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第3章
第95話⑧プロットポイント②
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「ふぅー……」
冷たい水が喉に染み渡る。四つ目の職業は手に入らないみたいだ。
何も頭に流れ込んで来ない。だったら、戦利品が落ちていないか探すしかないが……
それも見当たらない。宝石も杖も何も落ちていない。
完全なタダ働きだ。
「んっ?」
「素晴らしいです! まさか倒せるとは思っていませんでした!」
パチパチと手の平を叩きながら、扉を開けてエルシアが入ってきた。
満面の笑みで、逃げずに堂々と向かってくる。
「……それでどうするつもりだ?」
変態悪霊ジジイに俺の身体を売り渡す計画は潰してやった。
今さら泣いて謝っても、股を広げて謝っても許さない。
家の庭に観葉植物として植えてやる。
「こうするつもりです」
エルシアが立ち止まると、床から綺麗に光る丸い球が一つ浮かんできた。
まだ計画は続いているらしい。
「魅了が解けているのは気づいてましたよ。それなのにここまで来るなんて……」
それで何をするつもりか知らないが、俺が黙って見ているわけない。
「だったら仕方ないな。”バインド〟——さあ、続きをやってみろ」
拘束魔法で動きを止めた。気づいているならもう魅了されたフリは終わりだ。
階段から立ち上がるとエルシアに向かって歩いていく。
「フフッ。じゃあ、そうしましょうか。”シンセシス〟うごぉ!」
「なっ⁉︎」
しまった。油断した。
丸い球がエルシアの口に飛び込んだ。
「ゔあぁ~~‼︎ あゔゔゔっ‼︎」
「チッ! 俺の肉人形が!」
この苦しみようはすぐに吐き出させた方がいい。
腹を一発殴るか、リラソードみたいに振り回すか。
「オラッ!」
「はぐううう‼︎」
振り回すよりもこっちが早い。素早く腹に一発打ち込んだ。
すると、口からではなく、股から何かが飛び出してきた。
「おぎゃー! おきゃー!」
「んっ? はぅっ⁉︎ う、産まれたぁー‼︎」
俺の子じゃないと言いたいけど、床にいるのは赤ん坊だ。
こんなに早くパパになるとは思わなかった。
『ママ⁉︎ どうしよう⁉︎』という顔でエルシアを見た。
「あゔっ、あっ、ぐっ……」
「だ、誰だよ⁉︎」
ママじゃなくて、ババアだ。
エルシアの顔がシワクチャのババアになっている。
身体もシワくちゃになっている。
驚いてるとそのまま床に倒れていった。
「おい、大丈夫か⁉︎」
「ぁぁ、ぅっ……」
一発殴っただけで赤ちゃん産んで死ぬとは思わなかった。
この後どうすればいいのか分からない。
「”ウルトラヒール〟‼︎」
とにかくエルシアを生き返らせないとマズイ。
このままだと成長した俺の子に「ママはお父さんが腹パンで殺したよ」と話さなくてはならない。
それは子供の成長に大変よろしくない。確実にグレてしまう。生涯反抗期確定だ。
「”ウルトラヒール〟‼︎ ——駄目だ‼︎ ピクリとも動かない‼︎」
虫の息じゃなくて、完全に死んでいる。
何度も回復させているのに、シワくちゃのままだ。
こうなったら責任を持って、男手一つで立派な子供に育てるしかない。
それが亡き妻に対する俺の最大の謝罪だ。
「すまない。こんなパパで……」
チンチン丸出しの可愛い赤ん坊に手を伸ばした。
『気安く触るな、豚が』
「す、すみません」
——じゃねえよ。
「しゃ、喋った⁉︎」
右手でパチンと手を払い退けると、赤ん坊が普通に立ち上がった。
『うるさい豚だ。これが俺を復活させたと思うと泣けてくる』
「お、お前、な、何なんだよ⁉︎」
