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第二章
第11話 聞き取り調査
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「七海、眠たいのか?」
「んんんっ……」
背中合わせに周囲の見張りしていると、コツン、コツンと七海の後頭部が軽く打つかってくる。
拘束しているゾンビ女は肌の張り具合から若い女性だと分かる。
あとは正気に戻るのを待つだけだ。今は四時間交代で朝まで仮眠を取っている。
「起きないと前に言ったように身体を触るぞ」
身体を揺らして起きるように言っているのに、全然起きようとしない。
この状態で町からゾンビの集団がやって来たら最悪だ。後ろを振り向くと七海の唇にキスをした。
この程度の軽いキスで起きるわけないので、舌を口の中に入れていく。
右手で七海の柔らかい左胸を揉み回していく。
「んっ、ふっ……」
驚いて噛まれないように奥まで舌を入れない。反応はあるのに七海は全然起きない。
余程、疲れているのだろう。三十秒程、キスを続けて起きなかったので諦めた。
交代まで残り40分。一人でも町と荒野の両方を見張るぐらいは出来るだろう。
「うぅぅ、会長……」
「起きたのか? 寝ていただろう? ゾンビに襲われたら、ゾンビになるんだから油断するな」
「そんなの無理です。寒くて死にそうです。会長はズボンだから、女の子の辛さが分からないですよ」
キスをやめてから、二分ぐらい経った後に、いきなり背後からピタッと抱き付かれた。
七海が震える小さな声で話しかけてくる。
寒くて寝ていたようだけど、森と違って、葉っぱの布団も毛布も用意できない。
「会長が温めてくださいよ。両手で私の足を擦ってくれるだけでいいですから」
「そんな事をしてもすぐに冷えるだけだ。足を擦るだけなら、俺に頼まずに自分でやれ」
「むぅー! じゃあ、上着を貸してください!」
「嫌に決まっている。お前も上着があるんだ。上を温めるか、下を温めるか選ぶんだな」
「もぉー、会長は肌も心も冷たいです! 冷血人間です!」
「やめろ。冷たい……」
寒いなら自分で何とかしろと言っているのに、七海はしつこい。
背中側から両手を上着の中に突っ込むと、スクールシャツを捲って、冷たい手で背中を触ってきた。
「俺の身体をカイロ代わりにするな」
「んんっ……」
「七海、手を出せ。ゾンビの様子が少しおかしい」
「えっ? う、うん……」
ゾンビの呻き声が人間っぽい女の声に変わった気がする。
七海の好きなようにカイロにさせていたけど、すぐに身体から離れてもらった。
「ゔぅ、ごほぉ、ごほぉ、おぐエェェッ!」
「七海、三人を起こして離れていろ」
苦しそうにゾンビが口から大量の茶色い液体を吐き出した。
胃液か毒液か知らないけど、有害物質なのは間違いない。
「ごほぉ、ごほぉ、ごごば……?」
「まだ動かない方がいい。水があるから、口の中を綺麗にしようか」
濁った声だけど、間違いなく言葉を話した。しかも、日本語に聞こえる。
咳き込んでいるゾンビの足に、ブレザーを脱いで被せると、水の入った白い小瓶を口に近づけた。
「ゔぐっ、かふっ……ごほぉ、ごほぉ!」
……目は見えるようだ。それに言葉も理解しているか、仕草で理解している。
ゾンビ女は白い小瓶の水を口に含んでは吐き出している。このままでは水が足りそうにない。
一人助けるだけで、水色真珠も水も消費し過ぎている。町の全員を助けるのは今は無理そうだ。
「もう、大丈夫です。ここはどこですか……?」
「ここは町の外だよ。俺は瑞季。君は悪い病気になって、町の人達と一緒に町の中を延々に歩き続けていたんだ。覚えている最後の記憶とかあるかな?」
「ミズキ? 変わった服ですね。どこの国の人なんですか?」
「ここよりも遠い所だよ。今は頭が混乱しているみたいだから、もう少し眠った方がいい。俺達も疲れているから、話は明日の朝にゆっくりとしようか?」
「……はい……おやすみなさい」
会話は出来るようだけど、まだ頭がハッキリと動いてないようだ。
好戦的な性格じゃなさそうだから、無理に話を聞く必要もないだろう。
ゾンビ女が大人しく眠ったので、見張りを長髪三姉妹に交代してもらって眠る事にした。
♢
「おはよう、お兄ちゃん。朝だよ、早く起きないとチューしちゃうよ」
「……長谷川さん、何を言ってるの?」
「えっ⁉︎ えっ⁉︎」
見張りを交代して地面に寝ていると、長谷川に身体を揺すられて起こされた。
目を瞑っていただけで意識があったので、長谷川の恥ずかしい台詞を聞いてしまった。
目をパッと開けると、顔を覗き込んでいる長谷川と目が合ってしまった。
「長谷川さん、いつもそうやって本当のお兄さんも起こしているの?」
「言わないですよぉ! お兄ちゃんがこうやって起こしてくれたら嬉しいって、お願いするだけで言った事は一度もないですからっ!」
「そうなんだ……」
必死に否定しているけど、別に他所の家庭の趣味に文句はないのでどうでもいい。
薄っすらと空が明るくなっているので、町の探索とゾンビ女からの情報を聞き出さないといけない。
ゆっくりと起き上がると、寒さで固まった身体をマッサージで解して温めていく。
流石にブレザー無しだと冷える。今日の夜は町の家の中でゆっくりと眠りたい。
地面に座っているゾンビ女の姿を見ると、まだ手足を布で縛られていた。女子達も容赦がない。
手で破れる程の服の劣化具合から、ゾンビになって数年は経っていると思う。
今の状況は本人にとっては、ちょっとしたタイムスリップかもしれない。
「おはよう、よく眠れたかな?」
「はい、お陰様で……」
「ごめんね。感染する病気のようだから拘束させてもらっているよ。町の人や魔物に身体を噛まれたり、原因不明の病気になった覚えはあるかな?」
ゾンビ女が起きているので、町の中を探索する前に知っている情報を聞き出さないといけない。
魔物に噛まれてゾンビになるのなら、町の中にその魔物が潜んでいる可能性もある。
顔色は茶色いままだけど、五分ぐらいは話せる体力はあるだろう。
「はい。村の猟師の人達が森の中で何かに噛まれて高熱を出したんです。三日ぐらいで治ったんですけど、顔色が悪いままで、それから町全体に同じ症状の病気が広がっていきました。病気の原因に心当たりがあるとしたら、それぐらいです」
多分、その魔物が感染源だと思う。問題は猟師達から町の住人全体に広がってしまった理由だ。
「だとしたら空気感染、接触感染が濃厚かな? 家の中で寝ている時に誰かに襲われた町の人はいるかな?」
「えーっと……すみません。私は聞いた事がないです」
ゾンビ女は少し考えてから曖昧な答えを言った。
感染した猟師がゾンビ吸血鬼になって、町の住人を夜中に襲っていたわけじゃないようだ。
「そっか……だったら、その病気で死亡した人はいるかな? 町の人のどのぐらいの人達がその病気になったか知らない?」
「えーっと、すみません。亡くなった人はいるんですけど、病気が原因なのか私には分かりません。ほとんどの人が風邪を引いたぐらいの感覚だったと思います」
……まぁ、病気の原因が分かっているなら、町全体がゾンビにはならないか。
ゾンビ女に話を聞いているけど、感染が広がった理由が分からなかった。
分かった事は感染速度が異様に早い感じがした事だ。まるでウイルス兵器を町で爆発したような感じがする。
猟師達の身体の中で菌が大繁殖して、時限爆弾のように爆発して、菌をばら撒いたのだろうか。
「あのぉ……私も聞きたい事があるんですけど、聞いてもいいでしょうか?」
「もちろんいいよ。俺に分かる事なら何でも答えるつもりだよ。その前に名前を教えてもらってもいいかな?」
「はい、アルマです」
「よろしく、アルマさん」
アルマと言う名前が分かったので、女子達も自己紹介していく。
