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集められたパーティーメンバー 第四十二話
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胸の前で手を重ね、祈りのポーズをとる長髪の少女が描かれた大きなステンドグラスが煌めく大聖堂に、枢機卿はじめ政務官、騎士団隊長、神官長が難しい顔をして顔を突き合わせていた。
その場に呼び出されたのは、ヴォルフ、シルビア、リリー、ギルバート、レン、エルダー達だ。お互い集められたメンバーを見て、何となく何があったのかは予想がついた。シルビアはリリーの手を握り「大丈夫?」と声をかける。
ヴォルフとギルバートは呼び出された内容を把握しているのか難しい顔をして話し合っていた。
「さて、若者達よ。」
枢機卿であるヴォルフの父、ルークスは真剣な顔をしてこちらに高級そうな便箋を差し出す。
「我らが国に救助要請が来た様だ。何と愚かなことか、我らが国を、シルビアを傷つけ貶めた、モアラート王国からな。」
差し出された便箋を見ると几帳面な字で、あの頃の非礼を詫びる言葉やシルビアの行方は未だつかめないとの話題に混じって婚約者を見てほしいと書いてあった。
「彼からは何度か手紙をもらっているんだよ。シルビアがいなくなってしまったと報告と捜索の進行状況を知らせるためにね。まぁ、ここにいるんだけどね。」
ルークスはクスッと微笑みシルビアを見つめる。
無表情で便箋を見つめるシルビアの目にはこの文章がどう映っているのだろうか。リリーは心配で、そっとシルビアの手を握る。
「この国に来たいらしいんだけど、またわがまま放題されても嫌だからね。断ろうかと思って。」
肩を上げてちょっとお茶目そうにするルークスな言葉を聞いてヴォルフは意外そうに目を見開く。
「呪いを解く為には聖ジェントクランが協力しなければ難しいんじゃないですか?断っても大丈夫なんですか?そもそも、そう言った依頼を断れないんじゃなかったですか?」
聖ジェントクラン国は巨大な教会の様なもので周辺諸国にも、信者がいる。他国の国民達も祈りに来たり、呪いを見てもらいに来たりとそう言った方面の事においてはこの国が群を抜いて秀でている。
また、神官を各国に派遣したりしていて神事を司っていると言っても過言ではない。
だから、王を立てず民主の声で国を動かしているのだ。
「断れない。だからこちらから行こうかと思って。」
「僕が行きます。」
すかさずシルビアは名乗りを上げる。そう言ってくれると思ってた。とルークスは優しく微笑む。
「護衛はヴォルフ、ギルバート行ってくれるね?ギルバートの国籍もこちらにあるんだから文句は言わせない。帰ってくるなとは言われてないでしょ?」
「何度も罪状書を読み返したけど国外に追放するとしか書いてなかったです。俺も行っていいならついて行きます。シルビアとヴォルフを守りたい。」
コクンとルークスが頷くと、ヴォルフに目配せをする。
机の引き出しから何かをゴソゴソと出して文をしたためはじめる。
「エルダーとレンにはこちらに残ってもらいたいんだ。万が一こちらに呪いが飛んできた時に呪術師がいてくれるとはねかえせるからね。さて、」
先程までの柔らかい笑顔は無くなり、少し切なそうな笑顔をしたルークスはシルビアの隣で震えるリリーに視線を送る。
「どうする?こわかったらいいよ」
子供をあやす様な優しい声にリリーはハッと意識を取り戻す。急にシルビアのひんやりした手の感触を強く感じ力をもらおうと握りしめる。
「いきます!これは、この震えは恐れているのではなくやっと未練を晴らせる事に対して、心が奮い立っているのです」
「リリーは僕が守る。僕を守るギルバートも、ヴォルフもいる。だから大丈夫です猊下」
書状を書いたヴォルフが政務官に手渡す。
慌てて中身を確認し、ルークスに一声かけ退室していく。
「必ず思いを果たしてきなさい。」
そう言ってルークスも部屋を後にする。
「僕は戦えないからついていけないけど…」
しんと静まり返った部屋に弱々しい声が響く。
拳を握りしめて悔しそうに唇をかむレンが涙を目に溜めながら立っていた。
「どうかあの二人に制裁を。あの国の愚かな行いを正してきてほしい。」
「あの女の本性を暴き出してやる!もう家族もあの国にはいない。猊下が思いを果たせと言ってくれた。きっと、お前の名誉を回復してくる!!」
ギルバートが近寄ると両肩に手を置いて力強く返事をする。
「私も、あの二人に一言二言…文句を言います。あと、すきあらば、ぶん殴ってやる。」