俺の知っている赤ん坊はこんなに早く喋ったり立ち上がれない。
どう見ても異常だ。こんなの俺の子供じゃない。そう思いたい。
『ああ、そうだな。すぐに教えてやる。”ユニオン〟』
「ぐぅぅぅ!」
赤ん坊がリッチロードが使った呪文を唱えると、俺の身体から影が引き摺り出された。
そして、液体のような黒い影を吸収して、赤ん坊の身体が大きくなっていく。
「おいおい、嘘だろ……」
子供の成長は早いと聞くけど、これは早すぎる。
灰色の長い髪、真っ白な肌、尖った耳のママ似の美しい青年になってしまった。
『ふぅー、これで元通りだ。ご苦労だったな、豚野郎。”バインド〟』
「ぐぅっ! う、動けない! ど、どういうつもりだ!」
身体が大人になっても、パパにこんな事して許されるわけがない。
早すぎる反抗期だとしても、パパを拘束するのは絶対に駄目だ。
『どういうつもりだと? 豚に分るように説明しろという事か? 理解したいのならば、次は人間に生まれるように願いながら死ね』
「ぐぅっ!」
酷い酷過ぎる。ママを殺したとしても、我が子にこんな事言われたら、パパだって死にたくなる。
だけど、亡き妻に立派な子供に育てると約束したんだ。死ぬわけにはいかない。
「パ、パパの事を嫌ってもいい。でも、まだ死ねないんだ。お前を立派に育てるまでは」
今は分からなくてもいい。いずれパパの愛情が分かる日が来ると信じている。
『はあ? パパだと。お前は豚以下だな。お前もこの道具もただの養分だ。お前が馬鹿みたいに食べている食事と同じだ』
「……えっ? 俺の子供じゃないのか?」
『当たり前だ。考えるだけでもおぞましい。ここから出たものは俺の身体には一滴も含まれていない』
「うぎゃあああ‼︎」
嫌悪感剥き出しの息子に息子を握り潰された。
反抗期の息子を待つお父さん達は凄すぎる。
回復術も無しにこんな痛みを日々耐えているなんて、普通の精神力じゃ出来ない。
冷たい水が喉に染み渡る。四つ目の職業は手に入らないみたいだ。
何も頭に流れ込んで来ない。だったら、戦利品が落ちていないか探すしかないが……
それも見当たらない。宝石も杖も何も落ちていない。
完全なタダ働きだ。
「んっ?」
「素晴らしいです! まさか倒せるとは思っていませんでした!」
パチパチと手の平を叩きながら、扉を開けてエルシアが入ってきた。
満面の笑みで、逃げずに堂々と向かってくる。
「……それでどうするつもりだ?」
変態悪霊ジジイに俺の身体を売り渡す計画は潰してやった。
今さら泣いて謝っても、股を広げて謝っても許さない。
家の庭に観葉植物として植えてやる。
「こうするつもりです」
エルシアが立ち止まると、床から綺麗に光る丸い球が一つ浮かんできた。
まだ計画は続いているらしい。
「魅了が解けているのは気づいてましたよ。それなのにここまで来るなんて……」
それで何をするつもりか知らないが、俺が黙って見ているわけない。
「だったら仕方ないな。”バインド〟——さあ、続きをやってみろ」
拘束魔法で動きを止めた。気づいているならもう魅了されたフリは終わりだ。
階段から立ち上がるとエルシアに向かって歩いていく。
「フフッ。じゃあ、そうしましょうか。”シンセシス〟うごぉ!」
「なっ⁉︎」
しまった。油断した。
丸い球がエルシアの口に飛び込んだ。
「ゔあぁ~~‼︎ あゔゔゔっ‼︎」
「チッ! 俺の肉人形が!」
この苦しみようはすぐに吐き出させた方がいい。
腹を一発殴るか、リラソードみたいに振り回すか。
「オラッ!」
「はぐううう‼︎」
振り回すよりもこっちが早い。素早く腹に一発打ち込んだ。
すると、口からではなく、股から何かが飛び出してきた。
