死だった。
完全に油断していたのだ。
背後を取られてしまった。
モヤモヤとした気持ちを抑えつつ馬にブラシをかけていた時に後ろから毒のナイフで足を刺されてしまったのだ。
万が一殺され、探されたところで書類は簡単には見つからない。
腰の仕掛けナイフの鞘に隠しているのを見付けるには時間がかかるだろう。
きっと見付ける前にラーウェイが戻ってきてくれるはずだ。
そうは思えど殺されたくはない。
体が動けば…。
その時男が気付いてしまった。
「お前一人の旅のはずなのに毛布が複数積んである…?」
「! 寒がりなもんでね」
「まさか仲間がいるのか!?」
男が警戒し馬車の周りの様子を気にした僅かな瞬間だった。
ドカッ!
ラーウェイの蹴りが男に炸裂した。
「毒のナイフを持ってるぞ!」
男が態勢を崩した瞬間レバンスはそう叫んだ。
「了解っ!」
言うが早いか鞘に入ったままの剣でそのまま突きを決める。
「がっ…!」
胸を強打された男は一瞬呼吸が出来なくなり倒れた態勢のまま咳き込んだ。
そんな隙を見逃すラーウェイではない。
そのまま首の根を強打し、男の意識を奪った。
「レバンス殿!大丈夫か!?」
「毒でしびれて動けないんだ…助かったよ」
「すぐにナーシャ様をお連れする!」
そうしてナーシャが馬車に呼ばれたのは男が縛り上げられてからだった。
安心したレバンスは少しグッタリして見えた。
まず目に入ったのは腕のケガだ。
書類をよこせと迫られているときに切られた傷である。
「毒でやられたのは足なんだけど…毒って治せるかな?」
ナーシャに心配をかけたくなくてレバンスは精一杯明るく振る舞った。
しかし顔色の悪いレバンスの笑顔は逆にナーシャには痛々しく見えた。
「傷は治せる…治せるけど…」
毒は治したことが無いから分からないと言えなかった。
かわりにボロボロと涙が溢れる。
そして足の傷を見て息を飲んだ。
思ったより深く刺されている。
これならば毒など使わなくても走れないだろうに。
「痛いよね、すぐ治すからね」
そうしてかけた治癒の力は今までにない強さだった。
「しっ!」
鋭く、短く黙るように示される。
その表情は真剣だ。
思わず眉をしかめラーウェイの視線の先を自分も見るがよく分からない。
すると今度はそっと腕を引いて来た道を少し戻された。
「恐らく、何者かがレバンスを襲っています。ここで少しお待ちください」
桑の実が入った籠を地面に置きそう伝えられる。
「私も「足手まといです」
ピシャリと止められてしまうと何も言えない。
ラーウェイの背中を見送り祈るしか出来なかった。
レバンスはラーウェイの言うとおり正にピンチだった。
馬車の後ろに座らせられている。
端から見ると仲間同士談笑しているようだ。
しかし、レバンズの体は毒のナイフで切られしびれて動けずにいた。
「独立に関する書類はどこだ」
そう小声で言う男は外から見えないようにナイフを押し当てレバンスを脅している。
「ただの商人にそんなこと言われてもね」
ははっと力なく笑いつつ言うがナイフが押し当てられ痛みが走った。
「だから知らないって。人違いだよ」
男をにらみ付けながらレバンスはどう切り抜ければ良いか必死だった。
完全に油断していたのだ。
背後を取られてしまった。
モヤモヤとした気持ちを抑えつつ馬にブラシをかけていた時に後ろから毒のナイフで足を刺されてしまったのだ。
万が一殺され、探されたところで書類は簡単には見つからない。
腰の仕掛けナイフの鞘に隠しているのを見付けるには時間がかかるだろう。
きっと見付ける前にラーウェイが戻ってきてくれるはずだ。
そうは思えど殺されたくはない。
体が動けば…。
その時男が気付いてしまった。
「お前一人の旅のはずなのに毛布が複数積んである…?」
「! 寒がりなもんでね」
「まさか仲間がいるのか!?」
男が警戒し馬車の周りの様子を気にした僅かな瞬間だった。
ドカッ!
ラーウェイの蹴りが男に炸裂した。
「毒のナイフを持ってるぞ!」
男が態勢を崩した瞬間レバンスはそう叫んだ。
「了解っ!」
言うが早いか鞘に入ったままの剣でそのまま突きを決める。
「がっ…!」
胸を強打された男は一瞬呼吸が出来なくなり倒れた態勢のまま咳き込んだ。
そんな隙を見逃すラーウェイではない。
そのまま首の根を強打し、男の意識を奪った。
「レバンス殿!大丈夫か!?」
「毒でしびれて動けないんだ…助かったよ」
「すぐにナーシャ様をお連れする!」
そうしてナーシャが馬車に呼ばれたのは男が縛り上げられてからだった。
安心したレバンスは少しグッタリして見えた。
まず目に入ったのは腕のケガだ。
書類をよこせと迫られているときに切られた傷である。
「毒でやられたのは足なんだけど…毒って治せるかな?」
ナーシャに心配をかけたくなくてレバンスは精一杯明るく振る舞った。
しかし顔色の悪いレバンスの笑顔は逆にナーシャには痛々しく見えた。
「傷は治せる…治せるけど…」
毒は治したことが無いから分からないと言えなかった。
かわりにボロボロと涙が溢れる。
そして足の傷を見て息を飲んだ。
思ったより深く刺されている。
これならば毒など使わなくても走れないだろうに。
「痛いよね、すぐ治すからね」
そうしてかけた治癒の力は今までにない強さだった。
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