フルネームだと長くなってしまうので、俺と同じように下の名前だけを教えている。
全員の自己紹介が終わると、アルマが聞いてきた。
「皆さんはテルダムの町を救いに来たんでしょうか? もしも、そうなら協力させて欲しいんです」
「それは助かるよ。町の人達が協力してくれたら、時間はかかるけど全員を助ける事が出来ると思うから」
「本当ですか! ありがとうございます!」
アルマが協力を名乗り出てきたので、とりあえず微笑んでおいた。
人手は確かに欲しいけど、欲しい人手は食糧と水を供給してくれる人手だ。
解毒薬で町の人達を治療しても、こちらの食糧と水が消費されるだけかもしれない。
善人じゃないんだ。感謝の言葉を聞く為に助けるつもりはない。
「アルマ、俺達が欲しいのは食糧と水の供給、それと安全に寝泊まり出来る場所なんだ。この町の人達で用意できるかな?」
「それは……ちょっと分かりません。今の町の状態が分からないので……」
食糧と水の協力をお願いしたら、アルマが困った顔で分からないと言ってきた。
「それもそうだね。じゃあ、町が普通の状態に戻ったら出来るかな?」
「それも他の町との交流が出来ないと難しいと思います」
「なるほど……だったら、近くにある町を教えて欲しい。徒歩で何日ぐらいかかるかな?」
適当に答えないのは好感が持てるけど、悲観的な答えしか返ってこない。
それでも近場の町の情報を手に入れた。これでゾンビの町を放置するという選択が出てきた。
「距離は大体25キロぐらい前後あって、北、南西、南東に町があります。一日あれば到着できると思います」
「三つだね。だったら、まずは体力がある男性を三人治療するから、町の様子を見てきてもらいたい。俺達の仲間がいる可能性があるし、病気が広がっているか確認したい。アルマさんに三人選んで欲しい」
「三人だけですか……はい、任せてください」
アルマは治療するのが三人だけと聞いて、ガッカリした表情を見せた。
だけど、手持ちの水色真珠だとギリギリだ。イモ虫も無限にはいない。
それに猟師が何かに噛まれた森の場所も気になる。近場だと俺達がいた森の可能性もある。
今は三人だけで我慢してもらう。
「んんんっ……」
背中合わせに周囲の見張りしていると、コツン、コツンと七海の後頭部が軽く打つかってくる。
拘束しているゾンビ女は肌の張り具合から若い女性だと分かる。
あとは正気に戻るのを待つだけだ。今は四時間交代で朝まで仮眠を取っている。
「起きないと前に言ったように身体を触るぞ」
身体を揺らして起きるように言っているのに、全然起きようとしない。
この状態で町からゾンビの集団がやって来たら最悪だ。後ろを振り向くと七海の唇にキスをした。
この程度の軽いキスで起きるわけないので、舌を口の中に入れていく。
右手で七海の柔らかい左胸を揉み回していく。
「んっ、ふっ……」
驚いて噛まれないように奥まで舌を入れない。反応はあるのに七海は全然起きない。
余程、疲れているのだろう。三十秒程、キスを続けて起きなかったので諦めた。
交代まで残り40分。一人でも町と荒野の両方を見張るぐらいは出来るだろう。
「うぅぅ、会長……」
「起きたのか? 寝ていただろう? ゾンビに襲われたら、ゾンビになるんだから油断するな」
「そんなの無理です。寒くて死にそうです。会長はズボンだから、女の子の辛さが分からないですよ」
キスをやめてから、二分ぐらい経った後に、いきなり背後からピタッと抱き付かれた。
七海が震える小さな声で話しかけてくる。
寒くて寝ていたようだけど、森と違って、葉っぱの布団も毛布も用意できない。
「会長が温めてくださいよ。両手で私の足を擦ってくれるだけでいいですから」
「そんな事をしてもすぐに冷えるだけだ。足を擦るだけなら、俺に頼まずに自分でやれ」
「むぅー! じゃあ、上着を貸してください!」
「嫌に決まっている。お前も上着があるんだ。上を温めるか、下を温めるか選ぶんだな」
「もぉー、会長は肌も心も冷たいです! 冷血人間です!」
