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第一章
第2話 初キスと初魔物
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「えっ? えっ? 生徒会長? えーっと、それはどういう意味があるんですか?」
七海は森の左右を意味もなく一度見た後に聞いてきた。誰もいないし、二人っきりだ。
冗談なのか、何か意味があるのか考えて、分からなくて困った顔をしている。
「簡単な命令をしたんだよ。履いているパンツを脱ぐだけでいい。それで命が助かる。俺の杖は毒だ。相手を毒状態にする事が出来る杖だ。パンツを脱げば、これを七海に使わないで済む」
「あっははは。生徒会長、ちょっと悪い冗談はやめてくださいよ! 怒りますよ!」
理解できるように話したつもりだったが、理解できなかったようだ。
冗談だと笑って、左手を軽く上げて怒ったポーズをしている。
どうやら、真面目で優しい生徒会長がそんな事を言わないと思っているようだ。
こんな異世界で頑張っても、大学への推薦も一流企業への就職も約束されない。
無償で働く人間がいると信じているなら教えてあげないといけない。
「どうして冗談だと思う? 俺は本気だぞ」
杖の先端を七海から水平に右に移動すると、杖から毒が飛び出るイメージで「ポイズン」と唱えた。
即座に杖の先端から毒々しい紫色の直径六センチの球状の毒の塊が発射された。
豪速球とは言えないが、手に握った小石を投げる程度には速い。
パァンと毒弾が直撃した木からは、紫色の煙が上がっている。
木の表面が溶けたり、腐ったりする効果はないようだ。
ジワジワと染み込んで痛め付けるタイプの毒のようだ。
「強酸性ではないようだ。身体は溶けないようだが、直撃すれば皮膚と肉は壊死するだろうな。七海。まだ、冗談だと思っているなら、次はお前に当てる。リカバリー出来るか試したいからな」
杖の先端を再び向けると、「ひいっ」と七海が微かに怯えた声を出した。少しは理解したようだ。
「あのぉ……生徒会長、パンツを脱ぐだけでいいんですか?」
「それ以外に何かして欲しい事でもあるのか?」
緑と黒のタータンチェックスカートの裾を恥ずかしそうに両手で掴んで、七海が聞いてきた。
なので、逆に聞き返すと七海は何かを想像して、さらに恥ずかしそうな顔で俯いた。
「あぅぅぅ……いえ、無いです」
「そうか。だったら早く脱ぐんだ」
身体を震わせている七海に容赦なく、脱ぐように命令した。
七海は俺から見えないようにスカートの後ろ側から両手を入れると、抵抗するようにゆっくりと下着をずり下ろしていく。やがて膝下から薄い黄色の下着が現れた。
両足を片方ずつ上げて下着を脱ぐと、七海は下着を丸めて両手で包んで見えないように隠した。
「駄目だ。七海、下着を渡せ」
「えっ、どうして……?」
「欲しいからに決まっている。早く渡せ」
「はぅぅぅ!」
杖を右手で持って、左手を七海の前に差し出して要求した。
恐怖よりも羞恥心の方が勝っているようだ。
顔を真っ赤にしながら、俺の手のひらに両手を置くと、手を開いて下着を置いた。
「よく出来ました。七海は縞々の黄色パンツを履いているんだな。知らなかったよ」
「さ、最低……」
左手のパンツを指で摘むと顔の前で広げて観察した。
そんな俺の姿に七海は目に涙を浮かべて、初めて嫌悪の表情を見せた。
パンツには細い黄と白の横縞が何本も積み重なり、ヘソの部分には小さなピンクのリボンが付いている。
生温かさと湯上がりの女性の匂いが微かに残っている。
「もういい。七海、行くぞ。ここにいたらクラスの奴らに捕まる。そしたら、お前が知っているエッチな事をクラスの男子全員にされるぞ」
下着をブレザーの左ポケットに仕舞うと杖で前方を指して、歩けと命令した。
