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第2章
第36話④プロットポイント①
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「オラッ! オラッ!」
『ゴペェ……!』
戦うのがこんなに楽しいなんて知らなかった。
ワーウルフが起きるまで待って、向かってきたワーウルフを片っ端から殴り倒していく。
魔力を込めた拳がこんなに凄いとは知らなかった。
一撃でワーウルフが地面にめり込んだり、遠くに殴り飛ばされていく。
「ぐあっ……!」
『ガルルルゥゥ!』
でも、戦うのに慣れてない。普段は回復役だ。
一頭を殴り飛ばす隙を突かれて、飛びかかってきたワーウルフに右肩を噛みつかれてしまった。
そのまま身体に爪を食い込ませてしがみ付いて、牙を激しく食い込ませてきた。
「ぐぅぅぅ! ああああっっ!」
経験不足でどう対処したらいいのか分からない。ワーウルフの身体は掴めても引き剥がせない。
とにかく右肩に向かって、左拳を弧を描くように頭から右肩に回して振り下ろしてみた。
『グバァ、ガアアッ……!』
よし、当たった。食い込んでいた前足の爪が身体から離れた。
右肩にダランと牙だけでぶら下がっている感じだ。
邪魔なのでワーウルフの上口を左手で掴んで、牙を右肩から外して放り投げた。
「くっ、”ヒール〟!」
調子に乗って油断した。急いで回復しないといけない。
回復魔法と状態異常回復魔法は同時には使えない。
回復中はただの無限サンドバッグになってしまう。
『ガルルルゥゥ!』
だけど、相手は待ってくれない。四頭のワーウルフが向かってきている。
回復を一旦中断して攻撃するか、回復魔法と状態異常回復魔法を同時に行なって攻撃するかだ。
「やるしかない!」
LVアップしたいなら難しい方をやるしかない。
楽な方法で倒しても、大した経験にはならない。
昔の俺には無理でも、今の男になった俺になら無理じゃない。
「集中、集中……」
目を閉じてイメージしていく。やった事ないけど、初めてじゃない。
トリプルダンジョンやダブルダンジョンと同じだ。
聖剣でダンジョンを攻撃しながら、口や手で別のダンジョンを攻撃するのと同じだ。
聖剣は聖剣、口は口、手は手だ。それぞれを別々なものと意識する。
そうすれば、三人同時にボス攻略できた。
今こそ過酷で気持ち良い修業の成果を見せる時だ。目を開くと唱えた。
「”アンチポイズンヒール〟」
両拳が紫の光に、傷付いた上半身が緑色の光に包まれた。
いける気がする。いや、やれる気がする。この状態なら永遠にやり続けられる。
「うおおおお!」
『ゴペェ……!』
単純な右拳の全力突き。その一撃でワーウルフの頭が木っ端微塵に弾け飛んだ。
最初よりも威力が上がっている気がする。間違いない。LVアップしている。
「オラッ! オラッ! オラッッ!」
「ほら、もう帰るわよ。今日はこの辺でいいでしょ」
「も、もうちょっとだけ……」
まだまだやれるのに、リラが帰るように言ってきた。まだ少し暗くなってきただけだ。
松明を置いておけば、その光にモンスターの方から集まってくれる。
探す手間さえかからない。俺の方は朝まで全然やれるから大丈夫だ。
「駄目! 帰るわよ。何時間戦っているか分かってんの?」
「9時間ぐらいでしょ? オラッ!」
『グギャ……!』
怒っているリラに答えつつ、向かってきたゴブリンを右拳を振り払って殴り飛ばした。
やっと身体がコツを掴めてきたところだ。今帰ると忘れてしまうかもしれない。
「12時間と32分、23秒よ‼︎ さっさと帰るわよ‼︎」
「ごめぴぃ!」
向かってきたメスゴリラモンスターは殴れなかった。というか絶対に殴ったら駄目だ。
