没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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16日目

手乗りパトラッシュ

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 カノンが朝起きると、予報通りに雨が降っていた。
 エリックは傘を使わずに、家から直で小型の飛行船に乗って、今日も営業に向かった。
 飛行船の注文依頼だけが大量にありそうだ。

「はぁー、雨は嫌です。わざわざ外出したくないです」

 二階の窓から外を眺めて、カノンはやる気なさそうだ。
 レベル100になって、頂点を極めたと退屈している。
 早くも冒険者倦怠期に突入したようだ。

 それでも朝食を食べると、着る雨具を作って、寝ているパトラッシュを起こした。

「パトラッシュ、行きますよぉー」
「クゥーン?」

 頑張って出かけるようだ。
 今日は雨だから、パトラッシュは家でお休みだと思っていた。
 こんな雨の日にずぶ濡れになって、外を動き回りたくない。

「まずは教会に行ってください。その次は冒険者ギルドです。最後に牧場に行きますよ」
「ク、クゥ~ン」

 だけど、飼い主の今日の予定はもう決まっている。
 パトラッシュの尻尾を両手で掴んで、外に引っ張っている。
 尻尾が引き千切れる前に、出かけた方が良さそうだ。

「昨日の夜に、凄いことに気づいてしまったんです。レベル30で新しいスキルが貰えたから、レベル100なら絶対に貰えるはずです! パトラッシュも貰えると思いますよ。キチンとお祈りするんですよ」
「ワフゥ」

 カノンは大発見したように言っているが、雨に濡れるパトラッシュが一番欲しいのは温かいお風呂だ。
 人間用の普通サイズの風呂には、もう大きな身体は入らない。
 巨大船を作れるなら、犬用とドラゴン用の巨大風呂を作って欲しい。

「よいしょ。パトラッシュは水を飛ばして入ってくださいよ」
「ワフフフフ~~ッッ‼︎」

 そんなことを考えて走っていたら、もう教会に着いてしまった。
 カノンが背中から降りると、身体をブルブルと激しく震わせて、水滴を飛ばしている。
 まだまだ生乾き状態だが、次は冒険者ギルドに行くから、このぐらいで十分みたいだ。
 パトラッシュも教会の中に入って行った。

「これで二人お願いします」
「……分かりました」

 祈りの間を見張る神父を完全に買収している。
 カノンが大金貨を2枚渡すと、すぐに目を閉じて瞑想を始めた。
 パトラッシュが這うように進んで、大きめの両開きの扉から祈りの間に入った。

「フフッ。パトラッシュからいいですよ」
「ワフゥ」

 笑っているカノンに言われて、パトラッシュはすぐに祈り始めた。
 自分の役割が分かっている。パトラッシュは完全なかませ犬だ。

【ジョブ=神業芸犬
 スキル1=スキル習得者のスキルを見ることで、その者のスキルを高確率で覚えることが可能
 スキル2=MPを消費することで、果物、野菜、木の実、キノコ、草から酒を製造することが可能】

 相変わらずスキル数が少ないが、エリックの酒造りに付き合ったから、一つ増えている。
 それにジョブが格上になったことで、スキル1の内容が変化している。
 前よりもスキルを覚えやすくなったみたいだ。

「なるほど。こんな感じになるんですね。次は私の番です」

 床の青白く光る魔法陣がパトラッシュに吸収されると、カノンが祈り始めた。
 予想通りレベル100になったら、新しいスキルが貰えた。
 床がまた光り始めると、大量の文字が床に浮かび上がっていく。

【ジョブ=神業道具師
 スキル1=道具の情報を見ることが可能
 スキル2=MPを消費して、壊れた道具を修復することが可能
 スキル3=所有権のある持ち物に経験値を獲得させて、レベルアップさせることが可能
 スキル4=進化レベルに達した道具を、MPを消費して進化させることが可能
 スキル5=MPを消費して、所有権のある持ち物を解体することが可能
 スキル6=MPを消費して、道具の製作が可能(使用素材で大きさ、形、色、質を変更可能)
 スキル7=MPを消費して、所有権のある同種の道具同士を合成することが可能(合金、合革、合布など)
 スキル8=MPを消費して、所有権のある道具のステータス効果、その他の効果を抽出・注入することが可能
 スキル9=MPを消費して、所有権のある道具を縮小化、縮小解除することが可能】

「うーん、たったの3つですか。思ったよりも少ないです」

 パトラッシュの予想通り、この世には不公平が存在する。
 だけど頑張れば、パトラッシュは全部のスキルを覚えることが出来る。
 不公平な存在は一人だけじゃない。

「とりあえずミニパトラッシュにしてみますか」
「ワァーン‼︎」

 カノンは躊躇なく動物実験を始めた。
 スキル9の縮小化をパトラッシュに使い始めた。
 大きなパトラッシュがどんどん小さくなっていく。
 ある程度小さくなると、指で摘んで持ち上げた。

「クゥーン、クゥーン!」
「わぁ~♪ 手乗りパトラッシュです! これなら家でドラゴンもフライムも飼えます!」

 左の手の平に乗っている小さなパトラッシュが、元に戻してくれと鳴いている。
 カノンは喜んでいるが、間違って踏み潰されたら死んでしまう。
 必死に頼んで、やっと普通の大型犬に戻してくれた。
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