【R18】腹黒毒生徒会長様の世界樹クラス転移 〜持ち主によって様々に成長する世界樹の魔法の杖を与えられた高校生達〜

もう書かないって言ったよね?

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第一章

第4話 水色真珠の調合

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「あっ! 会長、会長! 見てくださいっ!」

 五匹の巨大イモ虫の群れを見つけて倒していると、七海が大声で呼んできた。
 七海は倒したイモ虫を吸収していた。イモ虫から素早く離れて七海を見ると、杖の形が変化していた。
 逃げようとするイモ虫達は、あとで追いかけて倒せるので七海の元に向かった。

「やっと成長したのか。遅い成長だ」
「むぅー、会長の方が小さい癖に」

 イモ虫を五十三匹吸収して、七海の杖はやっと変化した。
 杖から青い光が放出して、七海の手の中でムクムクと膨れ上がっている。
 成長というだけあって、長さと太さが大きくなっていく。
 長さは30センチが50センチぐらいに変わり、太さは野球のバットより少し小さい。
 魔法の杖は指揮棒から棍棒に成長した。これなら武器としても使えそうだ。

「何か頭に浮かんだか?」と杖の成長が止まったので七海に聞いた。
 杖の色は薄緑色のままだ。精神的な変化で杖の色が変化すると予想したが違ったようだ。
 それとも七海に精神的な変化がまだ起こってないのか、変化しても影響しないかだ。

「はい。『level-up』と『調合・回復薬』の二つが浮かびました。レベルアップって、強くなれるって事ですよね? えっへへへ。私、会長よりも強くなっちゃいましたねぇ!」

 俺を真っ直ぐに見て、七海は嬉しそうに言ってくる。俺よりも上になれたと思っているようだ。
 レベルアップは七海の言う通り、身体能力を高める効果があると思う。
 調合の回復薬は薬といっても、錠剤、粉状、液体と色々とある。
 それに特定の材料が必要な場合は、その材料がないと使いものにならない能力になる。
 杖の成長と戦力アップは出来たが、調合のやり方を調べないといけない。

「何を喜んでいる? 俺よりも強くなったのなら、お前もイモ虫を倒さないといけないんだぞ」
「えっー! 会長が倒してくださいよぉ!」
「駄目だ。その棍棒でイモ虫を叩き潰せ」
「嫌ですよ! 変な汁とか付きそうじゃないですか!」

 新しい仕事を与えてやったのに、七海は棍棒を胸に抱き締めて守っている。
 杖は鉄のように硬いのに木のように軽い。これを武器に使わない馬鹿はいない。

「まったく……まずはレベルアップを俺に試せ。逃げたイモ虫を倒してくる」
「フフッ。いいですよ。レベルアップ!」

 七海が嬉しそうに杖の先端を向けて、レベルアップと唱えた。
 棍棒型の杖の先端に直径10センチの白い球体が出現する。球体も大きくなっている。
 
「うっ、なるほど。こんな感じになるのか……」

 杖から発射された白い光弾が身体にポフッと当たると、ワクワクとした高揚感が湧き上がる。
 この高揚感が続いている間は効果があるという事だろう。
 スマホのストップウォッチを起動して、正確な時間を測る事にした。

「俺はイモ虫を倒してくるから、七海はその辺の落ち葉や草で調合が出来るか試していてくれ」
「うん、分かった。任せておいて!」

 七海に調合を任せるとイモ虫を追いかけた。五十三匹で成長するなら、次は俺の杖で確かめる。

 ♢

「回復薬になれ! 回復薬になれ!」

 イモ虫を倒して七海の元に戻ると、地面に掘った穴に落ち葉と草を入れて、七海が棍棒で掻き混ぜていた。
 魔女が鍋で何かを作っているような光景だが、子供のおままごとにしか見えない。

