3 / 18
前回と今回
しおりを挟む
目の前で作られていたのはフワフワの白い物、綿菓子だった。
そうだ、と思い出す。
前回は手持ちの残金が心配で食べられなかったのだ。
雲が売っていると感動したのを思い出す。
見るのが二度目でもキラキラと輝いて見えるのだから。
そっと屋台に近付くと3つの料金で作ってくれるようだった。
前回はこんな料金表示すりゃよく分かっていなかった。
庶民だった子供時代も街を歩くのはあまりなかったし、叔父について歩いていただけだから当然かもしれないが。
お金を持たないのに料金表を見ても仕方ない。
ワガママ言える立場でも無い。
子供時代は結構覚えているものねぇと思いつつ残金を確認する。
今来ている服を買ったが余裕で前回より多い残金。
一番安い料金の物を注文してもいいだろう。
せっかくのやり直しなのだから。
渡されたのは握りこぶし二つ分、顔より小さいくらいの雲…のような綿菓子だった。
そっと口を付けるとほんのりと温かく、ホワッと溶けた。
そしてとても甘い。
空の雲が食べられたら美味しいのだろうか、なんて思ったこともあったが本当に美味しいのだと錯覚すら起こしてしまう。
ただ、とても甘い。
「年寄りだと一口でしんどい甘さが美味しいわ」
若返ったことを実感しつつ一口づつ大事に食べた。
食べながら先のことを考える。
なんで私はあの村へ行くことになったんだったかな…。
「おねえさん、一人?俺らと飯でも行こうや」
少しガラの悪い二人連れに声をかけられる。
「旦那と子供待ちなのよ~。おねえさんなんて嬉しいねぇ」
笑顔で嘘を吐く。
「ちっ、子持ちかよ」
案の定悪態を吐きながら男たちは離れていった。
修道女をしているときに聞いた処世術である。
それで思い出した。
前回変な男に無理やり連れて行かれそうになってるときに行商人だか何だかの人に助けられたんだった!
それでそのまま一緒に少し過ごしてあの村で離れたのよ!
求婚に困って別れたのよね、懐かしい…。
ほんわか懐かしさに浸っているが気付いた。
今の私だと…出会わなくない?
どうしたらよいか分からなくて職業ギルド探して彷徨ってて絡まれたけど…彷徨ってたから場所も分からないし上等なワンピースも着ていない。
行商人の名前はレバンス。
それは覚えているけど…なんでこの街にいたのかは覚えてない。
村までの道も知らない。
でもレバンスと出会う事が今回は無さそうだしあの修道院へ帰ろうと思ったら自力で行くしかない。
もう…だからやり直しとかしたくなかったのに…。
どうせなら修道院に着いたところからにして欲しかったと思うもどうにも出来ない。
村の道は知らないがこの街の次に寄った場所は分かる。
街の正面門から出て真っ直ぐのここより大きい街だったからだ。
そうだ。
とても大きくて人も多かった。
淑女教育で名前だけは知っていた王都に次いで大きい街だったから図書館があるはずだ。
そこで地図を見て村へ行こう。
そう思い街の正面門を出たところで懐かしい人を見る事になった。
珍しい藍色の髪、間違いない。
レバンスだった。
そうだ、と思い出す。
前回は手持ちの残金が心配で食べられなかったのだ。
雲が売っていると感動したのを思い出す。
見るのが二度目でもキラキラと輝いて見えるのだから。
そっと屋台に近付くと3つの料金で作ってくれるようだった。
前回はこんな料金表示すりゃよく分かっていなかった。
庶民だった子供時代も街を歩くのはあまりなかったし、叔父について歩いていただけだから当然かもしれないが。
お金を持たないのに料金表を見ても仕方ない。
ワガママ言える立場でも無い。
子供時代は結構覚えているものねぇと思いつつ残金を確認する。
今来ている服を買ったが余裕で前回より多い残金。
一番安い料金の物を注文してもいいだろう。
せっかくのやり直しなのだから。
渡されたのは握りこぶし二つ分、顔より小さいくらいの雲…のような綿菓子だった。
そっと口を付けるとほんのりと温かく、ホワッと溶けた。
そしてとても甘い。
空の雲が食べられたら美味しいのだろうか、なんて思ったこともあったが本当に美味しいのだと錯覚すら起こしてしまう。
ただ、とても甘い。
「年寄りだと一口でしんどい甘さが美味しいわ」
若返ったことを実感しつつ一口づつ大事に食べた。
食べながら先のことを考える。
なんで私はあの村へ行くことになったんだったかな…。
「おねえさん、一人?俺らと飯でも行こうや」
少しガラの悪い二人連れに声をかけられる。
「旦那と子供待ちなのよ~。おねえさんなんて嬉しいねぇ」
笑顔で嘘を吐く。
「ちっ、子持ちかよ」
案の定悪態を吐きながら男たちは離れていった。
修道女をしているときに聞いた処世術である。
それで思い出した。
前回変な男に無理やり連れて行かれそうになってるときに行商人だか何だかの人に助けられたんだった!
それでそのまま一緒に少し過ごしてあの村で離れたのよ!
求婚に困って別れたのよね、懐かしい…。
ほんわか懐かしさに浸っているが気付いた。
今の私だと…出会わなくない?
どうしたらよいか分からなくて職業ギルド探して彷徨ってて絡まれたけど…彷徨ってたから場所も分からないし上等なワンピースも着ていない。
行商人の名前はレバンス。
それは覚えているけど…なんでこの街にいたのかは覚えてない。
村までの道も知らない。
でもレバンスと出会う事が今回は無さそうだしあの修道院へ帰ろうと思ったら自力で行くしかない。
もう…だからやり直しとかしたくなかったのに…。
どうせなら修道院に着いたところからにして欲しかったと思うもどうにも出来ない。
村の道は知らないがこの街の次に寄った場所は分かる。
街の正面門から出て真っ直ぐのここより大きい街だったからだ。
そうだ。
とても大きくて人も多かった。
淑女教育で名前だけは知っていた王都に次いで大きい街だったから図書館があるはずだ。
そこで地図を見て村へ行こう。
そう思い街の正面門を出たところで懐かしい人を見る事になった。
珍しい藍色の髪、間違いない。
レバンスだった。
148
あなたにおすすめの小説
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
奥様は聖女♡
喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。
ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
黒薔薇の棘、折れる時
こだま。
ファンタジー
漆黒の髪と氷の瞳を持つ悪役令息エドワードは、借金を取り立てた少女アリスと運命を変える。
聖女リリアの甘い仮面の下に隠された野望と、公爵領の禁足地、黒い聖地の災厄。
復讐は調和へ導かれる。
最後に咲いたのは、召使いの少女が残した、永遠に枯れない真紅の薔薇――。
ちょっと切ないお話です。
AIがプロットを作ったファンタジーです。
噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される
柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。
だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。
聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。
胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。
「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」
けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」
噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情――
一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。
石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。
やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。
失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。
愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる