没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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14日目

中級冒険者ベクトル

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「この卑怯者が。俺が居ない時でも狙っているのか?」

【名前=ベクトル・リングベルト 種族=人間(男) 
 レベル=45(最大レベル) HP=3571/3571 MP=944/944
 力=152 体力=152 知性=134 精神=152 器用さ=152 素早さ=126】

 宿屋に呼びに行った冒険者三人と一緒に、青髪、口髭の褐色の男が現れた。
 街一番の冒険者で、その実力はルセフの三倍近くもある。
 鍛え上げられた力は、下級冒険者では手も足も出ない。

「やっと現れましたね。私が勝ったら、エリックさんと私は冒険者ギルドに戻ります。文句ありませんよね!」

 現れたベクトルに人差し指を向けて、カノンは堂々と宣言した。
 もう勝つ気しかない。
 
「ああ、文句はねえ。ただし、こっちも条件がある。俺が勝ったら装備を置いて、素っ裸で家に帰れ」
「いいですよ! そっちも素っ裸で街を一周してくださいよ!」
「ああ、逆立ちしてやってやるよ」

 子供の喧嘩だが、敗者には辱めが待っている。
 ただし、この勝負は最初から勝者が決まっている。
 才能と努力で勝てない相手がいる。

「良いねぇ~♪ 流石はベクトルさんだぜ!」
「安心しろよ! 俺達が家までお見送りしてやるよ!」

【名前=カノン・ネロエスト 種族=人間(女) 
 レベル=100(最大レベル) HP=7524/7524 MP=2310/2310
 力=286 体力=286 知性=352 精神=352 器用さ=286 素早さ=264】

 カノンの力はベクトルの約二倍だ。
 二人は手を握り合うと、始めの合図で左手が動いた。

「ラアッー‼︎」
「タアッー‼︎」

 二人とも最初から腕相撲をするつもりがなかった。
 お互いの顔面に左拳を叩き込もうとした。だけど、素早さはカノンが上だ。
 ベクトルの拳が届く前に、カノンの左拳が炸裂した。

「ふんがあっー‼︎」

 手加減を知らない素人の全力パンチが、ベクトルの頭を激しく打ち抜いた。
 気絶したベクトルが、フラフラ揺れながらテーブルに倒れて、テーブルを破壊した。
 あとでカノンが修復するから、お店の迷惑にはならない。

「う、嘘だろ……ベクトルさん?」
「痛たたたっ。殴るの痛いです」

 冒険者達がベクトルが小娘に倒されて驚いている。
 父親も殴ったことがないカノンは、左手を振って痛がっている。
 極上回復薬を飲んで治療すると、カノンは残りの冒険者に聞いた。

「他に腕相撲する人はいますか?」
「…………」

 挑戦者は誰もいないようだ。そして当然、敗者には罰ゲームが待っている。
 気絶したベクトルは服を脱がされた後に、馬小屋の馬に乗せられた。
 逆立ちは出来ないので、街一周だけで許された。

「ふぅー。冒険者カードを取り戻せました」

 ベクトルに奪われた、金色の冒険者カードを無事に取り戻した。
 カノンはパトラッシュに乗って、家に向かっている。
 明日からはまた冒険者の仕事が待っている。
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