こんな所でのんびりと遊んでいる時間はない。
「そんな事しないよ。先生だっているし、皆んな友達じゃない」
「どうして、大丈夫だと言える? 現にお前は俺にこんな事をされている。絶対はない。女が一人、男が十三人、エレベーターの中に閉じ込められて、助けが来ないと分かれば、女がどうなるか分かるだろう?」
「生徒会長が言ってる意味は分かるけど、ならないかもしれないでしょう? こんなの間違っているよ!」
歩けと命令しているのに、七海はその場から動こうとしない。逆に俺を説得しようとしている。
まだ、自分の立場が分かってないようだ。杖の先端を向けたまま七海に近づいていく。
「七海、何か勘違いしてないか? 俺はお願いしているわけじゃない。奴隷に命令しているんだ」
「奴隷? それって、私のこと……」
「あぁ、そうだ。お前は奴隷だ。それとも性奴隷の方がいいか?」
杖の先端がフニュッと七海の柔らかい左胸に沈むと「ひんっ」と可愛い声が聞こえた。
杖で何度も左胸を軽く突いていく。「や、やめてぇ」と七海はか細い声で抵抗するが、そういうのが男を興奮させるのを分かってない。
「七海、キスするぞ」
「えっ……」
そう言って抱き寄せると、意味の分かっていない七海の唇にキスをした。
「んっ⁉︎」と目を見開いて驚いている七海に濃厚なキスを続ける。
舌と舌が触れ合って、お互いの唾液が口の中で混ざり合う。
四十秒程キスをすると七海の身体を離した。
「もう分かったな。早く歩け。次はキス以上の事をする」
真っ赤な顔で口を大きく開けて「はぁっ、はぁっ」と息を繰り返す七海に言った。
無反応なので俯いている顔を持ち上げて、もう一度キスをする。今度は十秒程で唇から離れた。
「んっ、ふっ……」
「早く行くぞ。それとも、キス以上の事をして欲しいのか?」
「ふぁっ、う、うん……」
真っ直ぐに目を見つめて聞くと、七海はゆっくりと目を逸らしてから、フラフラと歩き始めた。
ショックで意識が朦朧としている感じがする。時々、木に打つかりそうになっている。
「うぅぅ、ファーストキスだったのに……」
「安心しろ。俺も初めてだ」
「そんなのどうでもいいよ。うぅ、まだ口の中に感触が残ってる。消毒液でうがいしたい」
歩きながら自分の唇を何度も指で触って、気にしている七海に教えた。
お互い初めて同士なら気持ち的な問題はない。そう思ったが女子には初めては特別のようだ。
軽く睨んできた。
「だったら、まずは水を見つけるしかないな。これだけ木が生えているなら、水は豊富にあるはずだ」
睨んでいる七海に、眼鏡の中心を指で軽く持ち上げると自信を含ませて言った。
だが、そんなに都合良く綺麗な水溜りも川も見つからない。お互いの尿を飲む覚悟も必要だ。
「あっ、生徒会長、あれ……」
「何だ?」
ゆっくりと立ち止まると、七海が前方を指差して小声で言ってきた。何か見つけたようだ。
杖を構えて、七海が指差した方向を見ると、茶色い巨大イモ虫が地面を這っているのが見えた。
「八十センチ以上、動きは遅いが複数匹いるのは面倒だな。それにどんな攻撃手段を持っているのか分からない」
木の陰に隠れて、中型犬並みに大きな巨大イモ虫を観察する。
見える範囲に四匹いて、地面に落ちている緑色の葉っぱを食べている。
地面の落ち葉が少ないのは、イモ虫が食べていたようだ。
だとしたら、たったの四匹は少な過ぎる。最低でも二百匹はいると想定した方が無難だ。
「じゃあ、逃げた方がいいですよね?」
「いや、倒した方がいい。あれが魔物なら杖を成長させる事が出来る。杖を返すから、七海は後方から援護しろ」
「あっ、うん……」
「一応言っておくが逃げたりしない事だ。攻撃手段が無いお前は、イモ虫や他の魔物の餌にしかならないからな」
「うぅ、分かってるよ」
七海に杖を返すと、逃げないように注意した。
