196 / 266
第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
21
「皆の者、静粛に」
玉座の壇上近くに立つ初老の男の厳かな声が響き渡った。
男はこの場にいる人全てが自分の方へ視線を向けているのを確認してから再び口を開いた。
「これより、国王エゼルバルド様が謁見の間へ来られる。一同。敬礼」
男の言葉に、その場にいる全員が握った右の拳を胸元にあて、姿勢を正した。
恐らくこれがこの世界の敬礼なのだろう。俺も慌ててそのポーズを真似る。
全員が敬礼をしているのを確認してから、男は扉に立つ衛兵に目で合図を送った。
その合図を受け衛兵たちがゆっくりと厳かな雰囲気を醸し出しながら扉を開けると、扉の向こうからいかにも王様といった高貴な雰囲気を纏った四、五十代の男が現れた。両隣には、体格の良い騎士を連れ立っている。
うわぁ、すげぇ! 本物の王様だ!
王様なんてアニメや漫画の二次元でしか見たことがないので思わず興奮した。
これで俺の立ち位置が『異世界より召喚された最強の勇者』とかだったら最高だったのになぁ……。
しかし現実は、最強の勇者どころか、この世界の知識すらないので一般人にも劣る非力な存在だ。
現実は甘くないとはよくいうが、いくら何でもこれは甘くなさすぎじゃないか? 唐辛子の方がまだ甘く感じそうなくらいだ。
理想と現実の落差にちょっと泣きそうになる俺のセンチメンタルな心情などお構いなく、いつの間にか王様は赤い絨毯の上を進み玉座に腰を下ろしていた。
玉座の両隣には、どんな刺客が現れようと命をはってお守りするという強い気概が感じられる騎士が立って、壇上から俺たちを睨みつけていた。
「皆の者、よく集まってくれた。楽にせよ」
謁見の間をゆったりと見回しながら王様がそう言うと、みんな拳を胸元から下ろした。しかしピンと伸びた背筋にはまだ緊張が張り詰めている。
これは女装して白銀の翼に紛れていることがバレたら一巻の終りだ。神聖な王の御前で何事か! と処刑待ったなしの展開になるに違いない。
考えただけでゾッとする。俺は鳥肌が立つ背筋をピンと正した。
この場を取り仕切る初老の男が咳払いしてから、口を開いた。
「では、これより魔王討伐より戻ってきた勇者たちの帰還式を行う。勇者たち、入られよ」
男の言葉に扉がまた開かれ、そこからアーロン、ドゥーガルド、チェルノ、ジェラルドの四人が横に並んで入ってきた。
「あれが、魔王を倒した勇者たち……!」
畏敬と興奮が混じったざわめきが辺りに広がる。
実際は変人変態オンパレード集団なのだが、こうして見ると立派なパーティーに見えるのだから本当に不思議だ。
「はぁ~、ホワイトちぇるるん可愛い……」
隣で頬を染めてうっりと溜め息を吐くアーシャの言葉に、チェルノが白い正装に身を包んでいることに気づく。
いつもが黒ずくめのせいもあるけれど、チェルノの闇をたたえた瞳と不気味な笑みに、爽やかな白は驚くほど違和感しかなかった。視覚の不協和音ともいえるくらいだ。それを可愛いと感じるアーシャの感性が恐ろしい……。
もちろんチェルノ過激派のアーシャの前でそんな素直すぎる感想は口にできないので、言葉を飲み込んで正装姿のチェルノから視線を外した。
するとその拍子に、辺りを見回していたアーロンとばっちり目が合ってしまった。
玉座の壇上近くに立つ初老の男の厳かな声が響き渡った。
男はこの場にいる人全てが自分の方へ視線を向けているのを確認してから再び口を開いた。
「これより、国王エゼルバルド様が謁見の間へ来られる。一同。敬礼」
男の言葉に、その場にいる全員が握った右の拳を胸元にあて、姿勢を正した。
恐らくこれがこの世界の敬礼なのだろう。俺も慌ててそのポーズを真似る。
全員が敬礼をしているのを確認してから、男は扉に立つ衛兵に目で合図を送った。
その合図を受け衛兵たちがゆっくりと厳かな雰囲気を醸し出しながら扉を開けると、扉の向こうからいかにも王様といった高貴な雰囲気を纏った四、五十代の男が現れた。両隣には、体格の良い騎士を連れ立っている。
うわぁ、すげぇ! 本物の王様だ!
