贅沢 【R18】

詩綺雨 雫恋

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『ピーンポーン…』

あ、来た。

私は片耳だけで聞いていたyoutubeのアーカイブを一時停止しないままベッドから飛び起き、玄関を開けた。

「よー。ぉひさー。」

何度会ってもファーストインプレはちょっと硬い1年半関係が続いているセフレのゆず。

それと同様にまだ好きが生まれそうになる心を隠すようにうなづくだけの私はゆずをベッドとスクリーンだけの部屋に通して玄関の鍵を閉めた。

ゆず「みなのも買ってきた。」

みな「ありがと。」

乾杯と鳴った缶の擦れる音は今すぐ関係が終わっても思い出せないくらい小さくてお互いの遠慮が重く感じ取れる。

ゆずとの出会いは私が仕事帰りで足早にホームに向かっていたところをナンパしてきて、その次の日に呑み屋とホテルに行った。

当時の私がもう少し慎重に物事を進められていればゆずとの関係は公に言えるようなものになっていたかもしれないけれど今更後悔…、しても過去は過去。

過去は変えられないしちょっとした違和感のあるゆずは私の中で彼氏候補までには達しないし、この関係で満足していそうなゆずも発展を望んでなさそう。

だから私が大好きだった有名な歌手が先週亡くなっても慰める様子は一切ない。

まあ、人前で泣いたところでその人が帰ってくることはないから。

そういうスタンスの私だから多分“守ってあげたい女”という枠に入れていないんだろう。

みな「…はあ。」

私はお酒を飲み、バレないようにため息をつくとゆずは細かい数字の羅列を見せてきた。

ゆず「みなってバスケ見る?」

みな「見ない。」

ゆず「だよねー。今回の試合が…」

と、私の答えなんか毎回無視して話を進めるゆずは私の肩にもたれるように座り、今回の日本代表や対戦相手のことを詳しく話し始めた。

けれど私は聞いてもしょうがないと思っていたので片耳をゆず、片耳をYouTubeのアーカイブ、意識は刻々と流れる時計の針へと勝手にマルチタスクを始めていつもの流れまで暇つぶししていると私に体を預けていたゆずの暖かい手が太ももの間に入ってきた。

ゆず「みなの脚、冷たくて気持ちい。」

にへへと言わんばかりの柔らかい笑みをこぼしながらゆずは私の太ももの付け根にある肉をほぐす。

もうちょっと痩せてから毎回会いたいと思うけど、ゆずと会う時はほぼ体重増加傾向ありの時なんだよな。

いつになったら理想のスレンダーボディになれるんだろうと自分次第の夢見事に悩んでいるとパクッと下唇を吸われた。

やっといつもの流れが始まったと気分が浮ついた私は肉付きがいい下腹を隠していたショートパンツを脱ぎ、ゆずの指がどこにでも這いやすいようにベッドに寝転んだ。




詩綺雨 雫恋/贅沢
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