左腕を掴まれて、強引に引き摺られていく。ゴブリンの死体は放置決定だ。
「まったく、いつまでやれば気が済むのよ。長ければ良いってもんじゃないのよ。LVアップは量よりも質よ。雑魚倒してイキがるんじゃないわよ」
「す、すみません……」
怒っているリラの言う通り、確かに途中から弱すぎで余裕しかなかった。
明日はもう少し強い亜人モンスターを探して倒した方がLVアップすると思う。
ゴブリン、オーク、ワーウルフは今日で卒業しよう。
「ほら、洗濯するから服脱ぎなさい。血だらけじゃない」
「いいです! 自分で洗いますから!」
馬車に帰ると、怒っているリラが言ってきた。
今まで一度も言われた事がない優しい台詞だ。頼むと怖いから急いで断った。
それにアイテム鞄からスライム洗濯機を取り出して、脱いだ服を入れるだけの簡単な作業だ。
わざわざ人に頼むような事じゃない。
「いいから脱ぎなさい。私が綺麗にしてあげるって言ってるのよ。まさか嫌なの!」
「嫌じゃないです! 凄く嬉しいです! すぐ脱ぎます!」
脱ぐか、死ぬか、選ぶなら、脱ぐに決まっている。
色々と破れてしまった上着を急いで脱ぐと、リラに差し出した。
それなのに、
「ほら、早く下も脱いで」
「し、下も⁉︎」
恥ずかしがっている暇はない。リラの要求には素早く従うしかない。
ズボンのベルトを緩めて、長ズボンを脱いで差し出した。
それなのに、
「うーん」
「パ、パンツも⁉︎」
リラが納得いかない顔で、俺の縦縞トランクスを指差してきた。
これを脱いだら俺はスッポンポンだ。
前にスッポンポンを見せた時、聖剣を潰されると宣言された。
これを脱いでいいのか分からない。
「まったくぅー、そこに座りなさい。私が脱がしてあげるわよ」
「リラがぁ!」
どうしたらいいのか困っていると、リラが呆れた顔をして、御者台を指差した。
脱がしてほしいなんて言ってない。もう何がしたいのか全然分かんない。
『ゴペェ……!』
戦うのがこんなに楽しいなんて知らなかった。
ワーウルフが起きるまで待って、向かってきたワーウルフを片っ端から殴り倒していく。
魔力を込めた拳がこんなに凄いとは知らなかった。
一撃でワーウルフが地面にめり込んだり、遠くに殴り飛ばされていく。
「ぐあっ……!」
『ガルルルゥゥ!』
でも、戦うのに慣れてない。普段は回復役だ。
一頭を殴り飛ばす隙を突かれて、飛びかかってきたワーウルフに右肩を噛みつかれてしまった。
そのまま身体に爪を食い込ませてしがみ付いて、牙を激しく食い込ませてきた。
「ぐぅぅぅ! ああああっっ!」
経験不足でどう対処したらいいのか分からない。ワーウルフの身体は掴めても引き剥がせない。
とにかく右肩に向かって、左拳を弧を描くように頭から右肩に回して振り下ろしてみた。
『グバァ、ガアアッ……!』
よし、当たった。食い込んでいた前足の爪が身体から離れた。
右肩にダランと牙だけでぶら下がっている感じだ。
邪魔なのでワーウルフの上口を左手で掴んで、牙を右肩から外して放り投げた。
「くっ、”ヒール〟!」
調子に乗って油断した。急いで回復しないといけない。
回復魔法と状態異常回復魔法は同時には使えない。
回復中はただの無限サンドバッグになってしまう。
『ガルルルゥゥ!』
だけど、相手は待ってくれない。四頭のワーウルフが向かってきている。
回復を一旦中断して攻撃するか、回復魔法と状態異常回復魔法を同時に行なって攻撃するかだ。
「やるしかない!」
LVアップしたいなら難しい方をやるしかない。
楽な方法で倒しても、大した経験にはならない。
昔の俺には無理でも、今の男になった俺になら無理じゃない。
「集中、集中……」
目を閉じてイメージしていく。やった事ないけど、初めてじゃない。
