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第二十八話 僕が仲間になってあげるよ
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「ごめんね、ピーちゃん! 倉庫にピーちゃんが使える武器がないから特注品を用意するわね!」
有り金全部奪われて、その日は何も貰えなかったそうだ。
人間用の武器しかなかったと、受付のお姉さんが謝ってきた。
仕方ないので採取クエストで時間を潰すことにしたそうだ。
時間も潰せて、お金も少しは戻るから頑張るしかないね。
♢♢♢
こうしてピーちゃんは翌日、新しい武器を手に入れた。
収納袋から綺麗なエメラルド色をした、金属製の小さなバターナイフを取り出して見せてくれた。
ピーちゃん、騙されてないよね? 小銀貨二枚で買えそうな気がするよ。
とここまで話を聞くと僕はベッドから立ち上がった。
近くに立て掛けていた剣を手に持った。
どうやらピーちゃんは運が良いみたいだ。
『ピーちゃん、どうやら探しものが見つかったみたいだよ。僕が仲間になってあげるよ』
『…………寝言は寝てから言え』
『‼︎』
速攻で断られた。ううん、速攻じゃなかった。
なんかちょっと考えてから、酷いこと言ってきた。
『どうして駄目なの⁉︎ 教えてよ!』
『はぁー……教える必要ある?』
『‼︎』
また速攻で断られた。ううん、速攻じゃなかった。
またなんかちょっと考えてから、また酷いこと言ってきた。
断るとしても、『危ないからだよ』とか『レナスに怪我させられない』とかあるはずだ。
はっ! もしかしたらピーちゃん、あえて酷いことを言ったのかも。
僕に諦めてももらう為に。
『ねえ、ピーちゃん。教えてよ。教えてくれないと納得できないよ』
『はぁー、仕方ない。雑魚だからだよ。そんなことも分かんないの?』
『なぁ‼︎』
自分だって雑魚のくせに言いやがったな!
ピーちゃんの理由を聞いて、一気に頭に血が上った。
こうなったらどっちが雑魚か、【雑魚王決定戦】だ。
負けた方が【雑魚王】だ。
『そこまで言うなら、決闘だ! 今夜、家の前に来るんだよ!』
力いっぱい窓、というかカーテンを指差して言ってやった。
『うん、いいよ。遊んであげる』
『遊びで済むといいね!』
完全に舐めている。窓枠に寝転んだ。
ここまで僕を怒らせたのはピーちゃんが初めてだ。
病み上がりだけど、動けるようになった僕の力を見せてやる。
晩ご飯を食べると剣を持って、玄関から外に出た。
『たまに血が吸いたくなるけど、人間のは駄目だよ。討伐されちゃうからね』
と吸血鬼のお兄さんには注意された。
まだ飲みたいとは思わない。普通のご飯でお腹いっぱいになれる。
『えいっ、えいっ!』
剣を鞘から抜くと、鞘を両手で持って振り回した。
剣だとピーちゃんが死んでしまう。だから手加減してやる。
『ふぅー、行けそうだ』
準備運動を終わらせた。身体が全然疲れていない。
本当に病気は治っているみたいだ。
前だったら、こんな激しい運動したら今頃は地面に大汗かいて倒れている。
『それにしても……遅いなぁ~?』
家を出て、もう十五分ぐらいは経つ。
部屋を出る時に『外で待っているよ』とピーちゃんに言ってきた。
窓から徒歩十五秒の場所に、十五分以上もかかるはずがない。
まさか負けるのが怖くなった?
だとしたら仕方ない。謝ってくれれば、不戦勝ということで許してあげよう。
ミイラピーちゃんにするのは可哀想だ。
『あっ!』
ピーちゃんを呼びに窓に向かうと、信じられないものを見た。
窓を押し開けてカーテンめくると、ピーちゃんが寝ていた。
『ピーちゃん、何してるの⁉︎ 決闘するって言ったよね!』
『……ピィ? 本気だったの?』
『本気だよ! さっさと外に出てよ! 僕、もう準備できてるんだからね!』
両手で掴んで揺らすと起きた。本当に寝てた。しかも冗談だと思っていた。
もう許さない。ミイラピーちゃん決定だ。薬草食わせまくってやる。
『ねえ、本当にやるの?』
ピーちゃんがパタパタとやる気なさそうに飛んできた。
『やっと来たね。どっちが雑魚か教えてあげる。かかっておいで』
剣を鞘から抜くと、剣の方を捨てて、鞘を両手で構えて言った。
吸血鬼の力なのか、暗闇でもハッキリと目が見える。
寝起きのピーちゃんなんかに負ける気がしない。
『じゃあ、行くね。”バードストライク”』
『ごぼぉ……‼︎』
そう言うとピーちゃんが目の前から消えた。
次の瞬間、巨人に殴られたような衝撃がお腹を襲った。
意識が軽く飛んで、吐きそうな口から色々なものが飛び出そうになった。
たまらずに両手から鞘を離して、地面に顔からうつ伏せに崩れ落ちた。
まるで雷に打たれたようだ。胃の中に溶岩を流し込まれたようだ。
痙攣を繰り返す身体のお腹だけが凄く熱さを感じる。
『超加速は使わなかったよ』
『ぐぅぅぅ……!』
ピーちゃんが顔の前に立って言ってきた。手加減したと言ってきた。
悔しさと痛みで何も言えない。
何も言えないでいると、ピーちゃんがトドメを刺すように首を傾げて聞いてきた。
『ねえ、どうしても分からないんだけど。どうして勝てるって勘違いしちゃったの?』
『ふぬぅぅぅぅ!』