王様なんてアニメや漫画の二次元でしか見たことがないので思わず興奮した。
これで俺の立ち位置が『異世界より召喚された最強の勇者』とかだったら最高だったのになぁ……。
しかし現実は、最強の勇者どころか、この世界の知識すらないので一般人にも劣る非力な存在だ。
現実は甘くないとはよくいうが、いくら何でもこれは甘くなさすぎじゃないか? 唐辛子の方がまだ甘く感じそうなくらいだ。
理想と現実の落差にちょっと泣きそうになる俺のセンチメンタルな心情などお構いなく、いつの間にか王様は赤い絨毯の上を進み玉座に腰を下ろしていた。
玉座の両隣には、どんな刺客が現れようと命をはってお守りするという強い気概が感じられる騎士が立って、壇上から俺たちを睨みつけていた。
「皆の者、よく集まってくれた。楽にせよ」
謁見の間をゆったりと見回しながら王様がそう言うと、みんな拳を胸元から下ろした。しかしピンと伸びた背筋にはまだ緊張が張り詰めている。
これは女装して白銀の翼に紛れていることがバレたら一巻の終りだ。神聖な王の御前で何事か! と処刑待ったなしの展開になるに違いない。
考えただけでゾッとする。俺は鳥肌が立つ背筋をピンと正した。
この場を取り仕切る初老の男が咳払いしてから、口を開いた。
「では、これより魔王討伐より戻ってきた勇者たちの帰還式を行う。勇者たち、入られよ」
男の言葉に扉がまた開かれ、そこからアーロン、ドゥーガルド、チェルノ、ジェラルドの四人が横に並んで入ってきた。
「あれが、魔王を倒した勇者たち……!」
畏敬と興奮が混じったざわめきが辺りに広がる。
実際は変人変態オンパレード集団なのだが、こうして見ると立派なパーティーに見えるのだから本当に不思議だ。
「はぁ~、ホワイトちぇるるん可愛い……」
隣で頬を染めてうっりと溜め息を吐くアーシャの言葉に、チェルノが白い正装に身を包んでいることに気づく。
いつもが黒ずくめのせいもあるけれど、チェルノの闇をたたえた瞳と不気味な笑みに、爽やかな白は驚くほど違和感しかなかった。視覚の不協和音ともいえるくらいだ。それを可愛いと感じるアーシャの感性が恐ろしい……。
もちろんチェルノ過激派のアーシャの前でそんな素直すぎる感想は口にできないので、言葉を飲み込んで正装姿のチェルノから視線を外した。
するとその拍子に、辺りを見回していたアーロンとばっちり目が合ってしまった。
あなたにおすすめの小説
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
「ねぇ、俺以外に触れられないように閉じ込めるしかないよね」最強不良美男子に平凡な僕が執着されてラブラブになる話
ちゃこ
BL
見た目も頭も平凡な男子高校生 佐藤夏樹。
運動神経は平凡以下。
考えていることが口に先に出ちゃったり、ぼうっとしてたりと天然な性格。
ひょんなことから、学校一、他校からも恐れられている不良でスパダリの美少年 御堂蓮と出会い、
なぜか気に入られ、なぜか執着され、あれよあれよのうちに両思い・・・
ヤンデレ攻めですが、受けは天然でヤンデレをするっと受け入れ、むしろラブラブモードで振り回します♡
超絶美形不良スパダリ✖️少し天然平凡男子
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!