トリプルダンジョンやダブルダンジョンと同じだ。
聖剣でダンジョンを攻撃しながら、口や手で別のダンジョンを攻撃するのと同じだ。
聖剣は聖剣、口は口、手は手だ。それぞれを別々なものと意識する。
そうすれば、三人同時にボス攻略できた。
今こそ過酷で気持ち良い修業の成果を見せる時だ。目を開くと唱えた。
「”アンチポイズンヒール〟」
両拳が紫の光に、傷付いた上半身が緑色の光に包まれた。
いける気がする。いや、やれる気がする。この状態なら永遠にやり続けられる。
「うおおおお!」
『ゴペェ……!』
単純な右拳の全力突き。その一撃でワーウルフの頭が木っ端微塵に弾け飛んだ。
最初よりも威力が上がっている気がする。間違いない。LVアップしている。
「オラッ! オラッ! オラッッ!」
「ほら、もう帰るわよ。今日はこの辺でいいでしょ」
「も、もうちょっとだけ……」
まだまだやれるのに、リラが帰るように言ってきた。まだ少し暗くなってきただけだ。
松明を置いておけば、その光にモンスターの方から集まってくれる。
探す手間さえかからない。俺の方は朝まで全然やれるから大丈夫だ。
「駄目! 帰るわよ。何時間戦っているか分かってんの?」
「9時間ぐらいでしょ? オラッ!」
『グギャ……!』
怒っているリラに答えつつ、向かってきたゴブリンを右拳を振り払って殴り飛ばした。
やっと身体がコツを掴めてきたところだ。今帰ると忘れてしまうかもしれない。
「12時間と32分、23秒よ‼︎ さっさと帰るわよ‼︎」
「ごめぴぃ!」
向かってきたメスゴリラモンスターは殴れなかった。というか絶対に殴ったら駄目だ。
左腕を掴まれて、強引に引き摺られていく。ゴブリンの死体は放置決定だ。
「まったく、いつまでやれば気が済むのよ。長ければ良いってもんじゃないのよ。LVアップは量よりも質よ。雑魚倒してイキがるんじゃないわよ」
「す、すみません……」
怒っているリラの言う通り、確かに途中から弱すぎで余裕しかなかった。
明日はもう少し強い亜人モンスターを探して倒した方がLVアップすると思う。
ゴブリン、オーク、ワーウルフは今日で卒業しよう。
「ほら、洗濯するから服脱ぎなさい。血だらけじゃない」
「いいです! 自分で洗いますから!」
馬車に帰ると、怒っているリラが言ってきた。
今まで一度も言われた事がない優しい台詞だ。頼むと怖いから急いで断った。
それにアイテム鞄からスライム洗濯機を取り出して、脱いだ服を入れるだけの簡単な作業だ。
わざわざ人に頼むような事じゃない。
「いいから脱ぎなさい。私が綺麗にしてあげるって言ってるのよ。まさか嫌なの!」
「嫌じゃないです! 凄く嬉しいです! すぐ脱ぎます!」
脱ぐか、死ぬか、選ぶなら、脱ぐに決まっている。
色々と破れてしまった上着を急いで脱ぐと、リラに差し出した。
それなのに、
「ほら、早く下も脱いで」
「し、下も⁉︎」
恥ずかしがっている暇はない。リラの要求には素早く従うしかない。
ズボンのベルトを緩めて、長ズボンを脱いで差し出した。
それなのに、
「うーん」
「パ、パンツも⁉︎」
リラが納得いかない顔で、俺の縦縞トランクスを指差してきた。
これを脱いだら俺はスッポンポンだ。
前にスッポンポンを見せた時、聖剣を潰されると宣言された。
これを脱いでいいのか分からない。
「まったくぅー、そこに座りなさい。私が脱がしてあげるわよ」
「リラがぁ!」
どうしたらいいのか困っていると、リラが呆れた顔をして、御者台を指差した。
脱がしてほしいなんて言ってない。もう何がしたいのか全然分かんない。
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