不安そうな顔で七海は同意するが、本当はクラスの奴らの所まで逃げられたくないだけだ。
……まぁ、だいぶん離れたから合流するのは難しいだろうがな。
「さて、害虫駆除を始めるか」
杖を正面に構えて、イモ虫に近づいて行く。杖の力で身体能力は上昇しない。
杖はただの拳銃のような物で、俺自身は生身の人間のままだ。
攻撃を喰らえば呆気なく死んでしまうかもしれない。
「ポイズン」と連続で唱えて、一匹の巨大イモ虫に集中攻撃する。
パァン、パァンと毒弾が直撃すると、イモ虫の身体が僅かに揺れ動くがそれだけだ。
毒弾の衝撃力は大した事がない。突進して来た魔物や物体を弾き返すのは無理だろう。
それでも毒弾が五発直撃すると、イモ虫は苦しそうに踠き始めて、身体を丸めて動かなくなった。
「キュ、キュキューッ!」
殺虫剤を浴びたゴキブリのような反応だ。
毒弾を多く喰らわせれば、倒せる時間を短く出来そうだ。
……倒せるのは分かった。次は力を吸収できるか試すか。
一匹倒すと他のイモ虫は這って逃げ出した。動きが遅いので追いかければ逃げられる心配はない。
倒したイモ虫の身体に杖の先端を押しつけると、半透明の無数の青い光の線が杖に向かって流れてきた。
青い光が杖に吸収されていく。ただの巨大イモ虫ではなく魔物と思っていいようだ。
だとしたら、やる事は決まっている。
「七海、イモ虫を出来るだけ駆除するぞ。杖の力を強くしないと危険だからな」
イモ虫の身体から青い光が出なくなると、イモ虫は灰になってボロボロと崩れていった。
灰の中に水色の真珠が一粒だけ見える。何かに使えるかもしれないので、ズボンのポケットに仕舞った。
「えっ? 水は?」
「歩きながら探せばいい。俺が倒して、お前の杖を強くする。そっちの方が生き残れる確率が高そうだ」
「う、うん、分かった……」
七海は水の心配する。水だけでも一週間は生きられるそうだから、当然だ。
だが、リカバリーの杖が成長すれば、喉の渇きまで回復してくれる可能性もある。
複数の作戦を同時に進めて、どれか一つでも上手くいけばいい。
一つの作戦に上手くいくか命を懸けるなんて非効率的だ。
七海は森の左右を意味もなく一度見た後に聞いてきた。誰もいないし、二人っきりだ。
冗談なのか、何か意味があるのか考えて、分からなくて困った顔をしている。
「簡単な命令をしたんだよ。履いているパンツを脱ぐだけでいい。それで命が助かる。俺の杖は毒だ。相手を毒状態にする事が出来る杖だ。パンツを脱げば、これを七海に使わないで済む」
「あっははは。生徒会長、ちょっと悪い冗談はやめてくださいよ! 怒りますよ!」
理解できるように話したつもりだったが、理解できなかったようだ。
冗談だと笑って、左手を軽く上げて怒ったポーズをしている。
どうやら、真面目で優しい生徒会長がそんな事を言わないと思っているようだ。
こんな異世界で頑張っても、大学への推薦も一流企業への就職も約束されない。
無償で働く人間がいると信じているなら教えてあげないといけない。
「どうして冗談だと思う? 俺は本気だぞ」
杖の先端を七海から水平に右に移動すると、杖から毒が飛び出るイメージで「ポイズン」と唱えた。
即座に杖の先端から毒々しい紫色の直径六センチの球状の毒の塊が発射された。
豪速球とは言えないが、手に握った小石を投げる程度には速い。
パァンと毒弾が直撃した木からは、紫色の煙が上がっている。
木の表面が溶けたり、腐ったりする効果はないようだ。
ジワジワと染み込んで痛め付けるタイプの毒のようだ。
「強酸性ではないようだ。身体は溶けないようだが、直撃すれば皮膚と肉は壊死するだろうな。七海。まだ、冗談だと思っているなら、次はお前に当てる。リカバリー出来るか試したいからな」
杖の先端を再び向けると、「ひいっ」と七海が微かに怯えた声を出した。少しは理解したようだ。
