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第2章 異世界でももふもふは正義!?
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翌日、ゲルダさんの宿を出てアーロンと合流してから城壁の門へと向かった。
その間、なんで昨日は俺の宿に来なかったのかと、不機嫌なアーロンにしつこくねちねちと言われたが、宿を出る前に嬉しいことがあったので聞き流すことが出来た。
「ソウシ、なんか今日はご機嫌だね~。なんかいいことあったの~?」
いつもと違う様子の俺に気付いたチェルノが訊いてきた。
「へへっ、実は、じゃーん!」
俺はポケットのズボンから小さい袋を取り出してチェルノに見せた。
「なにそれ~?」
「実はゲルダさんに昨夜のお礼ってことでお小遣いもらったんだ」
ジャラン、と袋の中に入っている貨幣の音を俺は得意げに鳴らした。
昨日のお祭り騒ぎで売上がよかったのだろう、ゲルダさんが今朝「いやぁ、本当に助かったよ。ありがとう。これ、ほんの気持ち」と言って俺にくれたのだ。
この世界に来て自分だけのお金を持つというのが初めてで、心はほくほくだった。
「へぇ~、よかったね~。ソウシがんばってたもんね~」
「へへ、ありがとう。王都ってこの街より都会だよな?」
「それはもちろんだよ~」
「じゃあこのお金はその時使おう」
何を買おうかなぁ、クロにも何か買ってあげたいなぁと、お金の使い道についてワクワクしながら考えを巡らせていると不意に、ひょい、と袋を取り上げられてしまった。
こんなことをする奴はひとりしかいない。
「何すんだよ! アーロン!」
怒って振り返ると、袋の中を覗いてハッと鼻で笑うアーロンがいた。
「なんだこのくらいか」
「はぁ?」
俺の人生で初めての給料を馬鹿にされカチンときた。
「なんだよ、その言い方! 文句あるなら返せよ!」
取り返そうとジャンプするが、背のリーチがあって袋の底にすらかすりもしない。
「言葉の通りだ。お前は随分と自分を安く売るんだな」
「は?」
なぜか苛立ちを含んだ棘のある声で嫌みを言われ、俺は顔を顰めた。
「どういう意味だよ?」
「だから、お前はこんなはした金で股開くのかって言ってんだよ」
「はぁ!?」
あけすけな言葉に目を見開く。
「な、ななな、なに言ってんだお前!?」
「だから昨日の夜、俺との約束を破ってまでそのゲルダって男に体売って金をもらったんだろ」
「そんなわけあるかー!」
とんでもない勘違いに俺は顔を真っ赤にして怒鳴った。
しかしアーロンは疑わしそうに眉を顰めるばかりだった。
「じゃあ淫乱以外に特技のないお前がどう金を稼ぐっていうんだよ?」
「人を取り柄のない人間みたいに言うな! ちゃんとウェイターの仕事で稼いだわ!」
そもそも淫乱じゃねぇし! というか淫乱は特技なのか!?
「でも昨日の夜がんばっていたってチェルノが言ってたじゃねぇか」
「いやっ、夜に頑張る=エッチなお仕事ではないからな!」
何なんだ、その思春期男子のような短絡的な思考は!
「じゃあ本当に男に体を売ったわけじゃねぇんだな?」
「だから本当に普通にウェイターしてただけだ!」
なんでそこを何度も疑うんだ!?
しつこい疑いにうんざりしながら答えると、アーロンは「ふぅん……」と呟いて俺の頭の上に取り上げた袋をのせてそのままスタスタと歩き始めた。
ずるりと頭から滑り落ちた袋を慌てて手でキャッチし中身を確認したが、お金はくすねられていなかった。
ホッと肩で息をすると、アーロンがくるりと振り返った。
「今回はまぁ許してやるけど、次からは俺との約束を絶対に破るなよ」
ビシッと指差しそう言い放つと、またすぐに歩き始めた。
その勝手な言い様にしばらく呆気にとられていたが、しばらくしてようやく苛立ちが込み上げてきた。
「はぁ!? なんだよあの偉そうな言い方! というか約束とかしてねぇけど!?」
「ははは~、アーロンも素直じゃないね~」
「素直じゃないとかそういう問題か!?」
根本的な性格の問題だろ! というか一方的な約束は約束とは言わねぇからな!
