勇者様の荷物持ち〜こんなモテ期、望んでない!〜

綺沙きさき(きさきさき)

文字の大きさ
21 / 266
第1章 異世界でも俺はこき使われる

20

しおりを挟む
その後はなにも物音がしなくなったので単に寝返りを打っただけなのかもしれない。
そこで、俺はそういえばドゥーガルドたちが何も食べていないことに気づいた。
一応、川の水を汲んで空瓶に入れ枕元にそれぞれのテントに置いているが、食べ物は置いていない。
苦しそうに肩で息をしていたので、食事どころではないと思ったが、時間もたったし、もしかしたらお腹もすいてきてるかもしれない。

俺は布を川の水で濡らして絞ると、鞄の中から干し肉とパンを取り出し、それらを持ってドゥーガルドのテントの入り口の布をめくった。

「ドゥーガルド、大丈夫か?」
「……ん」

ランタンをかざしてテントの中を照らすと、ドゥーガルドがもぞもぞと体を起こした。
眠気まなこが俺の姿をとらえた途端、こっちが驚くくらい見開いた。
そして慌てて何かを自分が被っている布の中に隠した。

「え、なに、どうした?」
「……い、いや、なんでもない」

そう言いながらもそのらしくない慌てぶりはどう見てもなんでもなくない。

まぁ、詮索するのもよくないから、何にもないことにしよう。

「ならいいんだけど、よかったらなんか食べる? 一応、干し肉とパン持ってきた。あと、もしまだ体が熱かったらこれ額に置いてみて。濡れた布。これけっこう気持ちいいから」

枕元に置いてあとは好きに使ってもらおうとテントの中へ入っていった。
だが、たわんでいた布に足がひっかかりそのままドゥーガルドの上に倒れてしまった。

「うわ、ごめ……っ!?」

慌てて立ち上がろうとした俺の手に何かが当たった。
俺が手をついたのはドゥーガルドの下半身部分。
布越しだが、その感触には男であれば誰でも憶えがある。

「え? あ、もしかし勃って……」

動揺のあまり言い掛けた無神経な言葉を俺は慌てて飲み込んだ。

や、やべぇ、とんでもねぇことを言うところだった……!

男同士でも下半身事情を知られるのは恥ずかしいことだ。
ここは何も気づいていない振りして去るのが思いやりというものだ。

「……あ、えっと、じゃあここに置いとくから好きな時に食べて。それじゃあお大事に……」
「待ってくれ!」

ドゥーガルドが俺の腕を掴んだ。
こちらを見上げる目は縋るような必死さがあった。

「……お前はこの病気のことを知っているのか?」
「え? 病気?」

目をパチパチとさせる俺に、ドゥーガルドは深刻そうに頷いた。

「……淫食花と戦ってからどうも体が熱くて……それに下半身の一部分が熱を持って固くなっているんだ。今までにないことだ。恐らく淫食花の毒か何かにやられたんじゃないかと思ったんだが……」

俺は目を剥いた。

え? もしかしてドゥーガルドって……?
しおりを挟む
感想 119

あなたにおすすめの小説

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。ユリウスに一目で恋に落ちたマリナは彼の幸せを願い、ゲームとは全く違う行動をとることにした。するとマリナが思っていたのとは違う展開になってしまった。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

処理中です...