「やめろ。冷たい……」
寒いなら自分で何とかしろと言っているのに、七海はしつこい。
背中側から両手を上着の中に突っ込むと、スクールシャツを捲って、冷たい手で背中を触ってきた。
「俺の身体をカイロ代わりにするな」
「んんっ……」
「七海、手を出せ。ゾンビの様子が少しおかしい」
「えっ? う、うん……」
ゾンビの呻き声が人間っぽい女の声に変わった気がする。
七海の好きなようにカイロにさせていたけど、すぐに身体から離れてもらった。
「ゔぅ、ごほぉ、ごほぉ、おぐエェェッ!」
「七海、三人を起こして離れていろ」
苦しそうにゾンビが口から大量の茶色い液体を吐き出した。
胃液か毒液か知らないけど、有害物質なのは間違いない。
「ごほぉ、ごほぉ、ごごば……?」
「まだ動かない方がいい。水があるから、口の中を綺麗にしようか」
濁った声だけど、間違いなく言葉を話した。しかも、日本語に聞こえる。
咳き込んでいるゾンビの足に、ブレザーを脱いで被せると、水の入った白い小瓶を口に近づけた。
「ゔぐっ、かふっ……ごほぉ、ごほぉ!」
……目は見えるようだ。それに言葉も理解しているか、仕草で理解している。
ゾンビ女は白い小瓶の水を口に含んでは吐き出している。このままでは水が足りそうにない。
一人助けるだけで、水色真珠も水も消費し過ぎている。町の全員を助けるのは今は無理そうだ。
「もう、大丈夫です。ここはどこですか……?」
「ここは町の外だよ。俺は瑞季。君は悪い病気になって、町の人達と一緒に町の中を延々に歩き続けていたんだ。覚えている最後の記憶とかあるかな?」
「ミズキ? 変わった服ですね。どこの国の人なんですか?」
「ここよりも遠い所だよ。今は頭が混乱しているみたいだから、もう少し眠った方がいい。俺達も疲れているから、話は明日の朝にゆっくりとしようか?」
「……はい……おやすみなさい」
会話は出来るようだけど、まだ頭がハッキリと動いてないようだ。
好戦的な性格じゃなさそうだから、無理に話を聞く必要もないだろう。
ゾンビ女が大人しく眠ったので、見張りを長髪三姉妹に交代してもらって眠る事にした。
♢
「おはよう、お兄ちゃん。朝だよ、早く起きないとチューしちゃうよ」
「……長谷川さん、何を言ってるの?」
「えっ⁉︎ えっ⁉︎」
見張りを交代して地面に寝ていると、長谷川に身体を揺すられて起こされた。
目を瞑っていただけで意識があったので、長谷川の恥ずかしい台詞を聞いてしまった。
目をパッと開けると、顔を覗き込んでいる長谷川と目が合ってしまった。
「長谷川さん、いつもそうやって本当のお兄さんも起こしているの?」
「言わないですよぉ! お兄ちゃんがこうやって起こしてくれたら嬉しいって、お願いするだけで言った事は一度もないですからっ!」
「そうなんだ……」
必死に否定しているけど、別に他所の家庭の趣味に文句はないのでどうでもいい。
薄っすらと空が明るくなっているので、町の探索とゾンビ女からの情報を聞き出さないといけない。
ゆっくりと起き上がると、寒さで固まった身体をマッサージで解して温めていく。
流石にブレザー無しだと冷える。今日の夜は町の家の中でゆっくりと眠りたい。
地面に座っているゾンビ女の姿を見ると、まだ手足を布で縛られていた。女子達も容赦がない。
手で破れる程の服の劣化具合から、ゾンビになって数年は経っていると思う。
今の状況は本人にとっては、ちょっとしたタイムスリップかもしれない。
「おはよう、よく眠れたかな?」
「はい、お陰様で……」
「ごめんね。感染する病気のようだから拘束させてもらっているよ。町の人や魔物に身体を噛まれたり、原因不明の病気になった覚えはあるかな?」
ゾンビ女が起きているので、町の中を探索する前に知っている情報を聞き出さないといけない。
魔物に噛まれてゾンビになるのなら、町の中にその魔物が潜んでいる可能性もある。
顔色は茶色いままだけど、五分ぐらいは話せる体力はあるだろう。
