没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
21 / 121
4日目

道具屋・不動産屋

しおりを挟む
「おじ様。お店に置いてある商品を、全種類一つずつください」

 道具屋に到着したカノンは、目当ての荷車を手に入れた。
 ついでに道具屋の優しい店主に、段ボールでお世話になったお礼がしたかった。
 店の商品を大人買いしようとした。

「あははっ。そんなことしなくてもいいよ。必要な物を買ってくれるのが一番嬉しいんだから」

 だけど、それは店主に笑顔で断られてしまった。

「そうですか……じゃあ、回復薬(HP回復)と魔法薬(MP回復)と毒消薬を一本ずつください」
「はい、毎度あり——冒険者になったみたいだね。お金があるなら、魔物図鑑やダンジョン図鑑、素材図鑑や魔法図鑑も置いてあるよ。知識はお金よりも価値があるってね」

 沢山ある商品の中で必要なのが、三つしかないのはちょっと失礼だが、店主は笑っている。
 カノンから小金貨2枚受け取ると、大銀貨7枚を返した。
 そして本が置かれた棚を手で差して、オススメしている。

「本ですか……」

 本棚の前で、カノンは買おうか考えている。文字は読めるけど、勉強は苦手だった。
 だけど本を進化させると、どうなるのか興味がある。
 店の商品は断られたから、こっちを大人買いすることにした。

「おじ様。この本棚の本を全種類一冊ずつください」
「…………」

 道具屋の店主は、学習能力のないカノンにちょっと呆れている。
 それでも本を読めば、少しは学習するはずだと信じることにした。
 大金貨を2枚受け取ると、店から出て行く少女の背中を見送った。

 ♢

「あとは使用人付きの家ですね」
「ク、クゥーン!」

 今日の残りの予定は家の購入だ。
 使用人付きは無理かもしれないが、家は豪邸でも何でも買える。
 街の不動産屋に荷車で行くと、あとで柔らかい敷物を買おうと決めた。
 思ったよりも乗り心地が悪かった。

「すみません。使用人付きのお家はありますか?」
「えっと……とりあえずお席にお座りください」
「はい」

 不動産屋には三人の従業員がいた。
 そのうちの長い緑髪の女性が、厄介なお客様の対応に志願した。

「本日はようこそおいでくださいました。お客様の担当のフィリア・メープルです。どのような家をお探しでしょうか?」

 カウンター前の椅子に座るカノンに、フィリアと名乗る女性が丁寧にお辞儀して、椅子に座った。
 年齢は23歳で、黒い制服を執事みたいに着て、女性らしさの中に男らしいを持っている。
 そんな彼女のカノンの第一印象は、金持ちの馬鹿な娘がやって来た、だ。

「使用人付きで、お風呂と食事の用意をしてくれて、庭付きの家がいいです」
「そうですか……それだと最近ある貴族様のお屋敷が売り出されたところです。少しお高めなんですが、張り紙を出せば、使用人はすぐに集まると思いますよ」
「わぁ~! それいいですね! どんなお屋敷なんです?」

 めちゃくちゃな要望だが、フィリアはウンウン頷いている。
 全部聞き終わると、ちょうどいい物件があったので紹介してみた。
 まずは超高めの物件を紹介して、少し高めの物件を紹介する。
 そうすることで、客にお得感を与えることが出来る。

「このお屋敷なんですけど——」
「あー、これはいいです」
「え? あ、はい。かしこまりました……」

 フィリアが12億ギルドの物件を紹介しようとしたが、その屋敷に最近まで住んでいた。
 新生活を送りたいのに、昔の家に戻るつもりはなかった。
 カノンは素早く断って、他の物件を紹介してくれるように頼んだ。

「ではこちらの物件はどうでしょうか?」
「うわぁー、穴だらけですね。物置きですか?」

 あまりの即決否定に、もしかすると嫌がらせかもしれない。
 そう思ったフィリアは冗談で、今度はゴミ物件を紹介してみた。
 平屋の一軒家で、風呂とトイレも付いて、驚き価格の3万ギルドだ。

 問題があるとしたら、パトラッシュの体当たり一発で壊れそうな廃屋だということだ。
 修理するのはまず無理で、住みたいなら解体費用と新築の建築費用が必要になる。
 軽く計算して、350万ギルドになるので、貴族の屋敷と比べるとお手軽物件ではある。

「こちらは解体必須ですが、住宅地なので使用人は集まりやすいと思いますよ」
「じゃあ、ここでお願いします」
「え? 本当にいいんですか?」

 一応仕事なので、フィリアは褒められる所だけは褒めた。
 でも自分なら絶対に住みたくない。
 建物と建物の間にある廃屋で、住宅地密集地だから、朝早くから夜遅くまでうるさい。

「はい、問題ないです。ここでお願いします」
「かしこまりました。すぐに土地と家の権利書をご用意します」

 もう一度確認すると冗談ではなく、本気だった。
 カノンが大金貨をカウンターに置いたので、気が変わる前に権利書を用意した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

処理中です...