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突撃隣の晩ごはん 第三十五話
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「リリー、僕の家にご飯食べにこない?」
そんな軽いお誘いだったのでまさかこんなことになるとは思っていなかった。
目の前には大きなオレンジ色の瞳にグレーの髪を輝かせた美女が2人。その隣に黒い髪に黒い瞳の優しそうな男性が1人。そしてリリーの隣にはお約束のシルビアが1人それぞれが瞳を輝かせて座っていた。
手元には前菜である(多分)トマトがおしゃれに固められたものが置いてあるが、緊張からか全く味がしない。
カトラリーが時折触れる音が室内に響くだけでなんとも言えない雰囲気が漂っていた。
まだ…前菜…
早く晩餐おわれ!!と願ってみるが食事が支給されるスピードは変わらなかった。
「リリーさん」
小鳥が鳴いた様なコロコロとした綺麗な声が突然耳に届く。
「は…はい!!!」
慌てて返事をしたリリーの様子を見て、双子の様な女性二人がフフッと上品に笑う。
「緊張しなくていいのよ。今回はシルビアを助けてくださってありがとう。この子ったら、何も言わずにいなくなって…ヴォルフ君が見つけてくれるまで、私がどれほど探したか…」
「シルビア、私たちを紹介しなさいよ!全く、リリーさんが緊張し切ったてかわいそうだわ!」
そういうと大きなオレンジの瞳を少し細めて、シルビアをきっと睨みつけた。
「…呼んでないのに来たのは姉さん達でしょ?全く。リリー、この、笑っているのが父のソル・スコッチ。気の強いのが姉のシルヴァ声が小さいのが母のステラ。よろしくしなくていいからね。」
「あの、リリー・クローズです、いつもシルビア様にお世話になっています。皆さんにご迷惑をおかけしているんじゃないかと…」
「まぁ!迷惑だなんでとんでもない!2度も命を救ってくれてありがとう。」
うんうんとシルビアの家族一同頷いている。
少し会話もできる様になったところで、少し和やかに食事が進んでいく。
趣味や好きな色、好きなドレスなど、次々と質問攻めにあい、スコッチ一家はリリーに興味津々の様子だった。
やっとデザートになったと思ったら、今まで沈黙していたソルが口を開く。
「ところでリリーさん、シルビアとの婚約はいつになるのかな?」
綺麗にカットされた果物に思い切りフォークを突き刺してしまい、カチンと食器の音を立ててしまう。
恐る恐る顔を上げると爛々と輝く3対の瞳と目が合った。
「婚約をしたいと思ってるかけど、まだできないんだよ。いろいろ事情があってね。」
答えられないリリーの代わりにシルビアが難なく答える。その答えに納得していないのか、シルヴァが標的をシルビアに変えて噛み付く。
「いつするの?リリーさん程の人は居ないんだから、早く捕まえないと、逃げられるわよ!」
どうやら、スコッチ一家はリリーに対して良い印象を抱いている様だ。母親のステラも「貴方、リリーさんを逃したら一生愛する人なんて見つけられないわよ!」と脅しにかかっていた。
見た目と違い、キャイキャイと賑やかな女性の様で、とても楽しそうに話している。
そんな二人を尻目に落ち着いた雰囲気の父親が改まってリリーの方に話題を振る。
「シルビアが、姉の呪いを引き継いだのはご存知かな?」
「あ、はい。聞いています」
「誰も頼んでないのに!全く!無茶して。シルビアが死んでたら私、シルビアのこと呪ってたわよ!たった一人の弟を失うなんて耐えられないわ!」
口調はきついがシルビアを愛していることは伝わってくる。その話をする時に微かに瞳に涙が浮かんでいた。
「シルビアとシルヴァは元は名前が反対だったんだ。呪いを騙すために名前を交換したんだよ。君なら、呼んでも大丈夫だと思うんだ。婚約をするつもりがあるのなら、真実の名を呼んでやって欲しい」
子の幸せを願う父親の温かな笑顔にリリーは胸が熱くなった。シルビアがこの国から消えてしまったとき、この家族はどれほど心を傷つけたのだろうか。
そう考えると溢れる涙を我慢することができなかった。
「もう、シルビア様が一人で苦しまない様に、私が守ります」
