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9日目
雨の日・酒造り
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ペット屋の男から金を取り返した翌日——エリックが二日酔いから復活した。
貴族らしく染めていた金髪を、元の茶髪に染め直して気合い十分だ。
外は雨が降っているから、家で作業するにはちょうどいい。
「よし、カノン。まずは果物を切るぞ。我が家秘伝のミックスフルーツ酒を教えてやる」
「はい。お願いします」
また両隣の家を破壊して、三階建ての家に進化築させた。
広くなった台所に父娘で並んで、イチゴ、モモ、メロンを包丁で切っていく。
皮ごと一口大に切ったら、底の深い白皿に入れていく。
エリックの酒は実だけでなく、皮も種も使って作るタイプだ。
片手で持てる小さな樽に、三種類の果物を入れて、軽くかき混ぜて蓋をした。
これで下準備は終わりだ。あとはスキルを使えば完成だ。
「栗、カボチャ、サツマイモ、カカオ豆を隠し味に使ってもいい」
「隠し味ですね。分かりました」
「素人はリンゴ酒とキノコ酒が基本だ。どちらも森の中にあるから、タダで手に入る」
「リンゴとキノコ……」
エリックの言葉を忘れないように、カノンはメモ帳に食材を書いている。
働いている父親の姿を見るのは初めてだ。
「さて、ここからがスキルの出番だ。スキルを使えば、発酵や熟成の手間暇が省略される。三年かかる工程が、数分に凝縮される。私は両手を離せないから魔法薬を頼んだぞ」
「はい、お父様!」
エリックのジョブ『酒師』のスキルを使えば、搾りたてジュースのように酒が作れる。
その分MP消費が早い。対策として、MP増加の指輪を填めて、MPの最大値を上げた。
極上魔法薬で消費したMPを素早く全回復する。これで休まずに作業を続けられる。
「ん? あれ?」
「お父様、どうしました?」
両手で酒樽を掴んで、たまに揺らして、エリックは中身を確認している。
その作業を5分程続けると、ピタッと止まって、首を軽く傾げた。
魔法薬を持って、補給準備万端のカノンがどうしたのか聞いている。
「あー、出来ちゃった」
「…………」
酒樽の蓋を開けて、エリックは答えた。補給係は必要なかった。
酒樽の中に入っていた果物が溶けて、オレンジ色の液体に変わっている。
最大MPが500も増えたから、魔法薬を補給しなくても余裕があった。
「コホン。予想よりも早く終わったが、重要なのは味だ。私の舌を満足させられないなら、豚の小便と同じだ」
軽く咳払いすると、エリックは威厳たっぷりに言った。
出来立てのオレンジ色の酒を、酒樽から透明なグラスに注いで、グラスを揺らしている。
昨日の酒がまだ残っているのか、超一流の酒鑑定師になりきっている。
「うむ。色と香りは悪くないな。味はどうかな? 確かめてやろう」
さっさと飲んでほしいが、娘にカッコいい姿を見せたいようだ。
焦らしまくってから、ゆっくりと一口だけ飲んだ。
「っぅ⁉︎ テメェー、この野朗ッ‼︎」
エリックは一口飲むと、慌てて口からグラスを離して、酒に向かって怒鳴った。
緊急事態発生みたいだ。カノンが心配して聞いた。
「お父様、そんなにマズかったんですか⁉︎」
「違う! 激うまだ‼︎ 私の舌に喧嘩を売って来やがった‼︎」
「……えーっと、それは怖いですね」
父親の言っていることが分からずに、カノンは混乱している。
そんなカノンを気にせずに、エリックはまたグラスの酒と語り出した。
「フフッ。まだ五分と五分だな。私を倒すにはまだまだ足りぬ。お前の真の力を引き出してやろう。カノン、他の酒も作るから、どんどん果物を増やしてくれ。切るのは私がやる」
「分かりました。お父様……包丁には気をつけてくださいね」
「心配無用。この程度の酒に酔ったりしない! さあ、かかって来い!」
真っ赤な顔で言っても説得力はないが、包丁さばきはしっかりしている。
