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23日目
改造スライム・花酒
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「はぁー、ミランダ姉様は面倒くさいです」
怒った姉が部屋から出て行くと、カノンは窓を開けて出かける準備を始めた。
使用人達の所に行っても、誰も魔物狩りに行かないのは分かっている。
使用人達を雇っているのは、ミランダじゃなくてロクサーヌだ。
ロクサーヌが反対しているのに、ミランダの為にやりたい使用人はいない。
ミランダにそんな人望はない。
「まずは下水道からスライムを捕獲です。フローラ姉様に訓練所をプレゼントです!」
ダンジョンに行けない、大好きなフローラの為なら、カノンは頑張れる。
下水道からスライムを2匹誘拐して、パーティ申請書に署名させる。
次に進化レベル15まで上げる。レベル15のスライムは経験値15倍だ。
あとは庭に頑丈な訓練所を作って、監禁するだけだ。
2倍速の魔法をスライムに使えば、短時間で大量分裂させられる。
「ふふふっ♪ ミランダ姉様と違って、完璧な計画です。フローラ姉様と使用人達が使い終わったら、可哀想だから姉様にも使わせてあげましょう」
計画は完璧だが、やはり姉妹の頭の出来は大して変わらない。
カノンがどこかのダンジョンで、魔物をたくさん倒せばいいだけだ。
パーティ申請書に姉妹と使用人に署名させているのを忘れている。
サメ型飛行船で街の下水道に向かうと、下水道の扉の鍵を壊して侵入した。
器物破損だが、急いで修復して証拠隠滅した。帰りも証拠隠滅しないといけない。
「訓練所のスライムを倒して、少しレベルを上げましょう♪」
「助けてスラッ~!」
魔物誘拐は手慣れたものだ。虫網に2匹捕獲すると、下水道の出口を目指した。
次の目的地は訓練所だ。40匹倒せば、レベル3になる。
♢
「訓練所完成です!」
悪魔の部屋の完成だ。庭の隅っこにクリスタル訓練所が完成した。
バレないように牧場のように大量に作らないで、一軒だけヤバイのを作った。
「わぁ~♪ 完璧です!」
扉を開けるとたったの数分で、2匹のスライムが60匹になっていた。
素早さ+999に、2倍速の時魔法を使える改造スライム・レベル3だ。
倒した瞬間に分裂するぐらいに、分裂速度が異常だ。
外に2匹逃した瞬間に、人類滅亡の危機が発生する。
「神風ダガーを持ってないと倒せませんね。まあ、範囲魔法で倒せば問題ないですね」
素早さ999のスライムを倒すには、こっちも素早さ999にならないと無理だ。
でも、立ったままでは速すぎて目では見えない。
同じ速度で移動している時だけ、通常速度のスライムとして見ることが出来る。
時精霊と同じでやり過ぎ注意だ。
「はぁ~い、どうぞ」
——コンコンコン。
フローラの部屋の扉を叩くと、すぐに返事が返ってきた。
扉を開けて入ると、フローラが花びらを千切っていた。
見てはいけないものではない。
「フローラお姉様、何をしているんですか?」
「ん? これはお父様にお願いして、花酒を作ってもらう為よ。傷ついた花びらだと味が変になるから分けているの。紅茶に数滴使うだけで、とっても良い香りがするのよ♪」
カノンが聞くと、フローラは千切って小瓶に集めた花びらを見せた。
複数の小瓶に花の種類ごとに分けられている。
「何だか美味しそうですね。私もお手伝いしていいですか?」
「ええ、もちろんいいわよ」
「わぁーい!」
部屋に来た目的を忘れて、カノンは椅子に座ると花を千切り始めた。
「姉様がこんなことしていたなんて、知らなかったです」
「たまにお願いはしていたのよ。でも、最近はお父様が家にいるからかしら? お父様が若い頃は、頑張って花畑で集めた花で、花酒をお母様に贈っていたそうよ」
「へぇー、そんな頃もあったんですね。今では考えられないです」
「あら♪ 今でも結婚記念日には毎年違う花酒を贈っているそうよ。私、結婚するなら、お父様のような人がいいわ」
雑草酒で落ちぶれる前は、エリックは娘達に高評価だ。
二人で楽しく会話しながら作業して、あっという間に花びらを使いきってしまった。
「ありがとう、カノン。お陰で助かったわ。完成したら、カノンにも渡すわね」
「はい、楽しみです」
「ふふっ。あ、それよりもカノンは用事があって来たんじゃないの? もちろん遊びに来てくれただけでも、お姉ちゃんは嬉しいわよ」
フローラがカノンにお礼を言うと、部屋に来た理由を聞いた。
作業中に聞く余裕は十分にあったが、二人とも作業に集中して忘れていた。
「そうでした‼︎ 庭に訓練所を作ったので、フローラ姉様を誘いに来たんです。簡単にレベルが上がるので、もっと綺麗なお花を作れますよ」
「まぁ~。カノンの手作り訓練所? お姉ちゃん楽しみだわぁ~♪ 行ってもいいの?」
「はい、姉様の為に作りました。遠慮なく使ってください!」