隣に座るシルビアの顔が真っ赤になっていることに気がついて、リリーまで顔を赤く染め上げることになった。
そんな軽いお誘いだったのでまさかこんなことになるとは思っていなかった。
目の前には大きなオレンジ色の瞳にグレーの髪を輝かせた美女が2人。その隣に黒い髪に黒い瞳の優しそうな男性が1人。そしてリリーの隣にはお約束のシルビアが1人それぞれが瞳を輝かせて座っていた。
手元には前菜である(多分)トマトがおしゃれに固められたものが置いてあるが、緊張からか全く味がしない。
カトラリーが時折触れる音が室内に響くだけでなんとも言えない雰囲気が漂っていた。
まだ…前菜…
早く晩餐おわれ!!と願ってみるが食事が支給されるスピードは変わらなかった。
「リリーさん」
小鳥が鳴いた様なコロコロとした綺麗な声が突然耳に届く。
「は…はい!!!」
慌てて返事をしたリリーの様子を見て、双子の様な女性二人がフフッと上品に笑う。
「緊張しなくていいのよ。今回はシルビアを助けてくださってありがとう。この子ったら、何も言わずにいなくなって…ヴォルフ君が見つけてくれるまで、私がどれほど探したか…」
「シルビア、私たちを紹介しなさいよ!全く、リリーさんが緊張し切ったてかわいそうだわ!」
そういうと大きなオレンジの瞳を少し細めて、シルビアをきっと睨みつけた。
「…呼んでないのに来たのは姉さん達でしょ?全く。リリー、この、笑っているのが父のソル・スコッチ。気の強いのが姉のシルヴァ声が小さいのが母のステラ。よろしくしなくていいからね。」
「あの、リリー・クローズです、いつもシルビア様にお世話になっています。皆さんにご迷惑をおかけしているんじゃないかと…」
「まぁ!迷惑だなんでとんでもない!2度も命を救ってくれてありがとう。」
うんうんとシルビアの家族一同頷いている。
少し会話もできる様になったところで、少し和やかに食事が進んでいく。
趣味や好きな色、好きなドレスなど、次々と質問攻めにあい、スコッチ一家はリリーに興味津々の様子だった。
やっとデザートになったと思ったら、今まで沈黙していたソルが口を開く。
「ところでリリーさん、シルビアとの婚約はいつになるのかな?」
綺麗にカットされた果物に思い切りフォークを突き刺してしまい、カチンと食器の音を立ててしまう。
恐る恐る顔を上げると爛々と輝く3対の瞳と目が合った。
「婚約をしたいと思ってるかけど、まだできないんだよ。いろいろ事情があってね。」
答えられないリリーの代わりにシルビアが難なく答える。その答えに納得していないのか、シルヴァが標的をシルビアに変えて噛み付く。
「いつするの?リリーさん程の人は居ないんだから、早く捕まえないと、逃げられるわよ!」
どうやら、スコッチ一家はリリーに対して良い印象を抱いている様だ。母親のステラも「貴方、リリーさんを逃したら一生愛する人なんて見つけられないわよ!」と脅しにかかっていた。
見た目と違い、キャイキャイと賑やかな女性の様で、とても楽しそうに話している。
そんな二人を尻目に落ち着いた雰囲気の父親が改まってリリーの方に話題を振る。
「シルビアが、姉の呪いを引き継いだのはご存知かな?」
「あ、はい。聞いています」
「誰も頼んでないのに!全く!無茶して。シルビアが死んでたら私、シルビアのこと呪ってたわよ!たった一人の弟を失うなんて耐えられないわ!」
口調はきついがシルビアを愛していることは伝わってくる。その話をする時に微かに瞳に涙が浮かんでいた。
「シルビアとシルヴァは元は名前が反対だったんだ。呪いを騙すために名前を交換したんだよ。君なら、呼んでも大丈夫だと思うんだ。婚約をするつもりがあるのなら、真実の名を呼んでやって欲しい」
子の幸せを願う父親の温かな笑顔にリリーは胸が熱くなった。シルビアがこの国から消えてしまったとき、この家族はどれほど心を傷つけたのだろうか。
そう考えると溢れる涙を我慢することができなかった。
「もう、シルビア様が一人で苦しまない様に、私が守ります」
隣に座るシルビアの顔が真っ赤になっていることに気がついて、リリーまで顔を赤く染め上げることになった。
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