「あのぉ……生徒会長、パンツを脱ぐだけでいいんですか?」
「それ以外に何かして欲しい事でもあるのか?」
緑と黒のタータンチェックスカートの裾を恥ずかしそうに両手で掴んで、七海が聞いてきた。
なので、逆に聞き返すと七海は何かを想像して、さらに恥ずかしそうな顔で俯いた。
「あぅぅぅ……いえ、無いです」
「そうか。だったら早く脱ぐんだ」
身体を震わせている七海に容赦なく、脱ぐように命令した。
七海は俺から見えないようにスカートの後ろ側から両手を入れると、抵抗するようにゆっくりと下着をずり下ろしていく。やがて膝下から薄い黄色の下着が現れた。
両足を片方ずつ上げて下着を脱ぐと、七海は下着を丸めて両手で包んで見えないように隠した。
「駄目だ。七海、下着を渡せ」
「えっ、どうして……?」
「欲しいからに決まっている。早く渡せ」
「はぅぅぅ!」
杖を右手で持って、左手を七海の前に差し出して要求した。
恐怖よりも羞恥心の方が勝っているようだ。
顔を真っ赤にしながら、俺の手のひらに両手を置くと、手を開いて下着を置いた。
「よく出来ました。七海は縞々の黄色パンツを履いているんだな。知らなかったよ」
「さ、最低……」
左手のパンツを指で摘むと顔の前で広げて観察した。
そんな俺の姿に七海は目に涙を浮かべて、初めて嫌悪の表情を見せた。
パンツには細い黄と白の横縞が何本も積み重なり、ヘソの部分には小さなピンクのリボンが付いている。
生温かさと湯上がりの女性の匂いが微かに残っている。
「もういい。七海、行くぞ。ここにいたらクラスの奴らに捕まる。そしたら、お前が知っているエッチな事をクラスの男子全員にされるぞ」
下着をブレザーの左ポケットに仕舞うと杖で前方を指して、歩けと命令した。
こんな所でのんびりと遊んでいる時間はない。
「そんな事しないよ。先生だっているし、皆んな友達じゃない」
「どうして、大丈夫だと言える? 現にお前は俺にこんな事をされている。絶対はない。女が一人、男が十三人、エレベーターの中に閉じ込められて、助けが来ないと分かれば、女がどうなるか分かるだろう?」
「生徒会長が言ってる意味は分かるけど、ならないかもしれないでしょう? こんなの間違っているよ!」
歩けと命令しているのに、七海はその場から動こうとしない。逆に俺を説得しようとしている。
まだ、自分の立場が分かってないようだ。杖の先端を向けたまま七海に近づいていく。
「七海、何か勘違いしてないか? 俺はお願いしているわけじゃない。奴隷に命令しているんだ」
「奴隷? それって、私のこと……」
「あぁ、そうだ。お前は奴隷だ。それとも性奴隷の方がいいか?」
杖の先端がフニュッと七海の柔らかい左胸に沈むと「ひんっ」と可愛い声が聞こえた。
杖で何度も左胸を軽く突いていく。「や、やめてぇ」と七海はか細い声で抵抗するが、そういうのが男を興奮させるのを分かってない。
「七海、キスするぞ」
「えっ……」
そう言って抱き寄せると、意味の分かっていない七海の唇にキスをした。
「んっ⁉︎」と目を見開いて驚いている七海に濃厚なキスを続ける。
舌と舌が触れ合って、お互いの唾液が口の中で混ざり合う。
四十秒程キスをすると七海の身体を離した。
「もう分かったな。早く歩け。次はキス以上の事をする」
真っ赤な顔で口を大きく開けて「はぁっ、はぁっ」と息を繰り返す七海に言った。
無反応なので俯いている顔を持ち上げて、もう一度キスをする。今度は十秒程で唇から離れた。
「んっ、ふっ……」
「早く行くぞ。それとも、キス以上の事をして欲しいのか?」
「ふぁっ、う、うん……」
真っ直ぐに目を見つめて聞くと、七海はゆっくりと目を逸らしてから、フラフラと歩き始めた。
ショックで意識が朦朧としている感じがする。時々、木に打つかりそうになっている。
「うぅぅ、ファーストキスだったのに……」