「何をやっているんだ? 呪文を唱えればいいんじゃないのか?」
「そんなの最初にやりました! 呪文を唱えても何も起こらないんです!」

 何気なく聞いただけなのに、七海はスッと立ち上がって、手を振り回して怒ってきた。
 完全な八つ当たりだ。

「俺に当たっても仕方ないだろう。それにここは異世界なんだ。材料に薬草を使わずに、石ころや砂、魔物の死体を使うのかもしれない。固定観念に縛られない事だ」
「むぅー、会長が葉っぱを使えって言ったのに……」
「俺は全知全能の神様じゃないんだ。間違う事もある。人に頼らずに自分で考えろという事だ」

 俺の所為にする七海に自分で少しは考えろと注意する。
 言われた方法が駄目なら、自分で考えて、成功するまで試すしかない。

「じゃあ、会長が倒したイモ虫で試すしかないですね」
「それは無理だ。杖で吸収した」
「もぉー、会長! またイモ虫探さないといけないじゃないですか! 何で残しておいてくれないんですかっ!」
「いちいち怒るな。見つけたら試せばいいだけだろう?」

 イモ虫はないと伝えると、ショックを受けるよりも先に、七海はまた怒り出した。
 七海の杖がまだ成長するとしても、次は百匹以上は吸収させないと駄目だ。
 だったら、俺の杖を成長させた方が早い。

「怒って当然です。もうお腹が空いて動きたくないです。会長を信じて頑張ったのにダメダメじゃないですか」
「文句を言っても仕方ないだろう。それにお腹が空いたと言ったら、咥えさせると言ったはずだぞ?」
「うぅぅ、どうせ会長は言わなくてもします。会長はそういう人です」

 七海はしゃがみ込むと、地面の穴の中の落ち葉を棍棒で掻き混ぜながら愚痴を言い始めた。
 水分を取ってないから、かなり疲れ果てているようだ。自暴自棄になっている。
 気合でこれから五十匹近くのイモ虫を探して倒すのは無理そうだ。
 地面を掘って水が出るか、オシッコにリカバリーをかけて真水になるか試すしかない。

「危機的状況下で信頼関係は大切だぞ。それにこの場でやれる事もある。ほら、パンツも返してやる」
「そんなの当たり前です。女の子の下半身を冷やすのは駄目なんですよ」
「あぁ、悪かった」

 七海の隣にしゃがむと、ブレザーのポケットから黄色の下着を取り出した。
 七海は下着を受け取ると立ち上がって、慌てずに自然な動作で履いていく。

「んっ、それでこれから何をするんですか? エッチな事以外でお願いしますよ」

 パンツを履き終わると少し機嫌を直した七海が聞いてきた。

「分かっている。考えられる行動は三つだ。七海の棍棒を借りて、俺一人でイモ虫を倒して、杖を成長させる。次に調合できる条件を調べる。最後に杖を成長させる方法をクラスの奴らの所に戻って報告だ」
「えっ! 戻るんですか⁉︎ 会長が言ったじゃないですか! 私がレイプされるから危ないって!」

 三つの行動を言うと、七海は三つ目に強く反応した。
 集団行動が危ないという最初の考えを否定するつもりはない。
 だが、状況的に少数精鋭の選択は避けられない。

「成長した杖には調合があるんだ。食べ物を作れる奴が現れるかもしれない。それに白い杖が成長するとどうなるのか知りたい。食べ物が調合できるなら、レイプは起きにくくなるはずだ」
「そうかもしれないですけど……」
「不安があるのは分かっているが、まずは調合できる条件を調べるのが先だ。それと、出来れば信用できる人間だけに情報は教えたい。殺傷力が高い強力な杖に成長して、独裁者が現れるのは困るからな」

 納得できない顔をしている七海に、俺の考えを話していく。
 状況が変わり、納得できる理由があれば、気持ちはどうあれ、人は我慢して協力してくれる。
 そうした方が良いと分かっているからだ。

「はぁぁ、分かりましたよ。調合できたら、皆んなの所に戻るんですね?」
「いや、人里を探すという選択もある。回復薬が栄養ドリンクのようなタイプなら、水の代わりになるからな」
「なっ⁉︎ もぉー、会長! 優柔不断過ぎます! ハッキリしてくださいよ!」
「結果によって、行動を変えるのは当然だ。喉が渇いているなら、栄養ドリンクが欲しいと考えながら調合するんだな」

 七海は進む道が一本道だと思っているようだが、それは違う。
 途中で何度も分かれ道があり、時には強制的に進みたくない分かれ道を選ばされる。
 自分で選べる道と運命によって選ばされる道がある。
 誰もが自分の思った道に進めるわけじゃない。
 望まずに異世界に連れて来られた俺達がいい例だ。

「とりあえずこれを使う。手持ちの物で一番魔物に近いからな」

 財布から水色真珠を一粒取り出して、指に摘んだ状態で七海に見せた。
 水色真珠を見ている七海の顔は、明らかに試す必要がないと思っている顔だ。

「これですか? 石ですよ?」
「言ったはずだ。固定観念に縛られるなと。とりあえず試してみれば分かる」

「はぁーい」と仕方ないといった感じに七海は返事をすると、棍棒の先を地面に置いた水色真珠にくっ付けた。

「調合・回復薬……会長、何も起きませんよ?」
「一つじゃ足りないのかもしれないな。全部使ってみるとするか」

 呪文を唱えても水色真珠は変化しなかった。七海は呆れた表情で静かに苦情を言ってきた。
 落ち葉を混ぜる相手には言われたくない。財布の中の水色真珠を地面に全部ばら撒いた。
 水色真珠は全部で58個ある。これだけあれば足りるはずだ。

「はぁぁ、会長もムキになって子供ですね」
「早くやれ。駄目だったら、イモ虫を探してくる」
「はいはい。調合・回復薬……」

 地面の水色真珠を二人で一ヶ所に集めていく。
 七海はやる前から結果は分かっていますよ、といった顔をしている。
 だが、やらないと結果は分からない。ある程度集まったので、七海に調合させた。

「あっ」と七海が声を出した。
 水色真珠が三つ光って合わさると、形を変えていき、緑色の小瓶が一個出来てしまった。

「七海、これは何だと思う?」
「むぅー!」

 六角柱のガラスのような小瓶を持ち上げて七海に聞くと、頬を膨らませて睨んできた。
 ガラスの小瓶の中には液体が入っている。細長い丸蓋も付いていて、引っ張るだけで簡単に取れた。
 瓶に蓋を戻すとピタリとくっ付いて、瓶を振っても蓋のグラつきはない。
 蓋を手で押さえて瓶を逆さにして、蓋から軽く手を離して確かめても、蓋は落ちなかった。
 これなら持ち運ぶのにも問題なさそうだ。

「量は栄養ドリンクぐらいだな。七海、俺が少し飲むから危ないと思ったら、リカバリーを使ってくれ」
「う、うん。でも、大丈夫だと思うよ」
「念の為だ」

 七海が飲んで駄目だったら、回復する人間がいない。俺が毒味するのは当然の選択だ。
 口の中に含んだ回復薬をゴクッと飲み込んだ。
 味は濃いお茶のような味で少し苦いが、ドロドロした感じはしない。
 問題なく飲料水として使える。

「お茶のような味で大丈夫そうだ。七海も飲め」
「それだと会長と間接キスになるじゃないですか」
「拭けば問題ない。それにキスなら直接しただろう? いまさら間接キス程度で恥ずかしがるな」
「べぇー! 別にしたくてしたんじゃないでぇーす!」

 大丈夫だと差し出した小瓶を七海は拒否する。
 飲めと言っているのに舌を出して、あかんべえをしている。
 そして、勝手に二本目の回復薬の調合を始めた。

「好きにしろ。瓶は持ち運ぶのが面倒だから、飲む分だけ作るんだぞ」
「はいはい。分かってますよぉー」
「まったく……」

 飲み水が手に入って元気が出たようだ。七海は回復薬を作ってはゴクゴクと一気に飲んでいる。
 これだと水色真珠がすぐに無くなってしまう。
 容器も手に入ったし、オシッコをリカバリー出来るか試してみないとな。
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