没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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15日目

石像遺跡

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「配達の仕事が無いから、今日は魔物を倒しに行きます。倒した魔物は私がパパッと解体しますよ♪」

 サメ型飛行船に兄妹を乗せると、カノンは風フライムがいる石像遺跡を目指した。
 氷フライムと風フライムを一緒にすれば、分裂した時に氷風フライムが出来るかもしれない。
 ついでにレベル100の力を見せれば、兄妹に尊敬させることも出来る。

「うわぁー、石像遺跡かよ。推奨レベル14の初級ダンジョンじゃん。恥ずかしくて行けねえよ」
「仕方ないよぉ~。お姉ちゃんがザコザコなんだから、私達が合わせないと」
「こんなのがリーダーだと、俺達も雑魚扱いだよ。兄ちゃんのパーティに入りてぇー」
「真面目にやらないと駄目だよ。これは護衛依頼なんだよ。私達がお姉ちゃんを護衛しているんだよ」
「ちぇっ。護衛の練習だと思って、頑張るしかないか」
「…………」

 だが、安全なダンジョンを選んだ時点で、もう馬鹿にされ見下されている。
 勝手に護衛ごっこの頼りない商人Aの役をもらっている。
 尊敬されたいなら、今から氷フライム牧場に行って、ドラゴンと戦って倒すしかない。

「二人が見習いだから、弱いダンジョンに行くんです。上級冒険者の私一人なら、もの凄いダンジョンに行けるんですよ! 一昨日も伝説の実を手に入れたんですから!」

 もちろん、カノンにそんなつもりはない。
 最近行ったばかりの、伝説の海中洞窟の冒険話を始めた。
 海の怪物との戦闘が一回もなかった、安全すぎる冒険話だ。
 その辺の森に薬草採取に行ったのと、ほぼ変わらない。

「何だよ、それ! 自分ばっかり冒険してズルいぞ!」
「そうだ、そうだぁー! お土産くれないとイタズラするんだぞ!」
「わわわわわっ⁉︎ 落ちるからやめてください‼︎」

 兄妹は安全でツマラナイ冒険話には興味はない。
 でも、食べればレベルが上がる伝説の実には興味がある。
 二人でリーダーに襲いかかって、アイテムポーチから伝説の実を強奪しようとしている。
 カノンの利用価値はお金と道具の二つしかない。

「ヘッヘヘヘ♪ これで俺達もレベル100だぜぇ!」
「わぁーい! わぁーい! 上級冒険者だぁー!」
「くっすん。酷いです……」

 兄妹が大量の金色の実を持って喜んでいる。カノンは落ち込んでいるフリをしている。
 無理矢理に奪われる前に、自主的に伝説の実の身代わりを渡した。

「この実、金色だけど、桃みたいに甘くて美味しいね♪」
「これなら70個なんて余裕で食べられるぜ!」

 兄妹二人は金の桃を美味しそうに食べている。
 頑張って70個食べても、体重ぐらいしか上がらない。
 金の桃は奪えても、リーダーの座は簡単には奪えない。

 ♢

「はい、武器です。食べた分は働いてもらいますよ」

 石像遺跡と呼ばれるダンジョンに到着した。
 カノンは桃汁で口と手がベタベタの兄妹に武器を渡した。

「そうそう、これこれ! これがないとな!」
「今度はルセフお兄ちゃんに取られないように、隠さないとね」

 ジャンには魔法剣のクリスタルソード、シリカには神風の刃杖を渡した。
 どちらも500万ギルドを超える高性能な武器だ。

 石像遺跡は神聖な場所で、遺跡の中は神殿のような造りになっている。
 青黒い岩で造られた広すぎる通路が、一本道の迷路のように続いている。
 広い室内もあり、上や下に続く階段にも遭遇する。

 遺跡には風フライム以外にも、人型石像のゴーレム、鳥型石像のガーゴイルがいる。
 地中深くを流れる龍脈の影響で、岩に生命が宿って、魔物化してしまった。
 頑丈な石像は石材として、建築資材に重宝されている。

「禁猟期間は守れレムッ~‼︎」

 灰色ゴーレムの身体が中心から縦に、青く輝く魔法剣に切断された。
 普通の武器だと傷つけるのも大変な強敵だが、最強武器を持つ兄妹には関係ない。
 ゴーレムもガーゴイルも次々に倒されていく。

「しゃーあ! 俺の剣の前には空気と一緒だぜ!」
「お兄ちゃん、一人で倒し過ぎだよ。お兄ちゃんも切断するよ」

 一人で突撃して石像を倒すジャンに、シリカが怒った。
 石像の前に立たれたら、ジャンが邪魔で魔法が使えない。

「そんなことしたら、ハゲロングみたいにお前の髪を切ってやるよ」
「髪は女の子の命なんだよ! そんなことしたら、お兄ちゃんのちんちん切断するからね!」
「ひいいい⁉︎ や、やめろよぉー! 冗談でも言っていいことがあるんだぞ!」
「じゃあ、冗談じゃなかったら、言っていいんだよね‼︎」
 
 喧嘩する兄妹の後ろを歩くカノンは、アイテムポーチに倒された石像を回収している。
 完全に二人の荷物係みたいになっている。それでも最年長らしく注意した。

「お兄ちゃんをお姉ちゃんにしてもいいですけど、風フライムは絶対に倒したら駄目ですよ」
「何言ってんだよ⁉︎ お姉ちゃんにするのも絶対に駄目だよ‼︎」

 過激な喧嘩兄妹を止めるつもりはないようだ。
 大事な風フライムだけは切断しないように、しっかり注意した。
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