「アーロンってなんか子どもみたい~」
何が面白いのか分からないがクスクスと笑って先を行くチェルノに俺の頭の中はハテナマークでいっぱいだった。
その間、なんで昨日は俺の宿に来なかったのかと、不機嫌なアーロンにしつこくねちねちと言われたが、宿を出る前に嬉しいことがあったので聞き流すことが出来た。
「ソウシ、なんか今日はご機嫌だね~。なんかいいことあったの~?」
いつもと違う様子の俺に気付いたチェルノが訊いてきた。
「へへっ、実は、じゃーん!」
俺はポケットのズボンから小さい袋を取り出してチェルノに見せた。
「なにそれ~?」
「実はゲルダさんに昨夜のお礼ってことでお小遣いもらったんだ」
ジャラン、と袋の中に入っている貨幣の音を俺は得意げに鳴らした。
昨日のお祭り騒ぎで売上がよかったのだろう、ゲルダさんが今朝「いやぁ、本当に助かったよ。ありがとう。これ、ほんの気持ち」と言って俺にくれたのだ。
この世界に来て自分だけのお金を持つというのが初めてで、心はほくほくだった。
「へぇ~、よかったね~。ソウシがんばってたもんね~」
「へへ、ありがとう。王都ってこの街より都会だよな?」
「それはもちろんだよ~」
「じゃあこのお金はその時使おう」
何を買おうかなぁ、クロにも何か買ってあげたいなぁと、お金の使い道についてワクワクしながら考えを巡らせていると不意に、ひょい、と袋を取り上げられてしまった。
こんなことをする奴はひとりしかいない。
「何すんだよ! アーロン!」
怒って振り返ると、袋の中を覗いてハッと鼻で笑うアーロンがいた。
「なんだこのくらいか」
「はぁ?」
俺の人生で初めての給料を馬鹿にされカチンときた。
「なんだよ、その言い方! 文句あるなら返せよ!」
取り返そうとジャンプするが、背のリーチがあって袋の底にすらかすりもしない。
「言葉の通りだ。お前は随分と自分を安く売るんだな」
「は?」
なぜか苛立ちを含んだ棘のある声で嫌みを言われ、俺は顔を顰めた。
「どういう意味だよ?」
「だから、お前はこんなはした金で股開くのかって言ってんだよ」
「はぁ!?」
あけすけな言葉に目を見開く。
「な、ななな、なに言ってんだお前!?」
「だから昨日の夜、俺との約束を破ってまでそのゲルダって男に体売って金をもらったんだろ」
「そんなわけあるかー!」
とんでもない勘違いに俺は顔を真っ赤にして怒鳴った。
しかしアーロンは疑わしそうに眉を顰めるばかりだった。
「じゃあ淫乱以外に特技のないお前がどう金を稼ぐっていうんだよ?」
「人を取り柄のない人間みたいに言うな! ちゃんとウェイターの仕事で稼いだわ!」
そもそも淫乱じゃねぇし! というか淫乱は特技なのか!?
「でも昨日の夜がんばっていたってチェルノが言ってたじゃねぇか」
「いやっ、夜に頑張る=エッチなお仕事ではないからな!」
何なんだ、その思春期男子のような短絡的な思考は!
「じゃあ本当に男に体を売ったわけじゃねぇんだな?」
「だから本当に普通にウェイターしてただけだ!」
なんでそこを何度も疑うんだ!?
しつこい疑いにうんざりしながら答えると、アーロンは「ふぅん……」と呟いて俺の頭の上に取り上げた袋をのせてそのままスタスタと歩き始めた。
ずるりと頭から滑り落ちた袋を慌てて手でキャッチし中身を確認したが、お金はくすねられていなかった。
ホッと肩で息をすると、アーロンがくるりと振り返った。
「今回はまぁ許してやるけど、次からは俺との約束を絶対に破るなよ」
ビシッと指差しそう言い放つと、またすぐに歩き始めた。
その勝手な言い様にしばらく呆気にとられていたが、しばらくしてようやく苛立ちが込み上げてきた。
「はぁ!? なんだよあの偉そうな言い方! というか約束とかしてねぇけど!?」
「ははは~、アーロンも素直じゃないね~」
「素直じゃないとかそういう問題か!?」
根本的な性格の問題だろ! というか一方的な約束は約束とは言わねぇからな!
「アーロンってなんか子どもみたい~」
何が面白いのか分からないがクスクスと笑って先を行くチェルノに俺の頭の中はハテナマークでいっぱいだった。
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