「はい。村の猟師の人達が森の中で何かに噛まれて高熱を出したんです。三日ぐらいで治ったんですけど、顔色が悪いままで、それから町全体に同じ症状の病気が広がっていきました。病気の原因に心当たりがあるとしたら、それぐらいです」
多分、その魔物が感染源だと思う。問題は猟師達から町の住人全体に広がってしまった理由だ。
「だとしたら空気感染、接触感染が濃厚かな? 家の中で寝ている時に誰かに襲われた町の人はいるかな?」
「えーっと……すみません。私は聞いた事がないです」
ゾンビ女は少し考えてから曖昧な答えを言った。
感染した猟師がゾンビ吸血鬼になって、町の住人を夜中に襲っていたわけじゃないようだ。
「そっか……だったら、その病気で死亡した人はいるかな? 町の人のどのぐらいの人達がその病気になったか知らない?」
「えーっと、すみません。亡くなった人はいるんですけど、病気が原因なのか私には分かりません。ほとんどの人が風邪を引いたぐらいの感覚だったと思います」
……まぁ、病気の原因が分かっているなら、町全体がゾンビにはならないか。
ゾンビ女に話を聞いているけど、感染が広がった理由が分からなかった。
分かった事は感染速度が異様に早い感じがした事だ。まるでウイルス兵器を町で爆発したような感じがする。
猟師達の身体の中で菌が大繁殖して、時限爆弾のように爆発して、菌をばら撒いたのだろうか。
「あのぉ……私も聞きたい事があるんですけど、聞いてもいいでしょうか?」
「もちろんいいよ。俺に分かる事なら何でも答えるつもりだよ。その前に名前を教えてもらってもいいかな?」
「はい、アルマです」
「よろしく、アルマさん」
アルマと言う名前が分かったので、女子達も自己紹介していく。
フルネームだと長くなってしまうので、俺と同じように下の名前だけを教えている。
全員の自己紹介が終わると、アルマが聞いてきた。
「皆さんはテルダムの町を救いに来たんでしょうか? もしも、そうなら協力させて欲しいんです」
「それは助かるよ。町の人達が協力してくれたら、時間はかかるけど全員を助ける事が出来ると思うから」
「本当ですか! ありがとうございます!」
アルマが協力を名乗り出てきたので、とりあえず微笑んでおいた。
人手は確かに欲しいけど、欲しい人手は食糧と水を供給してくれる人手だ。
解毒薬で町の人達を治療しても、こちらの食糧と水が消費されるだけかもしれない。
善人じゃないんだ。感謝の言葉を聞く為に助けるつもりはない。
「アルマ、俺達が欲しいのは食糧と水の供給、それと安全に寝泊まり出来る場所なんだ。この町の人達で用意できるかな?」
「それは……ちょっと分かりません。今の町の状態が分からないので……」
食糧と水の協力をお願いしたら、アルマが困った顔で分からないと言ってきた。
「それもそうだね。じゃあ、町が普通の状態に戻ったら出来るかな?」
「それも他の町との交流が出来ないと難しいと思います」
「なるほど……だったら、近くにある町を教えて欲しい。徒歩で何日ぐらいかかるかな?」
適当に答えないのは好感が持てるけど、悲観的な答えしか返ってこない。
それでも近場の町の情報を手に入れた。これでゾンビの町を放置するという選択が出てきた。
「距離は大体25キロぐらい前後あって、北、南西、南東に町があります。一日あれば到着できると思います」
「三つだね。だったら、まずは体力がある男性を三人治療するから、町の様子を見てきてもらいたい。俺達の仲間がいる可能性があるし、病気が広がっているか確認したい。アルマさんに三人選んで欲しい」
「三人だけですか……はい、任せてください」
アルマは治療するのが三人だけと聞いて、ガッカリした表情を見せた。
だけど、手持ちの水色真珠だとギリギリだ。イモ虫も無限にはいない。
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