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第二章
第10話 ゾンビ治療
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「動きは遅いけど……」
ゾンビかミイラか知らないけど、見つかる前に七海達の所に戻るのが良さそうだ。
「ヴヴヴッ」と唸るだけで、すれ違うゾンビ同士でも会話しているようには見えない。
もしも、あれで会話が成立しているのなら、俺にはゾンビとの会話は無理だ。
……魔物と見るか、人間と見るか、微妙なところだな。
とりあえず見つかる前に戻る事にした。意思疎通は出来そうにない。
数十人、数百人、何人いるか分からないゾンビの小さな町を一人で探索するのは危険だ。
「うわぁー! 会長、良かったぁー! 私、会長が死んじゃうって考えたら心配で心配でぇ!」
「うぐっ……うん、佐藤さんの気持ちは嬉しいけど、大丈夫だから離れて欲しいかな?」
七海達の所に戻ったら、いきなり大泣きしている佐藤が走って来て抱き付いた。
離れてから20分も経ってないのに、ちょっと大袈裟過ぎる。
報告の邪魔なので、頭を優しく撫でながら身体から引き離した。
「会長、それでどうだったの? 人はいたの? それとも誰もいなかったの?」
「結論から言うと人間はいたけど、ゾンビだった。多分、会話は出来ないと思う」
佐藤が離れると早速、高橋が質問してきた。それに答えると次に長谷川が質問してきた。
「ゾンビって、噛まれたらゾンビになるあれですか?」
「噛まれたらゾンビになるか分からないけど、そのゾンビだと思うよ。個人的には身体の損傷が少ないから、ミイラに近いゾンビかな?」
「ミイラゾンビですか?」
ゾンビと聞いても、女子四人は怖がっている感じはしない。
むしろ、「ミイラゾンビって何?」という戸惑った顔をしているように見える。
そんなミイラとゾンビの細かい違いはどうでもいいから、肝心の話し合いを始めさせてもらった。
「ゾンビは厄介かもしれないけど、小さな町がある。この世界の情報や物が沢山あると思う。もしかすると、ゾンビになっていない人も隠れているかもしれない。調べる価値は十分にあるよ」
「でも、噛まれたら危険だよ。それにゾンビ菌が空中に舞っていて、吸い込んだらゾンビになるかもしれないよ?」
「私もその可能性はあると思う。回復や回復薬で治せるならいいけど、駄目だった場合は危険過ぎるよ」
町を調べたいと提案すると、佐藤はゾンビになるのを怖がり、七海は治療できない可能性を恐れている。
二人の予想は確かに可能性はあるけど、回復が効くかはゾンビに七海の杖を使えば分かる。
「それならゾンビにリカバリーを使えば、治療が可能なのかはすぐに分かる。回復が無理なら一度森に引き返して、ゾンビ化を治療できる解毒薬を考えながら、俺の杖を成長させる。解毒薬があれば、安全に町の探索が出来て、町の人も人間に戻せるかもしれない」
毒と薬は表裏一体だ。毒が作れるなら、解毒薬を作れる可能性もある。
リカバリーで治療が可能なら最高だけど、無理でも他の方法がある。町の探索を諦めるつもりはない。
「えっー! 駄目だったら、また森に引き返すの!」
「当たり前でしょう、モモ。ゾンビになるって言ったのはあんたでしょう」
「うぅ、足がパンパンになっちゃうよぉー」
まだゾンビに回復も試してないのに、佐藤が駄目だった場合を考えて、ショックを受けている。
俺が死んだと想像したり、明るそうに見えて意外とネガティブ思考なのかもしれない。
高橋に励まされているけど、イモ虫狩りを見ているだけの人間を無駄に移動させたりしない。
「それは大丈夫。四人はここに残っていていいから。回復薬が五本もあれば俺一人で森に戻って、夜になる前には杖を成長させて戻って来れるはずだよ」
「それは駄目。会長一人だと危険だし、会長だけを頑張らせているみたいで気分が悪いのよ。私も付いていくから、モモが美月と雫を守るように」
「うん、それなら頑張れそう!」
一人で行った方が六、八時間ぐらいで終わらせて帰って来れる。
そう思ったんだけど、高橋が一緒に付いて来ると言い出した。
まだ、回復が駄目なのかも分からないのに、女子はネガティブ思考が多過ぎる。
「分かったよ。それでいいけど、まずは七海と回復を試してくるから。駄目だったら、高橋さんはよろしくね」
♢
……女子の勘は当たるのかもしれない。
リカバリーの緑色の光弾が当たったゾンビの怪我は治ったけど、ゾンビのままだった。
五回も当てたから間違いないと思う。
「会長は一人で何でも決めようとしますけど、それって窮屈なんですよね」
「それって、どういう意味かな?」
駄目だった場合の予定通りに荒野を進んで森に戻っていると、高橋が不機嫌そうに言ってきた。
俺に不満か文句でも言いたくて、わざわざ二人っきりになりたかったのかもしれない。
「森の中の広場でもそうですけど、結局、会長の思い通りに皆んな動いていますよね?」
「そうだね、結果的にはそうなっているかな? 高橋さんは、それが気に入らないの?」
「結衣でいいですよ。会長の呼び方、距離感を作られているようで、なんか嫌なんですよね。それに気に入らないわけじゃないですよ。お陰で全滅しなくて済みましたから」
……何が言いたいんだ? お礼でも言いたいのか?
「そう……じゃあ、友達として結衣って呼ぶね。俺の事も瑞季って呼んでいいから」
「あぁ、それはいいです。会長は会長と呼びますから」
高橋に言われた通りに距離感を縮めようとしたのに、言った本人が距離を取ってきた。
直球で何か言いたいのか、遠回しに何かを伝えたのか、ハッキリして欲しいところだ。
……これだから、女は面倒くさいと言われる。
「それで結衣は何が窮屈なのかな? ハッキリと言ってくれた方が助かるんだけど」
「じゃあ、言います。私の杖は私の好きに使わせてもらいます。会長が必要な杖にはしたくありません」
ハッキリと言って欲しいと頼んだら、触らないように注意していた白杖をスカートから取り出した。
表情を見る限り意思は固いようだ。力尽くで反対して、女子四人を敵に回したくはない。
それに生き残る為に必要な衣食住は手に入ったも同然だ。杖の一本ぐらいは好きにさせても問題ない。
「別にいいんじゃないかな? 結衣の好きにしていいよ」
「本気ですか?」
俺の言葉を聞いて高橋が疑っている。
今まで力尽くで言う事を聞かせたつもりはないのに、信用されていないようだ。
「結衣がそうするって決めたんでしょう? 俺が力尽くで言う事を聞かせると思ったの? 結衣が言ったように、自分の杖は自分の好きにしていいと思うよ」
「……分かりました。そうします」
「じゃあ、この話は終わりでいいね。ちなみにどんな杖にする予定なのかな?」
好きにしていいと言ったから聞かない方がいいけど、危険な目的やくだらない目的だと一言ぐらいは言いたい。
「電気が出る杖を作って、スマホの充電器を作りたいんです」
「つまりは機械か……回復薬とパンはそこまで複雑じゃないから作れたと思うけど、機械は難しいんじゃないかな?」
簡単に言えば、回復薬は水と薬草、パンは水と小麦粉だ。
充電器が金属と金属線だとしても、下手な充電器だと電圧が高過ぎてスマホが破壊される。
嫌な予感がするけど、高橋もそのぐらいは分かっているようだ。
「電池みたいな使い捨ての充電器ぐらいは出来ると思いますよ」
「確かに最古の電池は、2000年前のバクダット電池だと言われているから、可能かもしれないね」
高橋が「バクダット電池?」と首を傾げているけど、説明するつもりはない。
それに本当に杖から充電器が作れるのなら、電気自動車ぐらいは作れるかもしれない。
複雑な物が作れるなら、杖一本を犠牲にしてでも、確かめてみる価値は十分にある。
「結衣、少し急ごうか? 出来れば、結衣の杖も成長させたいから」
少し予定を変更する事にした。どうせなら、解毒薬と充電器の二つを手に入れたい。
どちらも手に入らない可能性もあるけど、戦力は間違いなく強化できる。
「まぁ、その方が助かりますけど、帰るのが遅くなりますよ? いいんですか?」
「イモ虫が見つからないなら遅くなるのは当然でしょう? 充電器が作れるならスマホのライトも使えるから、夜でも行動できる。少し遅くなっても誰も怒らないよ」
「会長って、やっぱりズル賢いですね。でも、そういう考え方、嫌いじゃないですよ」
魔物が見つからないと帰るのは遅くなる。そんな遅くなる言い訳を悪い笑みを浮かべて高橋に教えた。
高橋も悪い笑みを返してきた。共犯者になる覚悟があるようだ。
♢
「完全に会長の所為ですよ」
「結衣の杖が成長しないからだよ」
空に浮かぶ月の月明かりに照らされた荒野を、二人で警戒しながら歩いていく。
毒の杖はすぐに成長したのに、雷の杖は成長するのに78匹もイモ虫を倒さないといけなかった。
でも、苦労したそのお陰で黒い四角い乾電池型の充電器が完成した。
スマホの機種によっては充電器の差し込みが使用できないけど、俺のスマホは問題なかった。
スマホのライトを使って地面の目印を探しながら、町に向かって進んでいく。
時刻は午後十時を過ぎたけど、日本時間では午後八時ぐらいだ。まだ、そこまで遅くない。
……ゾンビじゃないだろうな?
前方に立っている三つの黒い人影が見えてきた。七海達だとは思うけど、棍棒に変わった杖を構えた。
「会長ですかぁー?」
「ごめん、魔物が見つからなくて遅くなった」
七海の声が聞こえてきたので、攻撃される前に返事をした。
三つの黒い人影が走ってくるけど、紺色の制服は暗いと可愛さよりも怖さしか強調されない。
「もぉー、二人とも遅いよぉー。寒くて凍死すると思ったんだから」
「ごめんね。でも、待たせた分だけ良い知らせがあるよ」
ネガティブ思考の佐藤が大袈裟な事を言っているけど、充電器のお土産を見れば元気も出るだろう。
「じゃあ、解毒薬は出来たんですか?」
「もちろん出来たよ。効果は試さないと分からないけどね」
長谷川が聞いてきたので、白い小瓶に入った解毒薬を見せた。
一本で効果があるのか、効果が出るまでどれぐらいの時間がかかるのか分からない。
一匹捕獲して薬を飲ませたら朝まで様子を見るしかない。
♢
「狙うのは若い女性のゾンビにしよう。人間に戻った時の方が凶暴だと厄介だからね」
町を囲む柵の外から徘徊するゾンビを品定めする。隣には七海と高橋の二人がいる。
身体的な外傷がある状態で解毒薬を使うと、外傷が原因で人間に戻った時に死ぬかもしれない。
解毒薬はリカバリーで回復させてから使用したい。
そして、傷付けずにゾンビを拘束する為に高橋の雷の杖が必要になる。
初期呪文『Thunder』は雷の弾丸を発射できる。使うのは第二呪文『paralyze』だ。
麻痺の弾丸を発射して、直撃した相手の身体を痺れさせて動けなくする。
この麻痺状態の時にゾンビの口に解毒薬を流し込む。
「あの髪の長い、スカートを履いたゾンビがいいんじゃない? あれで男なら詐欺よ」
「そうだね。スマホのライトだと他のも寄って来るから、音で誘き寄せよう。俺がやるから二人はここで待機しておいて」
高橋が指差す方向には、腰まで届きそうな長い髪のゾンビがヨロヨロと歩いていた。
失礼な話、見た目だけでは若いのか老婆なのか分からない。
姿勢を低くして柵に近づくと、棍棒杖で柵をコン、コンと叩いて、ゾンビの注意を引き付ける。
「ヴヴヴッ!」
「そうだ。こっちだ」
柵を叩く音に気付いたゾンビが、摺り足のようにほとんど足を上げない早歩きで向かってきた。
柵から離れて棍棒杖を振って、ゾンビを柵の外まで追いかけてくるように挑発する。
「ヴヴヴッ! ヴヴヴッ!」
ゾンビは柵にガンガンガンと何度も打つかり続けている。柵を乗り越えるという知恵はないみたいだ。
結局、何回も柵に打つかり続けた後に体勢を崩して、頭から柵の外側に倒れてしまった。
ゴキッと骨が折れたような音が聞こえたけど、ゾンビは普通に立ち上がって歩いてくる。
「七海はゾンビの回復をして。結衣は一撃で麻痺できない可能性もあるから距離に気を付けて」
「うん。リカバリー!」
二人が待機している所まで戻ると、二人に素早く指示を出した。
七海が向かってくるゾンビに回復の杖を連続で使っている。
前に回復させたゾンビは三発ぐらいで外傷が綺麗に治っていた。五発も当てれば十分だ。
「七海はもういいよ。結衣、麻痺させて」
「オッケー! パラライズ!」
五発当たったので、七海から高橋に交代してもらった。
高橋の金色の棍棒杖から網目状の黄色に光る球体が飛び出した。
直径10センチの麻痺弾が直撃すると、ゾンビが「ヴヴヴッ」と呻いて、僅かに停止した。
けれども、それだけですぐに歩き出した。威力が足りないのか、麻痺が効かないのか。
「結衣、五発当てても麻痺しなかったら、この状態で解毒薬を使うから」
「分かった。でも、手足の骨ぐらいは折るわよ」
「あぁ、そうしよう」
ゾンビだから毒や麻痺が効かない可能性は考えていた。
ゾンビの動きは遅いから、棍棒杖で三人掛かりで手足の骨ぐらいは折れるはずだ。
「ヴヴヴッ!」
でも、その必要はなかった。三発目の麻痺弾が直撃するとゾンビが地面に倒れた。
静かにビクビクと痙攣している。
ブレザーのポケットから解毒薬を取り出すと、蓋を取ってゾンビの口に液体を流し込んだ。
……ここまでは予定通りだ。
ゾンビの汚れたロングスカートを脱がすとビリビリと破いていく。
拘束用のロープはないので、スカートを破いて手足を縛るロープ代わりにする。
両手足をキツく布で縛ると念の為に、解毒薬を二本追加でゾンビの口に流し込んだ。
これで駄目なら杖を成長させるしかないけど、その必要はないようだ。
ゾンビの身体に空気を入れて膨らませるように、皺くちゃの肌に張りが戻ってきた。
「ふぅー、成功みたいだね。朝まで交代で監視しよう」
まったくの無駄じゃないと分かって、一安心した。しっかりと解毒薬が効いているようだ。
あとはゾンビが人間に戻るか、綺麗なゾンビになるのか観察するだけだ。
ゾンビかミイラか知らないけど、見つかる前に七海達の所に戻るのが良さそうだ。
「ヴヴヴッ」と唸るだけで、すれ違うゾンビ同士でも会話しているようには見えない。
もしも、あれで会話が成立しているのなら、俺にはゾンビとの会話は無理だ。
……魔物と見るか、人間と見るか、微妙なところだな。
とりあえず見つかる前に戻る事にした。意思疎通は出来そうにない。
数十人、数百人、何人いるか分からないゾンビの小さな町を一人で探索するのは危険だ。
「うわぁー! 会長、良かったぁー! 私、会長が死んじゃうって考えたら心配で心配でぇ!」
「うぐっ……うん、佐藤さんの気持ちは嬉しいけど、大丈夫だから離れて欲しいかな?」
七海達の所に戻ったら、いきなり大泣きしている佐藤が走って来て抱き付いた。
離れてから20分も経ってないのに、ちょっと大袈裟過ぎる。
報告の邪魔なので、頭を優しく撫でながら身体から引き離した。
「会長、それでどうだったの? 人はいたの? それとも誰もいなかったの?」
「結論から言うと人間はいたけど、ゾンビだった。多分、会話は出来ないと思う」
佐藤が離れると早速、高橋が質問してきた。それに答えると次に長谷川が質問してきた。
「ゾンビって、噛まれたらゾンビになるあれですか?」
「噛まれたらゾンビになるか分からないけど、そのゾンビだと思うよ。個人的には身体の損傷が少ないから、ミイラに近いゾンビかな?」
「ミイラゾンビですか?」
ゾンビと聞いても、女子四人は怖がっている感じはしない。
むしろ、「ミイラゾンビって何?」という戸惑った顔をしているように見える。
そんなミイラとゾンビの細かい違いはどうでもいいから、肝心の話し合いを始めさせてもらった。
「ゾンビは厄介かもしれないけど、小さな町がある。この世界の情報や物が沢山あると思う。もしかすると、ゾンビになっていない人も隠れているかもしれない。調べる価値は十分にあるよ」
「でも、噛まれたら危険だよ。それにゾンビ菌が空中に舞っていて、吸い込んだらゾンビになるかもしれないよ?」
「私もその可能性はあると思う。回復や回復薬で治せるならいいけど、駄目だった場合は危険過ぎるよ」
町を調べたいと提案すると、佐藤はゾンビになるのを怖がり、七海は治療できない可能性を恐れている。
二人の予想は確かに可能性はあるけど、回復が効くかはゾンビに七海の杖を使えば分かる。
「それならゾンビにリカバリーを使えば、治療が可能なのかはすぐに分かる。回復が無理なら一度森に引き返して、ゾンビ化を治療できる解毒薬を考えながら、俺の杖を成長させる。解毒薬があれば、安全に町の探索が出来て、町の人も人間に戻せるかもしれない」
毒と薬は表裏一体だ。毒が作れるなら、解毒薬を作れる可能性もある。
リカバリーで治療が可能なら最高だけど、無理でも他の方法がある。町の探索を諦めるつもりはない。
「えっー! 駄目だったら、また森に引き返すの!」
「当たり前でしょう、モモ。ゾンビになるって言ったのはあんたでしょう」
「うぅ、足がパンパンになっちゃうよぉー」
まだゾンビに回復も試してないのに、佐藤が駄目だった場合を考えて、ショックを受けている。
俺が死んだと想像したり、明るそうに見えて意外とネガティブ思考なのかもしれない。
高橋に励まされているけど、イモ虫狩りを見ているだけの人間を無駄に移動させたりしない。
「それは大丈夫。四人はここに残っていていいから。回復薬が五本もあれば俺一人で森に戻って、夜になる前には杖を成長させて戻って来れるはずだよ」
「それは駄目。会長一人だと危険だし、会長だけを頑張らせているみたいで気分が悪いのよ。私も付いていくから、モモが美月と雫を守るように」
「うん、それなら頑張れそう!」
一人で行った方が六、八時間ぐらいで終わらせて帰って来れる。
そう思ったんだけど、高橋が一緒に付いて来ると言い出した。
まだ、回復が駄目なのかも分からないのに、女子はネガティブ思考が多過ぎる。
「分かったよ。それでいいけど、まずは七海と回復を試してくるから。駄目だったら、高橋さんはよろしくね」
♢
……女子の勘は当たるのかもしれない。
リカバリーの緑色の光弾が当たったゾンビの怪我は治ったけど、ゾンビのままだった。
五回も当てたから間違いないと思う。
「会長は一人で何でも決めようとしますけど、それって窮屈なんですよね」
「それって、どういう意味かな?」
駄目だった場合の予定通りに荒野を進んで森に戻っていると、高橋が不機嫌そうに言ってきた。
俺に不満か文句でも言いたくて、わざわざ二人っきりになりたかったのかもしれない。
「森の中の広場でもそうですけど、結局、会長の思い通りに皆んな動いていますよね?」
「そうだね、結果的にはそうなっているかな? 高橋さんは、それが気に入らないの?」
「結衣でいいですよ。会長の呼び方、距離感を作られているようで、なんか嫌なんですよね。それに気に入らないわけじゃないですよ。お陰で全滅しなくて済みましたから」
……何が言いたいんだ? お礼でも言いたいのか?
「そう……じゃあ、友達として結衣って呼ぶね。俺の事も瑞季って呼んでいいから」
「あぁ、それはいいです。会長は会長と呼びますから」
高橋に言われた通りに距離感を縮めようとしたのに、言った本人が距離を取ってきた。
直球で何か言いたいのか、遠回しに何かを伝えたのか、ハッキリして欲しいところだ。
……これだから、女は面倒くさいと言われる。
「それで結衣は何が窮屈なのかな? ハッキリと言ってくれた方が助かるんだけど」
「じゃあ、言います。私の杖は私の好きに使わせてもらいます。会長が必要な杖にはしたくありません」
ハッキリと言って欲しいと頼んだら、触らないように注意していた白杖をスカートから取り出した。
表情を見る限り意思は固いようだ。力尽くで反対して、女子四人を敵に回したくはない。
それに生き残る為に必要な衣食住は手に入ったも同然だ。杖の一本ぐらいは好きにさせても問題ない。
「別にいいんじゃないかな? 結衣の好きにしていいよ」
「本気ですか?」
俺の言葉を聞いて高橋が疑っている。
今まで力尽くで言う事を聞かせたつもりはないのに、信用されていないようだ。
「結衣がそうするって決めたんでしょう? 俺が力尽くで言う事を聞かせると思ったの? 結衣が言ったように、自分の杖は自分の好きにしていいと思うよ」
「……分かりました。そうします」
「じゃあ、この話は終わりでいいね。ちなみにどんな杖にする予定なのかな?」
好きにしていいと言ったから聞かない方がいいけど、危険な目的やくだらない目的だと一言ぐらいは言いたい。
「電気が出る杖を作って、スマホの充電器を作りたいんです」
「つまりは機械か……回復薬とパンはそこまで複雑じゃないから作れたと思うけど、機械は難しいんじゃないかな?」
簡単に言えば、回復薬は水と薬草、パンは水と小麦粉だ。
充電器が金属と金属線だとしても、下手な充電器だと電圧が高過ぎてスマホが破壊される。
嫌な予感がするけど、高橋もそのぐらいは分かっているようだ。
「電池みたいな使い捨ての充電器ぐらいは出来ると思いますよ」
「確かに最古の電池は、2000年前のバクダット電池だと言われているから、可能かもしれないね」
高橋が「バクダット電池?」と首を傾げているけど、説明するつもりはない。
それに本当に杖から充電器が作れるのなら、電気自動車ぐらいは作れるかもしれない。
複雑な物が作れるなら、杖一本を犠牲にしてでも、確かめてみる価値は十分にある。
「結衣、少し急ごうか? 出来れば、結衣の杖も成長させたいから」
少し予定を変更する事にした。どうせなら、解毒薬と充電器の二つを手に入れたい。
どちらも手に入らない可能性もあるけど、戦力は間違いなく強化できる。
「まぁ、その方が助かりますけど、帰るのが遅くなりますよ? いいんですか?」
「イモ虫が見つからないなら遅くなるのは当然でしょう? 充電器が作れるならスマホのライトも使えるから、夜でも行動できる。少し遅くなっても誰も怒らないよ」
「会長って、やっぱりズル賢いですね。でも、そういう考え方、嫌いじゃないですよ」
魔物が見つからないと帰るのは遅くなる。そんな遅くなる言い訳を悪い笑みを浮かべて高橋に教えた。
高橋も悪い笑みを返してきた。共犯者になる覚悟があるようだ。
♢
「完全に会長の所為ですよ」
「結衣の杖が成長しないからだよ」
空に浮かぶ月の月明かりに照らされた荒野を、二人で警戒しながら歩いていく。
毒の杖はすぐに成長したのに、雷の杖は成長するのに78匹もイモ虫を倒さないといけなかった。
でも、苦労したそのお陰で黒い四角い乾電池型の充電器が完成した。
スマホの機種によっては充電器の差し込みが使用できないけど、俺のスマホは問題なかった。
スマホのライトを使って地面の目印を探しながら、町に向かって進んでいく。
時刻は午後十時を過ぎたけど、日本時間では午後八時ぐらいだ。まだ、そこまで遅くない。
……ゾンビじゃないだろうな?
前方に立っている三つの黒い人影が見えてきた。七海達だとは思うけど、棍棒に変わった杖を構えた。
「会長ですかぁー?」
「ごめん、魔物が見つからなくて遅くなった」
七海の声が聞こえてきたので、攻撃される前に返事をした。
三つの黒い人影が走ってくるけど、紺色の制服は暗いと可愛さよりも怖さしか強調されない。
「もぉー、二人とも遅いよぉー。寒くて凍死すると思ったんだから」
「ごめんね。でも、待たせた分だけ良い知らせがあるよ」
ネガティブ思考の佐藤が大袈裟な事を言っているけど、充電器のお土産を見れば元気も出るだろう。
「じゃあ、解毒薬は出来たんですか?」
「もちろん出来たよ。効果は試さないと分からないけどね」
長谷川が聞いてきたので、白い小瓶に入った解毒薬を見せた。
一本で効果があるのか、効果が出るまでどれぐらいの時間がかかるのか分からない。
一匹捕獲して薬を飲ませたら朝まで様子を見るしかない。
♢
「狙うのは若い女性のゾンビにしよう。人間に戻った時の方が凶暴だと厄介だからね」
町を囲む柵の外から徘徊するゾンビを品定めする。隣には七海と高橋の二人がいる。
身体的な外傷がある状態で解毒薬を使うと、外傷が原因で人間に戻った時に死ぬかもしれない。
解毒薬はリカバリーで回復させてから使用したい。
そして、傷付けずにゾンビを拘束する為に高橋の雷の杖が必要になる。
初期呪文『Thunder』は雷の弾丸を発射できる。使うのは第二呪文『paralyze』だ。
麻痺の弾丸を発射して、直撃した相手の身体を痺れさせて動けなくする。
この麻痺状態の時にゾンビの口に解毒薬を流し込む。
「あの髪の長い、スカートを履いたゾンビがいいんじゃない? あれで男なら詐欺よ」
「そうだね。スマホのライトだと他のも寄って来るから、音で誘き寄せよう。俺がやるから二人はここで待機しておいて」
高橋が指差す方向には、腰まで届きそうな長い髪のゾンビがヨロヨロと歩いていた。
失礼な話、見た目だけでは若いのか老婆なのか分からない。
姿勢を低くして柵に近づくと、棍棒杖で柵をコン、コンと叩いて、ゾンビの注意を引き付ける。
「ヴヴヴッ!」
「そうだ。こっちだ」
柵を叩く音に気付いたゾンビが、摺り足のようにほとんど足を上げない早歩きで向かってきた。
柵から離れて棍棒杖を振って、ゾンビを柵の外まで追いかけてくるように挑発する。
「ヴヴヴッ! ヴヴヴッ!」
ゾンビは柵にガンガンガンと何度も打つかり続けている。柵を乗り越えるという知恵はないみたいだ。
結局、何回も柵に打つかり続けた後に体勢を崩して、頭から柵の外側に倒れてしまった。
ゴキッと骨が折れたような音が聞こえたけど、ゾンビは普通に立ち上がって歩いてくる。
「七海はゾンビの回復をして。結衣は一撃で麻痺できない可能性もあるから距離に気を付けて」
「うん。リカバリー!」
二人が待機している所まで戻ると、二人に素早く指示を出した。
七海が向かってくるゾンビに回復の杖を連続で使っている。
前に回復させたゾンビは三発ぐらいで外傷が綺麗に治っていた。五発も当てれば十分だ。
「七海はもういいよ。結衣、麻痺させて」
「オッケー! パラライズ!」
五発当たったので、七海から高橋に交代してもらった。
高橋の金色の棍棒杖から網目状の黄色に光る球体が飛び出した。
直径10センチの麻痺弾が直撃すると、ゾンビが「ヴヴヴッ」と呻いて、僅かに停止した。
けれども、それだけですぐに歩き出した。威力が足りないのか、麻痺が効かないのか。
「結衣、五発当てても麻痺しなかったら、この状態で解毒薬を使うから」
「分かった。でも、手足の骨ぐらいは折るわよ」
「あぁ、そうしよう」
ゾンビだから毒や麻痺が効かない可能性は考えていた。
ゾンビの動きは遅いから、棍棒杖で三人掛かりで手足の骨ぐらいは折れるはずだ。
「ヴヴヴッ!」
でも、その必要はなかった。三発目の麻痺弾が直撃するとゾンビが地面に倒れた。
静かにビクビクと痙攣している。
ブレザーのポケットから解毒薬を取り出すと、蓋を取ってゾンビの口に液体を流し込んだ。
……ここまでは予定通りだ。
ゾンビの汚れたロングスカートを脱がすとビリビリと破いていく。
拘束用のロープはないので、スカートを破いて手足を縛るロープ代わりにする。
両手足をキツく布で縛ると念の為に、解毒薬を二本追加でゾンビの口に流し込んだ。
これで駄目なら杖を成長させるしかないけど、その必要はないようだ。
ゾンビの身体に空気を入れて膨らませるように、皺くちゃの肌に張りが戻ってきた。
「ふぅー、成功みたいだね。朝まで交代で監視しよう」
まったくの無駄じゃないと分かって、一安心した。しっかりと解毒薬が効いているようだ。
あとはゾンビが人間に戻るか、綺麗なゾンビになるのか観察するだけだ。
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これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
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第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
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これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
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といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
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