「よし。ではその日まで皆心を決めよう。きっと、聖女様が見守ってくださる。」
そう誓いあい、ステンドグラスを見上げると、いつもよりも鮮やかに光り輝いている気がした。
その場に呼び出されたのは、ヴォルフ、シルビア、リリー、ギルバート、レン、エルダー達だ。お互い集められたメンバーを見て、何となく何があったのかは予想がついた。シルビアはリリーの手を握り「大丈夫?」と声をかける。
ヴォルフとギルバートは呼び出された内容を把握しているのか難しい顔をして話し合っていた。
「さて、若者達よ。」
枢機卿であるヴォルフの父、ルークスは真剣な顔をしてこちらに高級そうな便箋を差し出す。
「我らが国に救助要請が来た様だ。何と愚かなことか、我らが国を、シルビアを傷つけ貶めた、モアラート王国からな。」
差し出された便箋を見ると几帳面な字で、あの頃の非礼を詫びる言葉やシルビアの行方は未だつかめないとの話題に混じって婚約者を見てほしいと書いてあった。
「彼からは何度か手紙をもらっているんだよ。シルビアがいなくなってしまったと報告と捜索の進行状況を知らせるためにね。まぁ、ここにいるんだけどね。」
ルークスはクスッと微笑みシルビアを見つめる。
無表情で便箋を見つめるシルビアの目にはこの文章がどう映っているのだろうか。リリーは心配で、そっとシルビアの手を握る。
「この国に来たいらしいんだけど、またわがまま放題されても嫌だからね。断ろうかと思って。」
肩を上げてちょっとお茶目そうにするルークスな言葉を聞いてヴォルフは意外そうに目を見開く。
「呪いを解く為には聖ジェントクランが協力しなければ難しいんじゃないですか?断っても大丈夫なんですか?そもそも、そう言った依頼を断れないんじゃなかったですか?」
聖ジェントクラン国は巨大な教会の様なもので周辺諸国にも、信者がいる。他国の国民達も祈りに来たり、呪いを見てもらいに来たりとそう言った方面の事においてはこの国が群を抜いて秀でている。
また、神官を各国に派遣したりしていて神事を司っていると言っても過言ではない。
だから、王を立てず民主の声で国を動かしているのだ。
「断れない。だからこちらから行こうかと思って。」
「僕が行きます。」
すかさずシルビアは名乗りを上げる。そう言ってくれると思ってた。とルークスは優しく微笑む。
「護衛はヴォルフ、ギルバート行ってくれるね?ギルバートの国籍もこちらにあるんだから文句は言わせない。帰ってくるなとは言われてないでしょ?」
「何度も罪状書を読み返したけど国外に追放するとしか書いてなかったです。俺も行っていいならついて行きます。シルビアとヴォルフを守りたい。」
コクンとルークスが頷くと、ヴォルフに目配せをする。
机の引き出しから何かをゴソゴソと出して文をしたためはじめる。
「エルダーとレンにはこちらに残ってもらいたいんだ。万が一こちらに呪いが飛んできた時に呪術師がいてくれるとはねかえせるからね。さて、」
先程までの柔らかい笑顔は無くなり、少し切なそうな笑顔をしたルークスはシルビアの隣で震えるリリーに視線を送る。
「どうする?こわかったらいいよ」
子供をあやす様な優しい声にリリーはハッと意識を取り戻す。急にシルビアのひんやりした手の感触を強く感じ力をもらおうと握りしめる。
「いきます!これは、この震えは恐れているのではなくやっと未練を晴らせる事に対して、心が奮い立っているのです」
「リリーは僕が守る。僕を守るギルバートも、ヴォルフもいる。だから大丈夫です猊下」
書状を書いたヴォルフが政務官に手渡す。
慌てて中身を確認し、ルークスに一声かけ退室していく。
「必ず思いを果たしてきなさい。」
そう言ってルークスも部屋を後にする。
「僕は戦えないからついていけないけど…」
しんと静まり返った部屋に弱々しい声が響く。
拳を握りしめて悔しそうに唇をかむレンが涙を目に溜めながら立っていた。
「どうかあの二人に制裁を。あの国の愚かな行いを正してきてほしい。」
「あの女の本性を暴き出してやる!もう家族もあの国にはいない。猊下が思いを果たせと言ってくれた。きっと、お前の名誉を回復してくる!!」
ギルバートが近寄ると両肩に手を置いて力強く返事をする。
「私も、あの二人に一言二言…文句を言います。あと、すきあらば、ぶん殴ってやる。」
「よし。ではその日まで皆心を決めよう。きっと、聖女様が見守ってくださる。」
そう誓いあい、ステンドグラスを見上げると、いつもよりも鮮やかに光り輝いている気がした。
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