7 / 266
第1章 異世界でも俺はこき使われる
6
しおりを挟む
「自殺行為だな。つーかもしかして自殺目的でここに来たのか? それなら俺が楽に殺してやるよ。お代は、うーん、そうだな、三万ピーロくらいだな」
クズ野郎が笑顔で腰から大剣を抜いて構える。
「んなわけあるか!」
こんな人生で終わってたまるか!
というかもし死にたくなってもコイツにだけは絶対頼まねぇ!
自殺名所には心優しい言葉を並べた看板を百枚設置するよりもコイツ一人いた方が有効なんじゃないかと思えるほどだ。
きっとコイツにはびた一文やりたくねぇという強い気持ちが生きる意欲に変わるだろう。
「じゃあなんでこんなところに一人でいるの~?」
チェルノが首を傾げる。
もっともな質問だ。
信じてもらえるかは分からなかったが、俺は正直に話した。
「……実は、信じてもらえないかもしれないけど、俺はこの世界の人間じゃなくて、別の世界から来た人間で……」
「あ~なるほどね~」
神妙に打ち明けた俺だったが、チェルノがあっさり納得したことに戸惑った。
てっきり「はぁ?」と素っ頓狂な声と訝しげな視線を向けられるものだと覚悟していたので彼の反応は意外だった。
「え? そんな簡単に納得しちゃうんですか!?」
「たまにそういう人いるしね~」
「そう頻繁でもないけど、信じられないというほど理解できないという話じゃないよ」
「……魔王のせいで異界との境界が崩れやすくなっているという話も聞くからな」
彼らの納得の早さに、俺は肩すかしを食らった気分だった。
すげぇご都合主義……!
「もしかして、自分は異世界から来た特別な存在とでも思ったのか?」
クズ野郎が鼻で笑った。
うるせぇ!
本当に嫌な奴だな!
奴への悪印象は留まることを知らない。
まぁ、何はともあれ理解が早いのは有り難かった。
おかげで説明する手間がはぶけた。
「それなら話は早いです。元の世界に戻りたいんですけど、どうしたら帰れるんですか?」
クズ野郎以外の顔を見て訊ねた。
俺のように異世界トリップしてきた人間がいるのだから、当然帰る方法も何かあるだろう。
そう高をくくっていた。
しかし、寄越された返事は無慈悲なものだった。
「う~ん、分かんな~い」
「聞いたことないな。ごめんね」
「……俺も知らない」
え!? マジで!?
うそだろ!?
クズ野郎の方も一応確認のためちらりと見てみたが、俺の話など聞いていないようで、さっきモンスターから奪った斧を振りながら「五千ピーロはいくかな」などと鼻歌交じりに呟いていた。
「そ、そんな……」
絶望的な気持ちに足元の力が抜けて、俺はその場にへたり込んだ。
元いた世界も決していい世界ではなかったけれど、獰猛なモンスターがいるこの世界よりはマシだ。
一体、俺はこれからどうしたら……。
不安や心細さで涙が滲んだ。
すると項垂れる俺の傍に黒髪の男が膝をついて顔を覗き込んできた。
クズ野郎が笑顔で腰から大剣を抜いて構える。
「んなわけあるか!」
こんな人生で終わってたまるか!
というかもし死にたくなってもコイツにだけは絶対頼まねぇ!
自殺名所には心優しい言葉を並べた看板を百枚設置するよりもコイツ一人いた方が有効なんじゃないかと思えるほどだ。
きっとコイツにはびた一文やりたくねぇという強い気持ちが生きる意欲に変わるだろう。
「じゃあなんでこんなところに一人でいるの~?」
チェルノが首を傾げる。
もっともな質問だ。
信じてもらえるかは分からなかったが、俺は正直に話した。
「……実は、信じてもらえないかもしれないけど、俺はこの世界の人間じゃなくて、別の世界から来た人間で……」
「あ~なるほどね~」
神妙に打ち明けた俺だったが、チェルノがあっさり納得したことに戸惑った。
てっきり「はぁ?」と素っ頓狂な声と訝しげな視線を向けられるものだと覚悟していたので彼の反応は意外だった。
「え? そんな簡単に納得しちゃうんですか!?」
「たまにそういう人いるしね~」
「そう頻繁でもないけど、信じられないというほど理解できないという話じゃないよ」
「……魔王のせいで異界との境界が崩れやすくなっているという話も聞くからな」
彼らの納得の早さに、俺は肩すかしを食らった気分だった。
すげぇご都合主義……!
「もしかして、自分は異世界から来た特別な存在とでも思ったのか?」
クズ野郎が鼻で笑った。
うるせぇ!
本当に嫌な奴だな!
奴への悪印象は留まることを知らない。
まぁ、何はともあれ理解が早いのは有り難かった。
おかげで説明する手間がはぶけた。
「それなら話は早いです。元の世界に戻りたいんですけど、どうしたら帰れるんですか?」
クズ野郎以外の顔を見て訊ねた。
俺のように異世界トリップしてきた人間がいるのだから、当然帰る方法も何かあるだろう。
そう高をくくっていた。
しかし、寄越された返事は無慈悲なものだった。
「う~ん、分かんな~い」
「聞いたことないな。ごめんね」
「……俺も知らない」
え!? マジで!?
うそだろ!?
クズ野郎の方も一応確認のためちらりと見てみたが、俺の話など聞いていないようで、さっきモンスターから奪った斧を振りながら「五千ピーロはいくかな」などと鼻歌交じりに呟いていた。
「そ、そんな……」
絶望的な気持ちに足元の力が抜けて、俺はその場にへたり込んだ。
元いた世界も決していい世界ではなかったけれど、獰猛なモンスターがいるこの世界よりはマシだ。
一体、俺はこれからどうしたら……。
不安や心細さで涙が滲んだ。
すると項垂れる俺の傍に黒髪の男が膝をついて顔を覗き込んできた。
87
あなたにおすすめの小説
義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。ユリウスに一目で恋に落ちたマリナは彼の幸せを願い、ゲームとは全く違う行動をとることにした。するとマリナが思っていたのとは違う展開になってしまった。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?
米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。
ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。
隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。
「愛してるよ、私のユリタン」
そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。
“最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。
成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。
怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか?
……え、違う?
Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。
それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。
友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!!
なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。
7/28
一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる