病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?

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第二十七話 ドラゴン倒すのに必要なのは『』

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 吸血鬼になって二日後、ピーちゃんが帰ってきた。今回はボロボロじゃなかった。
 窓をクチバシで開けて、真っ黒なカーテンを通って、暗い部屋に入ってきた。

『部屋真っ暗。どうしたの?』

 さっそくピーちゃんが聞いてきた。
 色々あって、太陽の光を浴びれない身体になったんだよ、とは言えない。

 今の僕はフードローブで頭と身体を隠してベッドに寝ている。
 吸血鬼になったからといって、すぐに外を走り回ることは出来ない。
 竜薬草を食べて、魔物になったことで傷ついた身体を治療中だ。

『朝でも寝れる練習してたんだよ』

 嘘ではない。夜にしか行動できないから、朝寝るしかない。
 吸血鬼になっても眠くなるのは人間と一緒だった。

『ふぅ~~ん。暇なんだね』
『ピーちゃんには負けるけどね。それでドラゴン倒す方法見つかったの?』
『あったけど、見つからない。今捜索中』
『へぇ~~、そうなんだ。今は何を探しているの? 教えてよ』
『仕方ない。教えてあげるか』

 日に日にウザさに磨きがかかっているね。
 いちいち格上感を出そうとするピーちゃんが話し始めた。

 ♢♢♢

 いつものように家から飛び立つと、まずは冒険者ギルドを目指したそうだ。
 鳥達にも聞いてみた方がいい気もするけど、多分『死ぬ気か?』と言われるだけだ。

『灰色ドラゴン倒す方法教えて』

 扉を押し開けて、入れる隙間を作ると冒険者ギルドに入った。
 受付に人が並んでいようと関係なしに、受付に着地するとお姉さんに聞いた。

「あら、ピーちゃん。こんにちは。ちょっと待っててね」
「ああ、いい、いい。俺のことは気にしなくていいから。なんだ、鳥こう。灰色ドラゴン倒したいのか?」

 やっぱり鳥でも人でも割り込みは駄目らしい。お姉さんが待つように言った。
 でも、優しいおじさんがピーちゃんに順番を譲ってくれた。
 しかも、話まで聞いてくれている。

『おじさん、誰?』

 そんなおじさんに首を傾げて聞いた。

「ん、俺はマイルズだ。それでドラゴン倒したいのか?」
『うん、倒したい』
「ガッハハハ。そうかそうか。小さいくせにデカい夢持ってるじゃねえか!」
『ピィ~~!』

 ピーちゃんの無謀な挑戦を応援してくれるみたいだ。
 ピーちゃんの頭を大笑いしながら人差し指でなでまくっている。
 普通は「お前じゃ無理だ、諦めろ」って言われるところだ。

「よし、フローラちゃん! 俺も聞いてやる。この鳥こうにドラゴンの倒し方を教えてやってくれ!」
「はぁー、簡単に言わないでくださいよ。ドラゴンなんて誰も倒せないですよ」

 おじさんに頼まれたお姉さんがため息を吐いて、不可能だと言ってきた。
 それが普通だと思う。だけど、そんなお姉さんにおじさんが両手を合わせてお願いしている。

「そう言わずに教えてやってくれよ。ギルドの受付が分かりませんは恥ずかしいと思うぜ。倒す方法は知らなくても、倒せそうな方法ぐらいは知ってるだろ?」
『お願い。教えて、教えて』
「まあ、そのぐらいなら……」

 おじさんとピーちゃんのつぶらな瞳にお姉さんが負けた。
 教えてくれるみたいだ。

「まずピーちゃんの筋力じゃ絶対倒せないわね。体格差も含めて、ドラゴンとは天と地ほど離れているから。でも、魔力なら可能性はあるわ」
『分かった。魔力にポイント使う』

 確かに超体当たりはボロボロになるまで使っても倒せなかった。
 筋力駄目なら、魔力上げるしかない。

「あとは魔法具ね。ピーちゃんが脚に付けているのは防御系だから、攻撃系の魔法具が必要よ。ちょっと高いけど、ピーちゃんなら買えるわよね?」
『うん、大丈夫。お金ならある』

 お姉さんの助言ならピーちゃんは素直に聞くみたいだ。
 収納袋をひっくり返して、有り金全部出している。
 あっという間に金貨と銀貨の小山が出来上がった。

「毎度あり! すぐに最高級品を用意するわね!」

 お金の山を一枚残らず回収すると、お姉さんが嬉しそうに受付を離れていった。
 これで今日のピーちゃんのご飯代は消えてしまった。

「悪い女だな、フローラちゃんは。結局、金むしり取るんだから。おい、鳥こう。この調子だと羽根までむしり取られて食われるぞ。女には気をつけるんだぞ」
『お前もな』

 僕も気をつけるね。

「さてと……いいか、鳥こう。強力な武器も確かに必要だが、もっと必要なものがある。何だと思う?」

 お姉さんがいなくなったからか、おじさんが聞いてきた。
 ピーちゃんは少し考えてから答えた。

『う~~ん、必殺技?』
「【仲間】だ」

 全然違った。

「灰色ドラゴンの討伐難易度はCだ。成獣になる前ならB近くにもなる危険な魔物だ。討伐難易度Gなら人間一人で倒せる強さだ。F、E、D、Cと難易度が上がるたびに必要な人数は倍々に増えていく。Cなら十六人集めれば倒せるらしい。つまり一人じゃ絶対倒せない相手ってことだ」

 おじさんが丁寧に教えてくれるけど、十六人いても倒せるとは思えない。
 僕なら千人ぐらいは欲しい。

『そんなに集めるの無理』
「なんだ、分かってるじゃないか。つまりはそれだけ難しいってことだ。でもな、一人じゃ出来ないことも仲間がいれば出来ることもあるんだぜ!」

 落ち込むピーちゃんに向かって、おじさんが素敵な笑顔で親指を立てて言ってきた。

『うん、分かった。仲間、仲間、仲間』
「そんな目で見ても、俺は仲間にならねえよ。他の奴を探すんだな」
『チッ。分かった、腰抜けじゃないの探す』

 おじさんにはつぶらな瞳は効かないみたいだ。
 おじさんを仲間にするのを諦めると、お姉さんが戻ってくるまで冒険者達を勧誘してみた。
 もちろん結果はピーちゃんが帰ってきた時に話したとおりだ。
 見つからなかった。
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