「おぎゃー! おきゃー!」
「んっ? はぅっ⁉︎ う、産まれたぁー‼︎」
俺の子じゃないと言いたいけど、床にいるのは赤ん坊だ。
こんなに早くパパになるとは思わなかった。
『ママ⁉︎ どうしよう⁉︎』という顔でエルシアを見た。
「あゔっ、あっ、ぐっ……」
「だ、誰だよ⁉︎」
ママじゃなくて、ババアだ。
エルシアの顔がシワクチャのババアになっている。
身体もシワくちゃになっている。
驚いてるとそのまま床に倒れていった。
「おい、大丈夫か⁉︎」
「ぁぁ、ぅっ……」
一発殴っただけで赤ちゃん産んで死ぬとは思わなかった。
この後どうすればいいのか分からない。
「”ウルトラヒール〟‼︎」
とにかくエルシアを生き返らせないとマズイ。
このままだと成長した俺の子に「ママはお父さんが腹パンで殺したよ」と話さなくてはならない。
それは子供の成長に大変よろしくない。確実にグレてしまう。生涯反抗期確定だ。
「”ウルトラヒール〟‼︎ ——駄目だ‼︎ ピクリとも動かない‼︎」
虫の息じゃなくて、完全に死んでいる。
何度も回復させているのに、シワくちゃのままだ。
こうなったら責任を持って、男手一つで立派な子供に育てるしかない。
それが亡き妻に対する俺の最大の謝罪だ。
「すまない。こんなパパで……」
チンチン丸出しの可愛い赤ん坊に手を伸ばした。
『気安く触るな、豚が』
「す、すみません」
——じゃねえよ。
「しゃ、喋った⁉︎」
右手でパチンと手を払い退けると、赤ん坊が普通に立ち上がった。
『うるさい豚だ。これが俺を復活させたと思うと泣けてくる』
「お、お前、な、何なんだよ⁉︎」
俺の知っている赤ん坊はこんなに早く喋ったり立ち上がれない。
どう見ても異常だ。こんなの俺の子供じゃない。そう思いたい。
『ああ、そうだな。すぐに教えてやる。”ユニオン〟』
「ぐぅぅぅ!」
赤ん坊がリッチロードが使った呪文を唱えると、俺の身体から影が引き摺り出された。
そして、液体のような黒い影を吸収して、赤ん坊の身体が大きくなっていく。
「おいおい、嘘だろ……」
子供の成長は早いと聞くけど、これは早すぎる。
灰色の長い髪、真っ白な肌、尖った耳のママ似の美しい青年になってしまった。
『ふぅー、これで元通りだ。ご苦労だったな、豚野郎。”バインド〟』
「ぐぅっ! う、動けない! ど、どういうつもりだ!」
身体が大人になっても、パパにこんな事して許されるわけがない。
早すぎる反抗期だとしても、パパを拘束するのは絶対に駄目だ。
『どういうつもりだと? 豚に分るように説明しろという事か? 理解したいのならば、次は人間に生まれるように願いながら死ね』
「ぐぅっ!」
酷い酷過ぎる。ママを殺したとしても、我が子にこんな事言われたら、パパだって死にたくなる。
だけど、亡き妻に立派な子供に育てると約束したんだ。死ぬわけにはいかない。
「パ、パパの事を嫌ってもいい。でも、まだ死ねないんだ。お前を立派に育てるまでは」
今は分からなくてもいい。いずれパパの愛情が分かる日が来ると信じている。
『はあ? パパだと。お前は豚以下だな。お前もこの道具もただの養分だ。お前が馬鹿みたいに食べている食事と同じだ』
「……えっ? 俺の子供じゃないのか?」
『当たり前だ。考えるだけでもおぞましい。ここから出たものは俺の身体には一滴も含まれていない』
「うぎゃあああ‼︎」
嫌悪感剥き出しの息子に息子を握り潰された。
反抗期の息子を待つお父さん達は凄すぎる。
回復術も無しにこんな痛みを日々耐えているなんて、普通の精神力じゃ出来ない。
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