可愛い妹が作ったのは、段ボールで作った小さな訓練所ではない。
行くなら死ぬ覚悟が必要だ。
怒った姉が部屋から出て行くと、カノンは窓を開けて出かける準備を始めた。
使用人達の所に行っても、誰も魔物狩りに行かないのは分かっている。
使用人達を雇っているのは、ミランダじゃなくてロクサーヌだ。
ロクサーヌが反対しているのに、ミランダの為にやりたい使用人はいない。
ミランダにそんな人望はない。
「まずは下水道からスライムを捕獲です。フローラ姉様に訓練所をプレゼントです!」
ダンジョンに行けない、大好きなフローラの為なら、カノンは頑張れる。
下水道からスライムを2匹誘拐して、パーティ申請書に署名させる。
次に進化レベル15まで上げる。レベル15のスライムは経験値15倍だ。
あとは庭に頑丈な訓練所を作って、監禁するだけだ。
2倍速の魔法をスライムに使えば、短時間で大量分裂させられる。
「ふふふっ♪ ミランダ姉様と違って、完璧な計画です。フローラ姉様と使用人達が使い終わったら、可哀想だから姉様にも使わせてあげましょう」
計画は完璧だが、やはり姉妹の頭の出来は大して変わらない。
カノンがどこかのダンジョンで、魔物をたくさん倒せばいいだけだ。
パーティ申請書に姉妹と使用人に署名させているのを忘れている。
サメ型飛行船で街の下水道に向かうと、下水道の扉の鍵を壊して侵入した。
器物破損だが、急いで修復して証拠隠滅した。帰りも証拠隠滅しないといけない。
「訓練所のスライムを倒して、少しレベルを上げましょう♪」
「助けてスラッ~!」
魔物誘拐は手慣れたものだ。虫網に2匹捕獲すると、下水道の出口を目指した。
次の目的地は訓練所だ。40匹倒せば、レベル3になる。
♢
「訓練所完成です!」
悪魔の部屋の完成だ。庭の隅っこにクリスタル訓練所が完成した。
バレないように牧場のように大量に作らないで、一軒だけヤバイのを作った。
「わぁ~♪ 完璧です!」
扉を開けるとたったの数分で、2匹のスライムが60匹になっていた。
素早さ+999に、2倍速の時魔法を使える改造スライム・レベル3だ。
倒した瞬間に分裂するぐらいに、分裂速度が異常だ。
外に2匹逃した瞬間に、人類滅亡の危機が発生する。
「神風ダガーを持ってないと倒せませんね。まあ、範囲魔法で倒せば問題ないですね」
素早さ999のスライムを倒すには、こっちも素早さ999にならないと無理だ。
でも、立ったままでは速すぎて目では見えない。
同じ速度で移動している時だけ、通常速度のスライムとして見ることが出来る。
時精霊と同じでやり過ぎ注意だ。
「はぁ~い、どうぞ」
——コンコンコン。
フローラの部屋の扉を叩くと、すぐに返事が返ってきた。
扉を開けて入ると、フローラが花びらを千切っていた。
見てはいけないものではない。
「フローラお姉様、何をしているんですか?」
「ん? これはお父様にお願いして、花酒を作ってもらう為よ。傷ついた花びらだと味が変になるから分けているの。紅茶に数滴使うだけで、とっても良い香りがするのよ♪」
カノンが聞くと、フローラは千切って小瓶に集めた花びらを見せた。
複数の小瓶に花の種類ごとに分けられている。
「何だか美味しそうですね。私もお手伝いしていいですか?」
「ええ、もちろんいいわよ」
「わぁーい!」
部屋に来た目的を忘れて、カノンは椅子に座ると花を千切り始めた。
「姉様がこんなことしていたなんて、知らなかったです」
「たまにお願いはしていたのよ。でも、最近はお父様が家にいるからかしら? お父様が若い頃は、頑張って花畑で集めた花で、花酒をお母様に贈っていたそうよ」
「へぇー、そんな頃もあったんですね。今では考えられないです」
「あら♪ 今でも結婚記念日には毎年違う花酒を贈っているそうよ。私、結婚するなら、お父様のような人がいいわ」
雑草酒で落ちぶれる前は、エリックは娘達に高評価だ。
二人で楽しく会話しながら作業して、あっという間に花びらを使いきってしまった。
「ありがとう、カノン。お陰で助かったわ。完成したら、カノンにも渡すわね」
「はい、楽しみです」
「ふふっ。あ、それよりもカノンは用事があって来たんじゃないの? もちろん遊びに来てくれただけでも、お姉ちゃんは嬉しいわよ」
フローラがカノンにお礼を言うと、部屋に来た理由を聞いた。
作業中に聞く余裕は十分にあったが、二人とも作業に集中して忘れていた。
「そうでした‼︎ 庭に訓練所を作ったので、フローラ姉様を誘いに来たんです。簡単にレベルが上がるので、もっと綺麗なお花を作れますよ」
「まぁ~。カノンの手作り訓練所? お姉ちゃん楽しみだわぁ~♪ 行ってもいいの?」
「はい、姉様の為に作りました。遠慮なく使ってください!」
可愛い妹が作ったのは、段ボールで作った小さな訓練所ではない。
行くなら死ぬ覚悟が必要だ。
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