「安心しろ。俺も初めてだ」
「そんなのどうでもいいよ。うぅ、まだ口の中に感触が残ってる。消毒液でうがいしたい」
歩きながら自分の唇を何度も指で触って、気にしている七海に教えた。
お互い初めて同士なら気持ち的な問題はない。そう思ったが女子には初めては特別のようだ。
軽く睨んできた。
「だったら、まずは水を見つけるしかないな。これだけ木が生えているなら、水は豊富にあるはずだ」
睨んでいる七海に、眼鏡の中心を指で軽く持ち上げると自信を含ませて言った。
だが、そんなに都合良く綺麗な水溜りも川も見つからない。お互いの尿を飲む覚悟も必要だ。
「あっ、生徒会長、あれ……」
「何だ?」
ゆっくりと立ち止まると、七海が前方を指差して小声で言ってきた。何か見つけたようだ。
杖を構えて、七海が指差した方向を見ると、茶色い巨大イモ虫が地面を這っているのが見えた。
「八十センチ以上、動きは遅いが複数匹いるのは面倒だな。それにどんな攻撃手段を持っているのか分からない」
木の陰に隠れて、中型犬並みに大きな巨大イモ虫を観察する。
見える範囲に四匹いて、地面に落ちている緑色の葉っぱを食べている。
地面の落ち葉が少ないのは、イモ虫が食べていたようだ。
だとしたら、たったの四匹は少な過ぎる。最低でも二百匹はいると想定した方が無難だ。
「じゃあ、逃げた方がいいですよね?」
「いや、倒した方がいい。あれが魔物なら杖を成長させる事が出来る。杖を返すから、七海は後方から援護しろ」
「あっ、うん……」
「一応言っておくが逃げたりしない事だ。攻撃手段が無いお前は、イモ虫や他の魔物の餌にしかならないからな」
「うぅ、分かってるよ」
七海に杖を返すと、逃げないように注意した。
不安そうな顔で七海は同意するが、本当はクラスの奴らの所まで逃げられたくないだけだ。
……まぁ、だいぶん離れたから合流するのは難しいだろうがな。
「さて、害虫駆除を始めるか」
杖を正面に構えて、イモ虫に近づいて行く。杖の力で身体能力は上昇しない。
杖はただの拳銃のような物で、俺自身は生身の人間のままだ。
攻撃を喰らえば呆気なく死んでしまうかもしれない。
「ポイズン」と連続で唱えて、一匹の巨大イモ虫に集中攻撃する。
パァン、パァンと毒弾が直撃すると、イモ虫の身体が僅かに揺れ動くがそれだけだ。
毒弾の衝撃力は大した事がない。突進して来た魔物や物体を弾き返すのは無理だろう。
それでも毒弾が五発直撃すると、イモ虫は苦しそうに踠き始めて、身体を丸めて動かなくなった。
「キュ、キュキューッ!」
殺虫剤を浴びたゴキブリのような反応だ。
毒弾を多く喰らわせれば、倒せる時間を短く出来そうだ。
……倒せるのは分かった。次は力を吸収できるか試すか。
一匹倒すと他のイモ虫は這って逃げ出した。動きが遅いので追いかければ逃げられる心配はない。
倒したイモ虫の身体に杖の先端を押しつけると、半透明の無数の青い光の線が杖に向かって流れてきた。
青い光が杖に吸収されていく。ただの巨大イモ虫ではなく魔物と思っていいようだ。
だとしたら、やる事は決まっている。
「七海、イモ虫を出来るだけ駆除するぞ。杖の力を強くしないと危険だからな」
イモ虫の身体から青い光が出なくなると、イモ虫は灰になってボロボロと崩れていった。
灰の中に水色の真珠が一粒だけ見える。何かに使えるかもしれないので、ズボンのポケットに仕舞った。
「えっ? 水は?」
「歩きながら探せばいい。俺が倒して、お前の杖を強くする。そっちの方が生き残れる確率が高そうだ」
「う、うん、分かった……」
七海は水の心配する。水だけでも一週間は生きられるそうだから、当然だ。
だが、リカバリーの杖が成長すれば、喉の渇きまで回復してくれる可能性もある。
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