没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
62 / 121
16日目

スライム勧誘

しおりを挟む
「これなら船に乗れるから、もう雨具は要りませんね」
「ワフゥ」
「…………」

 祈りの間から、カノンとパトラッシュが出て来た。
 祈りの間の前にいた神父は、小さくなったパトラッシュに気づいたが、今は何も見えない。
 瞑想中のフリをして、一人と一匹が教会から出て行くのを見送った。

「あの娘……中級、上級冒険者か。念の為に上に報告するか」

 カノン達がいなくなると、神父は危険人物の可能性を考えて、教会の上に連絡に行った。
 ちょっと遅すぎる対応だが、間違った対応ではない。

「魔物も同種なら合成できそうです。訓練所のスライムで実験しましょう」

 カノンは雨具を脱ぐと、サメ型飛行船の後ろにパトラッシュを乗せた。
 これから冒険者ギルドに行って、パーティ申請書と認め印を貰う。
 そして勝手にスライムを仲間にして、所有物にするつもりだ。
 完全に危険人物の行動だ。

「うーん、問題は署名ですけど……パトラッシュが説得すれば大丈夫ですね!」
「クゥーン」

 カノンは良い笑顔で言った。共犯のお誘いだ。
 父親と同じで悪い方向に知恵は回るが、その先には失敗しか待っていない。
 それに気づいていない。

「おはようございます、ディランさん。パーティ申請書の作り方を教えてください」

 冒険者ギルドに到着すると、カノンはカウンターのディランに挨拶して頼んだ。
 特別経営相談役の娘が頼んだら、嫌とは言えない。

「絶対に失くすなよ」
「大丈夫です。すぐに返します」

 ディランはやり方を嫌そうに教えて、すぐに返すように言って、大きな円形の認め印を渡した。
 言われた通りにカノンはハサミで切って、すぐに修復して2本に増やして返した。

「これでパーティ作り放題です」

 認め印以外にも、申請書も破いて増やしている。
 訓練所に到着すると、パトラッシュに勧誘を任せた。

「死ぬか、仲間になるか、選ぶワン」
「殺さないでスラーッ‼︎」

 パトラッシュが口を開けて、鋭い歯を見せて、スライムに頼んだ。
 最初に勧誘したスライムは断ったから、鋭い歯で噛み千切られた。
 今度のスライムは賢いスライムだから、仲間になるようだ。

【名前=スライム 種族=スライム 損傷率=0%
 レベル=1(必要経験値0/10) 進化レベル=15 HP=15/15 MP=60/60
 力=10 体力=10 知性=6 精神=6 器用さ=6 素早さ=6】

 黒ペンを渡すとスライムが、パーティ申請書に魔物文字で署名した。
 落書きみたいな文字だが、カノンが認め印を押すと、キチンと仲間に出来た。

「うわぁー、凄く弱いです」

 スライムのステータスを見て、正直な感想をカノンが言っている。
 だけど、力と体力はレベル1の時のカノンよりも上だ。
 体重と身体の大きさが同じなら、間違いなくやられていた。

「うーん、スライムにしかなりません。失敗です」

 スキル7の合成を何度も試した結果、カノンは答えを見つけた。
 スライムにスライムを合成しても、スライムにしかならない。
 小麦粉に小麦粉を混ぜているようなものだ。
 料理を作りたいなら、小麦粉に砂糖や水を混ぜるしかない。

「パトラッシュ。危ないから、この合成スライムは倒してください」
「は、話が違うスラッー‼︎」
「覚悟するワン」

 何度も合成したから、もう普通のスライムじゃないかもしれない。
 そんな危険なスライムを訓練所には置けない。
 訓練所の外に持ち出すのは禁止だから、出来ることをやるしかない。

「ぎゃああああ~スラッ‼︎」

 合成スライムは無事に噛み倒された。
 あとは畑の肥料として、立派に活躍してくれる。

「仲間には出来るみたいです。次は氷と風フライムの合成です。無理なら一回進化させてみましょう」

 スライムの実験結果をまとめると、カノンは次の目的地の第一牧場に向かった。
 まだまだ実験は始まったばかりだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう

ムラサメ
恋愛
​漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。 死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。 しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。 向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。 一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?

処理中です...