没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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24日目

ルセフ対火竜

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「これは……奴が来るヘル!」
「あの馬鹿女、また何かしやがったな」

 戦闘中なのにヘルハウンドが、危険を感じて逃げ出した。
 火竜の接近に気づいたようだ。このままだと食べられる。

「ルセフさんぁー、火竜が来ますよぉー。ナンシーも早く一緒に避難しましょう」
「やっぱりか。余計なことしやがって、準備する時間もないじゃないか」

 カノンが建物から出て来て、危険を知らせている。
 パトラッシュは逃げないように縮小して、ポケットに入れた。
 あとはルセフ対火竜の戦いを見学するだけでいい。

「ルセフ、どうするんだ? 火竜のブレスは広範囲だ。それに空中だと手出しが出来ない。建物に隠れて、地上に降りたところを狙うしかないぞ」

 戦闘が始まる前に、ウェインはルセフに倒す作戦があるのか聞いた。
 馬で移動中に聞くつもりが、突然サメ型飛行船に誘拐されてしまった。

「定番の倒し方なら知っているよ。まずは嗅覚を臭い袋で麻痺させる」

 竜の嗅覚が犬以上に鋭いのは知っている。
 ルセフは答えると、アイテムポーチから腐った臭いを放つ袋を取り出した。
 それを周囲に放り投げていく。中身は解体中に出た魔物の身体の一部だ。

「あとはこれだ」
「おいおい、そんな手に引っ掛かるのかよ」
「無理なら別の手を考える。お前もさっさと行け」

 次に両足の先が杭になっている木人人形を取り出した。
 ボロ服を着せているから、地面に突き刺せば、人間に見えなくもない。
 これを食べるには地上に降りるしかない。狙うならそこだ。

 剣を右手に持たせると、ルセフは瓦礫の中に隠れた。
 瓦礫が盾代わりになって、炎から多少は身を守ってくれる。

「ぐううう! 人間どもドラか! 小癪な真似を!」

 カノンが欲しがっていた首や尻尾が細く、胴体が太いドラゴンがやって来た。
 翼ボロボロ、二本の角の片方折れた火竜が、空中から地上を見下ろしている。
 寝ているところをこれだけやられれば、怒るのは当然だ。
 
「焼き死ね‼︎ グゥガァァ~~~‼︎」

 火竜が大きく息を吸い込むと、臭い臭いが充満する地上に向かって、炎の息を吐き出した。
 口から真っ赤な炎が絵筆のように伸びて、地面を炎の絵の具で黒く焦がしていく。

「まだ大丈夫そうだな……」

 瓦礫の中で、ルセフはチャンスがやって来るのを待っている。
 スキルの危険察知で火竜に気づかれたり、死にそうな攻撃が来た時は分かる。
 自分の危険度はまだ安全域だ。

「人間どもめ、この国を取り返しに来たドラか……すんすん? 何だ、この匂いは? ドラゴンの匂いドラか?」

 地上を焼きまくった火竜が地上に降りて来た。古びた石畳の地面が着地の衝撃で粉砕された。
 鼻を鳴らして、焦げ臭い臭いの中から、同種のドラゴンの匂いを見つけて、不思議そうにしている。
 積み重なった目玉焼きの匂いだ。匂いを頼りに修復された建物に近づいていく。

「何だ、これはドラ? 何故、無傷の家が存在しているドラ?」

 そして、細長い四角い三階建ての建物を見つけた。
 破壊された建物の中に一軒だけ、薄い灰色の建物が建っている。
 不思議な現象ではなく、怪現象だ。

 しかも窓から焼かれたドラゴンの匂いが流れてくる。
 ゾクッと火竜なのに寒気がしている。早く逃げた方が良いと本能が警告している。

「今だな」

 建物の前で呆然としている火竜の危険度が急上昇した。
 ルセフはチャンスがやって来たと、瓦礫から抜け出して、火竜に向かって走った。
 まだ気づかれていない。剣を抜くと火竜の弱点をスキルで探した。

 火竜の攻撃は危険察知で、ある程度避けられる。攻撃する場所はスキル『急所探し』で見抜くことが出来る。
 急所に攻撃することで、攻撃力が倍増するスキル『クリティカルヒット』が発動する。

「ん? お前かドラッー‼︎」

 接近する敵の気配に火竜が気づいた。長い尻尾を鞭のように地面スレスレに横に振り回した。
 地面の瓦礫を吹き飛ばしながら、ルセフに尻尾が向かっていく。
 避けられてもいいように、大きく息を吸い込んで、炎の息を吐き出す準備もしている。

「ちっ、片方だけ食らってやるか!」

 ルセフは覚悟を決めると、そのまま突っ込んで、大きく跳んで尻尾を回避した。
 空中を飛んで来るルセフは格好の的だ。火竜は狙いを定めて、炎の息を吐き出した。

「させねえよ!」

 予想通りの攻撃に、ルセフは手に持っていた剣を投げ飛ばした。
 炎の息を突き抜けて、ルセフに真っ直ぐに向いていた火竜の口に、剣が突き刺さった。

「ぐがあああ‼︎」

 喉に突き刺さった剣の痛みで、火竜は炎の息を吐くのを止めた。
 頭を振り回して苦しんでいる。

「ぐぅぅぅ! 思ったよりも熱い!」

 炎に炙られた生焼けルセフが、地面に転がるように着地した。
 素早く立ち上がって、アイテムポーチから剣を取り出した。この程度で火竜は倒せない。
 苦しみ暴れる火竜の懐に入り込むと、首の付け根の急所を剣で狙った。

「ウオラッッ!」
「ぐがあああーっ‼︎」

 赤い竜鱗の隙間を突き破るように、剣が深く突き刺さった。火竜が身体を仰け反らせて絶叫した。
 ルセフは剣の柄から手を離して、急いで離れると、力尽きた火竜が地面に倒れた。
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