没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
108 / 121
24日目

卵料理作戦

しおりを挟む
 古い火竜の卵の欠片を修復すると、26センチの楕円形の赤色卵になった。
 次にアイテムポーチからフライパン、油、神火の杖を取り出した。
 硬い卵にヒビを入れて、熱したフライパンに中身を落とした。

「残念。生でした」

 ジュ~♪と生卵が音を立てて、焼かれていく。
 倒した魔物が修復で生き返らないのは、カノンは知っている。
 ちょっと子供ドラゴンを期待したが、目玉焼きにするしかない。

「ルセフさんはケチャップ派、マヨネーズ派、それともレモン派ですか?」
「食べねえよ」

 カノンがアイテムポーチから調味料を出して聞いた。
 カノンはレモン派だが、ルセフは唐辛子派だ。だが、それはどうでもいい。
 ルセフはカノンの手料理を食べるのを拒否した。

「好き嫌いすると大きくなれないですよ。はい、パトラッシュ。食べていいですよ」
「ワフゥ、ワフゥ♪」
「……食べるのかよ」

 鉄皿に目玉焼きを移すと、ケチャップをかけた。パトラッシュは普通に食べている。
 何十年前の卵か分からないから、ルセフと一緒で誰も食べたくない。

「この匂いに釣られて、魔物の方から来ればいいんだけどな」
「化け物が二人もいなければ、普通はやらねえよ。一度に何十匹来るか分からねえからな」
「私は化け物じゃないですよ。普通の使用人です」

 現在は食事中ではなく、休憩中だ。
 当てもなく歩き回るよりは、魔物の方から来てもらった方が助かる。
 カノンが修復した家に隠れて、窓から魔物が来るのを待っている。

 予想通りにしばらくすると、数匹のヘルハウンドが瓦礫の中から現れた。
 地獄の猛犬は鼻が良いから、美味しそうな匂いに気づいたようだ。
 ナンシーが作った、肉入り半熟オムレツは良い匂いがする。
 料理人を交代したら、すぐにやって来た。

「やはり美味い料理で呼び出した方が早かったな」
「まったく、ゆっくり食べさせてほしいぜ」

 目玉焼きは食べないのに、オムレツは大人気だ。
 ルセフとウェインは食べた。裏切り者のパトラッシュも食べた。
 鉄皿には目玉焼きが、パンケーキのように積み重なっている。

「私の料理は庶民の口には合わないみたいです。まあ、仕方ないですね」

 上手い躱し方だが、求められたのは美味いだ。
 ヘルハウンドを倒して、目玉焼きのレベルを上げて進化させるしかない。
 そうすればきっと、オムレツよりも美味い目玉焼きになる。

「ナンシー、お前は固まっているのを倒せ! 単独なのは俺達でやる!」
「はい! はぁー、私が一番多いんですけど……」
「うんうん、連携が上手く取れてます。今のうちに調べますか」

 使用人がこき使われているのを、カノンは窓から見学中だ。
 武器のお陰で実力が飛び抜けているから、頼りにされるのは仕方ない。
 任せていても問題なさそうだから、カノンは万能魔物図鑑を開いた。
 周囲にどんな魔物がいるのか、調べることが出来る。

「……犬ばかりです。ん? あ、いました!」

 廃都の地図に浮かぶ、魔物の名前を見ていく。
 ヘルハウンドばかりだが、火竜の名前を見つけた。
 現在地から北東の方角に火竜を発見した。
 動く気配がないから、寝ているのかもしれない。

「当てたらマズイから、近くを狙わないと」

 カノンは調理器具になっていた神火の杖を窓から出して、北東に狙いを定めた。 
 今の改良した魔法の杖は弾、槍、刃、柱の四つの形状の魔法を、全て一つの杖で使える。

 カノンはその中から極大火爆弾を選択した。
 広範囲を破壊できて、音も大きいから、熟睡してても起きる。
 斜め上に構える杖の先端に、赤い火の大玉が瞬時に作られていく。
 2倍速の魔法をかければ、火の玉を速く遠くまで飛ばせる。

「このぐらいでいいですね」

 賢い頭で計算して、カノンは火竜の近くに向かって、極大火爆弾を発射した。

「おお! これは予想通りです! 完璧過ぎて怖いぐらいです」

 自分で投げたみたいに、大きな火の玉は飛んでいく。
 上昇から下降に切り替わり、目標の落下地点に落ちていく。
 そして地面と火竜に激突——ドゴォン‼︎と大爆発した。

「……ぎゃあ……ぐごっ……ドラ……」
「うーん、ほとんど何も聞こえません。意外と破壊力が低いんですね。魔法攻撃力を上げないと」

 距離があるから爆発音は小さかった。だが、成功なのは間違いない。
 北東の方角から焼き起こされた火竜が、こっちに向かって飛んで来る。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

処理中です...