小鳥だからだよ! お腹だけじゃなくて、頭も熱くなった。
もうどんな手段を使っても絶対ピーちゃん倒してやる。
もう仲間じゃない。僕達は敵だ。
有り金全部奪われて、その日は何も貰えなかったそうだ。
人間用の武器しかなかったと、受付のお姉さんが謝ってきた。
仕方ないので採取クエストで時間を潰すことにしたそうだ。
時間も潰せて、お金も少しは戻るから頑張るしかないね。
♢♢♢
こうしてピーちゃんは翌日、新しい武器を手に入れた。
収納袋から綺麗なエメラルド色をした、金属製の小さなバターナイフを取り出して見せてくれた。
ピーちゃん、騙されてないよね? 小銀貨二枚で買えそうな気がするよ。
とここまで話を聞くと僕はベッドから立ち上がった。
近くに立て掛けていた剣を手に持った。
どうやらピーちゃんは運が良いみたいだ。
『ピーちゃん、どうやら探しものが見つかったみたいだよ。僕が仲間になってあげるよ』
『…………寝言は寝てから言え』
『‼︎』
速攻で断られた。ううん、速攻じゃなかった。
なんかちょっと考えてから、酷いこと言ってきた。
『どうして駄目なの⁉︎ 教えてよ!』
『はぁー……教える必要ある?』
『‼︎』
また速攻で断られた。ううん、速攻じゃなかった。
またなんかちょっと考えてから、また酷いこと言ってきた。
断るとしても、『危ないからだよ』とか『レナスに怪我させられない』とかあるはずだ。
はっ! もしかしたらピーちゃん、あえて酷いことを言ったのかも。
僕に諦めてももらう為に。
『ねえ、ピーちゃん。教えてよ。教えてくれないと納得できないよ』
『はぁー、仕方ない。雑魚だからだよ。そんなことも分かんないの?』
『なぁ‼︎』
自分だって雑魚のくせに言いやがったな!
ピーちゃんの理由を聞いて、一気に頭に血が上った。
こうなったらどっちが雑魚か、【雑魚王決定戦】だ。
負けた方が【雑魚王】だ。
『そこまで言うなら、決闘だ! 今夜、家の前に来るんだよ!』
力いっぱい窓、というかカーテンを指差して言ってやった。
『うん、いいよ。遊んであげる』
『遊びで済むといいね!』
完全に舐めている。窓枠に寝転んだ。
ここまで僕を怒らせたのはピーちゃんが初めてだ。
病み上がりだけど、動けるようになった僕の力を見せてやる。
晩ご飯を食べると剣を持って、玄関から外に出た。
『たまに血が吸いたくなるけど、人間のは駄目だよ。討伐されちゃうからね』
と吸血鬼のお兄さんには注意された。
まだ飲みたいとは思わない。普通のご飯でお腹いっぱいになれる。
『えいっ、えいっ!』
剣を鞘から抜くと、鞘を両手で持って振り回した。
剣だとピーちゃんが死んでしまう。だから手加減してやる。
『ふぅー、行けそうだ』
準備運動を終わらせた。身体が全然疲れていない。
本当に病気は治っているみたいだ。
前だったら、こんな激しい運動したら今頃は地面に大汗かいて倒れている。
『それにしても……遅いなぁ~?』
家を出て、もう十五分ぐらいは経つ。
部屋を出る時に『外で待っているよ』とピーちゃんに言ってきた。
窓から徒歩十五秒の場所に、十五分以上もかかるはずがない。
まさか負けるのが怖くなった?
だとしたら仕方ない。謝ってくれれば、不戦勝ということで許してあげよう。
ミイラピーちゃんにするのは可哀想だ。
『あっ!』
ピーちゃんを呼びに窓に向かうと、信じられないものを見た。
窓を押し開けてカーテンめくると、ピーちゃんが寝ていた。
『ピーちゃん、何してるの⁉︎ 決闘するって言ったよね!』
『……ピィ? 本気だったの?』
『本気だよ! さっさと外に出てよ! 僕、もう準備できてるんだからね!』
両手で掴んで揺らすと起きた。本当に寝てた。しかも冗談だと思っていた。
もう許さない。ミイラピーちゃん決定だ。薬草食わせまくってやる。
『ねえ、本当にやるの?』
ピーちゃんがパタパタとやる気なさそうに飛んできた。
『やっと来たね。どっちが雑魚か教えてあげる。かかっておいで』
剣を鞘から抜くと、剣の方を捨てて、鞘を両手で構えて言った。
吸血鬼の力なのか、暗闇でもハッキリと目が見える。
寝起きのピーちゃんなんかに負ける気がしない。
『じゃあ、行くね。”バードストライク”』
『ごぼぉ……‼︎』
そう言うとピーちゃんが目の前から消えた。
次の瞬間、巨人に殴られたような衝撃がお腹を襲った。
意識が軽く飛んで、吐きそうな口から色々なものが飛び出そうになった。
たまらずに両手から鞘を離して、地面に顔からうつ伏せに崩れ落ちた。
まるで雷に打たれたようだ。胃の中に溶岩を流し込まれたようだ。
痙攣を繰り返す身体のお腹だけが凄く熱さを感じる。
『超加速は使わなかったよ』
『ぐぅぅぅ……!』
ピーちゃんが顔の前に立って言ってきた。手加減したと言ってきた。
悔しさと痛みで何も言えない。
何も言えないでいると、ピーちゃんがトドメを刺すように首を傾げて聞いてきた。
『ねえ、どうしても分からないんだけど。どうして勝てるって勘違いしちゃったの?』
『ふぬぅぅぅぅ!』
小鳥だからだよ! お腹だけじゃなくて、頭も熱くなった。
もうどんな手段を使っても絶対ピーちゃん倒してやる。
もう仲間じゃない。僕達は敵だ。
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