没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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24日目

過去戻り・時の杖判定

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「あの野郎、本当に一人でやりやがった」
「本当に凄いです。あんな大きなドラゴンを倒せるなんて」
「えっ? 一人で?」

 火竜が倒された。カノン達はサメ型飛行船の中で、安全に観戦していた。
 ウェインとナンシーが驚いているが、審判カノンはキチンと見ている。
 一人で倒していない。飛行船をルセフの近くに着陸させた。

「お疲れ様です。サービスの回復薬です。そのぐらいの怪我なら簡単に治せますよ」
「どうせ普通の回復薬じゃないんだろ。まあ、助かるから飲んでやるよ。ありがとな」

 カノンは船の扉を開けると、素早く回復薬を差し出した。
 火竜を倒した達成感からか、今のルセフは機嫌が良い。
 いつもなら毒薬だと疑うのに、極上回復薬をお礼を言って受け取っている。
 
「凄いじゃないか、ルセフ! 最大レベルが上がったんじゃないのか!」
「ははっ。そうかもれしないな。見てみるか」

 ウェインはルセフに駆け寄ると、凄いと興奮して褒め始めた。
 火竜を倒して手応えを感じているのか、ルセフもステータスを確認しようとした。
 だがステータスを確認する前に、カノンが楽しい雰囲気をぶち壊した。

「あー、すみません。これ没収しますね。私の魔法が当たって、瀕死だったからいいですよね?」
「はぁ? 何言ってんだ、お前? 駄目に決まっているだろ」

 倒れている火竜を指差して、ルセフに向かって言った。
 一人で倒すというルール違反をしたから、火竜を受け取る権利はない。
 本人は認めないつもりだが、火竜は戦う前から負傷していたのは事実だ。

「カノンお嬢様、流石にそれは酷いです。魔物はトドメを刺した人の物ですよ」
「そうだよ、カノンちゃん。魔法を撃つ前からボロボロだったんじゃないの? それに当てたっていう証拠はあるの?」

 だけど、審判の判定に不満がある人が二人も現れた。
 ナンシーとウェインの二人が、ルセフに違反はなかったと抗議を始めた。

 それもそのはずだ。魔法を当てたと言っているのは、カノンだけだ。
 審判が嘘を言っていると言われても仕方ない。

「そう言われるとそうかもしれません。私のコントロールは抜群だから、当たるのは変です……」

 その結果、カノンが誤審だったと思い始めた。そんなわけはない。
 火竜の頭と背中に間違いなく当たった。爆発に飛ばされて、地面を転げ回った。

「あ! ちょうどいいのがありました! 飛行船に乗ってください!」
「ん?」

 どうするべきか考えた結果、カノンは名案を思い付いた。
 三人を飛行船に乗せると、極大火爆弾の落下地点上空に向かった。
 アイテムポーチから時の杖を出すと、落下直前の過去に戻った。

 ♢

「ぐぎゃあああ‼︎ ぐごっおお、お、おのれ~」
「ほら、当たっているじゃないですか!」
「…………」

 理解不能の超常現象に三人は呆然としている。
 時の杖判定の結果、違反が確認された。火竜は没収される。
 上空から四人で確かめたが、間違いなく直撃している。

 爆発に吹き飛ばされた火竜が、地面を転がりながら瓦礫を破壊した。
 道を歩いていたら、馬車に轢かれてしまったぐらいの衝撃だ。
 全身打撲、骨折も何ヶ所もあるはずだ。

「ねえ、カノンちゃん。俺達、元の時間に戻れるよね?」
「無理です。時間が経てば、元の時間にはなります。でも、早めに過去の自分と合成です」

 遠くを見て現実逃避中のウェインに聞かれて、カノンは答えた。
 時の杖は過去への一方通行だ。未来へは行けない。
 ついでに合成しないと未来もない。

「うん、よく分からないけど、そうするよ。疑ってごめんね」
「いいんです。間違いは誰にでもあります。早く私達を合成しましょう」

 自分の理解できないことが起きると、人間は考えるのをやめるみたいだ。
 過去の自分達がカノンに倒されるのを、三人は黙って見ているしか出来なかった。

「はい、ルセフさん。火解の護符です。これでもう一回火竜を倒してくださいね!」
「……」

 ルセフは過去の自分と合成させられた。
 カノンに戦闘が楽になる装備を渡されたが、火竜を倒しても火竜は貰えない。
 何の為に倒すのか意味が分からない。
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