王子様が婚約破棄してきたので、用意しておいたスコップで後頭部を強打しました

もう書かないって言ったよね?

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後編

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「順調ですね」

 ベッドに腰掛けて少し大きくなったきたお腹をフフッと笑って撫でていく。
 王子が行方不明になってから、四ヶ月も経過している。その間に私が住むお父様の屋敷も何回も捜索された。結果は見つからないというものだ。
 ビリビリに破かれた手紙も王様に提出したのに、まだ疑われているようです。

 ……そろそろ隠すのも無理そうですね。
 お腹の王子の子供も大きくなっている。適当な恋人でも用意して、誤魔化すしかないでしょう。
 私が欲しいのは男の子です。男の子が産まれるまでは王子の去勢手術は出来ません。私以外が王子の子供を産めないように無用な物は切り落とさないといけません。

「さてと……」

 いつもの食事の時間です。一日一回の食事なので王子もお腹を空かせて待っているはずです。大きな姿見の鏡の前に立つと「鏡よ 鏡よ 鏡さん」と呪文を唱えていきます。
 魔法の骨董屋で偶然手に入れた避難用の魔道具ですが、王子の監禁用に使わさせてもらっています。

「お待たせしました、アルフォンス様」

「あぁ、パトリシア。早く来てくれ、早く近くに来てくれ」

「はいはい。すぐに行きますよ」

 真っ暗な部屋に現れたランプの光に王子は急いでやって来た。ジャラジャラジャラと王子の首や手足に付けた枷の鎖の鳴る音が聞こえる。今の王子は犬というよりも虫だ。光を求めてやって来る。
 話し相手は私だけなので、孤独と寂しさで精神的に不安定になっている。食事と女としての身体を与えれば、すぐに獣のように私を求めてきた。

「パトリシア! パトリシア! パトリシア!」

 鉄格子に掴まって、王子が私に甘えてくる。「あーん」とスプーンに掬ったスープを王子に飲ませていく。可愛いけど男の子が産まれたら、城に王子と一緒に戻るつもりだ。そろそろ王子としての礼儀作法を取り戻してもらわないと困る。
 ……まぁ、育てる赤ちゃんが一人増えたと思えばいいですね。

 ♢

 さらに六ヶ月後……

「オギャー! オギャー! オギャー!」

「パトリシア様、おめでとうございます! 元気な男の子ですよ!」

「嗚呼、良かったです」

 使用人の女が産まれたら赤ん坊の性別を教えてくれた。私は男の子だと分かって一安心する。
 これでもう王子の世話をする必要がなくなりました。王子の去勢手術を終わらせれば、あとはお城に王子と一緒に帰るだけです。

 ……これでもうパイ子は王子に手を出せませんね。
 私の王子に手を出して、結局敗れてしまったパイ子の絶望した姿を想像するだけで、フフッと笑えてしまいます。
 王子と一緒に絶壁無乳と私を馬鹿にしていた事は知っています。結婚式に呼び出して、王子の代わりに鏡の隠し部屋に閉じ込めてやりましょう。ショックで身投げすると手紙に書かせれば、周りの人は信じてくれるはずです。

「嗚呼、なんて幸せなんでしょう」

 可愛い赤ちゃん、玉無し王子、ペットのパイ子、お城の幸せに満ちた新生活が待ち遠しいです。
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