指を切っても大丈夫なように、カノンは極上回復薬をソッと準備した。
貴族らしく染めていた金髪を、元の茶髪に染め直して気合い十分だ。
外は雨が降っているから、家で作業するにはちょうどいい。
「よし、カノン。まずは果物を切るぞ。我が家秘伝のミックスフルーツ酒を教えてやる」
「はい。お願いします」
また両隣の家を破壊して、三階建ての家に進化築させた。
広くなった台所に父娘で並んで、イチゴ、モモ、メロンを包丁で切っていく。
皮ごと一口大に切ったら、底の深い白皿に入れていく。
エリックの酒は実だけでなく、皮も種も使って作るタイプだ。
片手で持てる小さな樽に、三種類の果物を入れて、軽くかき混ぜて蓋をした。
これで下準備は終わりだ。あとはスキルを使えば完成だ。
「栗、カボチャ、サツマイモ、カカオ豆を隠し味に使ってもいい」
「隠し味ですね。分かりました」
「素人はリンゴ酒とキノコ酒が基本だ。どちらも森の中にあるから、タダで手に入る」
「リンゴとキノコ……」
エリックの言葉を忘れないように、カノンはメモ帳に食材を書いている。
働いている父親の姿を見るのは初めてだ。
「さて、ここからがスキルの出番だ。スキルを使えば、発酵や熟成の手間暇が省略される。三年かかる工程が、数分に凝縮される。私は両手を離せないから魔法薬を頼んだぞ」
「はい、お父様!」
エリックのジョブ『酒師』のスキルを使えば、搾りたてジュースのように酒が作れる。
その分MP消費が早い。対策として、MP増加の指輪を填めて、MPの最大値を上げた。
極上魔法薬で消費したMPを素早く全回復する。これで休まずに作業を続けられる。
「ん? あれ?」
「お父様、どうしました?」
両手で酒樽を掴んで、たまに揺らして、エリックは中身を確認している。
その作業を5分程続けると、ピタッと止まって、首を軽く傾げた。
魔法薬を持って、補給準備万端のカノンがどうしたのか聞いている。
「あー、出来ちゃった」
「…………」
酒樽の蓋を開けて、エリックは答えた。補給係は必要なかった。
酒樽の中に入っていた果物が溶けて、オレンジ色の液体に変わっている。
最大MPが500も増えたから、魔法薬を補給しなくても余裕があった。
「コホン。予想よりも早く終わったが、重要なのは味だ。私の舌を満足させられないなら、豚の小便と同じだ」
軽く咳払いすると、エリックは威厳たっぷりに言った。
出来立てのオレンジ色の酒を、酒樽から透明なグラスに注いで、グラスを揺らしている。
昨日の酒がまだ残っているのか、超一流の酒鑑定師になりきっている。
「うむ。色と香りは悪くないな。味はどうかな? 確かめてやろう」
さっさと飲んでほしいが、娘にカッコいい姿を見せたいようだ。
焦らしまくってから、ゆっくりと一口だけ飲んだ。
「っぅ⁉︎ テメェー、この野朗ッ‼︎」
エリックは一口飲むと、慌てて口からグラスを離して、酒に向かって怒鳴った。
緊急事態発生みたいだ。カノンが心配して聞いた。
「お父様、そんなにマズかったんですか⁉︎」
「違う! 激うまだ‼︎ 私の舌に喧嘩を売って来やがった‼︎」
「……えーっと、それは怖いですね」
父親の言っていることが分からずに、カノンは混乱している。
そんなカノンを気にせずに、エリックはまたグラスの酒と語り出した。
「フフッ。まだ五分と五分だな。私を倒すにはまだまだ足りぬ。お前の真の力を引き出してやろう。カノン、他の酒も作るから、どんどん果物を増やしてくれ。切るのは私がやる」
「分かりました。お父様……包丁には気をつけてくださいね」
「心配無用。この程度の酒に酔ったりしない! さあ、かかって来い!」
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指を切っても大丈夫なように、カノンは極上回復薬をソッと準備した。
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