病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?

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第七話 空飛ぶ灰色ドラゴン

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『あれがドラゴンかな?』

 ピーちゃん、ドラゴン知らなかったんだね。だから来ちゃったんだね。
 山の周りを飛び回る灰色の大きな鳥がたくさんいたんだって。
 ピーちゃん、鳥とドラゴンは全然違うよ。僕でも知っているよ。

 ドラゴンはとっても強くて、大きな翼が背中に生えた大きなトカゲだ。
 口には鋭い牙が生えていて、しかも火まで吐くと言われている。
 ドラゴンを倒した人は『勇者』や『英雄』と呼ばれる伝説の人になれるらしい。
 それが『ドラゴン』だ。

『う~ん、穴がない。上の方かな?』

 パタパタと山の下の方を探してみたけど、穴が見つからなかったそうだ。
 でも、山の上の方はドラゴンが飛び回っている。とっても危険だ。
 ピーちゃんの話し通りなら山は岩山だ。それも三角形の尖った岩山だ。
 隠れられる場所はなかったそうだ。

 だから、ピーちゃんは泥だらけになった。
 泥で青い羽根を汚して茶色にして目立たないようにした。
 ピーちゃん、賢い。これで安心だね。

『美味そうな鳥だな。食ってやる』
『‼︎』

 と思ったのに、飛んでいるうちに泥が身体から取れちゃった。
 そして、灰色子供ドラゴンに見つかってしまった。
 大きさを聞いたら、縦にベッド1、横にベッド2、厚さはベッド1だった。
 ドラゴンから見たらピーちゃんなんて、豆粒と同じだ。
 お願いだから食べないで見逃してほしい。

『グオオォ!』

 もちろんそれは無理なお願いだった。
 ドラゴンが口を開けて襲いかかってきた。
 食べられないようにピーちゃんは素早く避けると、ドラゴンの首から背中を通り抜けて、背中に隠れた。
 それも茶色の魔法袋を頭から被った状態で。

『あの鳥、どこ行きやがった?』

 ドラゴンはピーちゃんを見失ったみたいだ。小さくて良かったね、ピーちゃん。
 しばらく飛び回ると探すのを諦めて、ドラゴンは山に空いてある無数の穴の一つに入った。

 どうやら穴はドラゴンの巣穴みたいだ。
 こんな危険な場所にピーちゃんを石拾いに行かせるなんて、冒険者ギルドは酷いところだ。
 ピーちゃんの為にも、もう二度と行かないように言ってやる。

『ぐぅー、ぐぅー』

 ドラゴンは巣穴に入ると、唸るようなイビキ声を上げて寝てしまった。
 ピーちゃんにとっては逃げるチャンスだ。でも、ピーちゃんは逃げなかった。
 このチャンスを石拾いを使った。僕ならきっと逃げると思う。
 僕もピーちゃんの勇気を見習いたいな。

 背中から暗い穴の中を探すと、すぐにドラゴンの近くに転がっている、たくさんの石ころを見つけた。
 大きさは僕の頭ぐらいで、全体的に黒色で青、赤、黄、緑の光る粒々が入っている石ころだ。
 ピーちゃんが袋から一つを取り出すと僕に見せてくれた。
 記念に何個か持ってきたもので、僕に全部プレゼントしてくれるそうだ。
 ピーちゃんの『勇気の証』だ。これを持っていると何だか勇気が出そうな気がするよ。

『ぐぅー、ぐぅー』

 ドラゴンが寝ている間に巣穴の光る石を全部魔法袋に入れると、ピーちゃん脱出作戦が始まった。
 外には飛び回るドラゴンがいる。見つかれば食べられちゃう。
 ピーちゃんは覚悟を決めると巣穴から飛び出した。それも袋を被っていない状態でだ。
 ピーちゃん、勇気の安売りはやめた方がいいよ。

『美味そうな鳥だな。食ってやる』
『駄目だ。あれは俺が食う』
『いいや、俺が食う。邪魔するな』
『邪魔なのはお前だ。お前から食うぞ』

 これが正解だったみたいだね。ピーちゃん、ゴメンね。
 ピーちゃんを誰が食べるかで、ドラゴンが言い争いを始めた。
 その隙にピーちゃんは急降下した。
 地面まで逃げると、その後は地面スレスレを飛んで逃げたそうだ。
 もちろん袋は被っていない。ピーちゃん、運が良かっただけだからね。
 次に同じことやったら帰れないからね。
 
 こうやって無事にピーちゃんは冒険者ギルドに帰ってこれた。
 でも、今度は行く前に僕に相談してね。
 頼りにならないと思うけど、心配ぐらいは出来るから。

『鉱石取ってきた』

 冒険者ギルドの扉が開いた瞬間に中に入ると、受付に止まってピーちゃんが報告した。

「あら、鳥さん。早かったのね。迷わずに山には行けた?」
『大丈夫、鳥に聞きながら行った。たくさんドラゴン飛んでた』
「ん? 子竜山のドラゴンは飛ばないわよ。大きい茶色のトカゲがいるだけで、翼がないから飛べないわよ」
『ピィ~~?』

 ピ、ピーちゃん⁉︎ 可愛く鳴いても、首を傾げても駄目だよ。
 道、というか山間違えたよね? 違う山行っちゃったんだよね。

「もしかして『灰竜山』に行っちゃった? 灰色の大きなドラゴンが飛んでいる山よ」
『うん、その山行った。大丈夫、次は間違えない』

 お姉さんに聞かれて、ピーちゃんは自信満々に答えた。
 その自信がどこから来るのか知りたい。
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