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魔王誕生編

娘さんを僕にください

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(魔眼・遅延の両眼、賢者・魔法解析、賢者・魔法開発……)

「『王が命じる、地にひれ伏せ! グランドゼロ‼︎』」
「『吹雪よ、吹き荒れよ! アイシクルジン‼︎』」
「『降り注ぐ雷光! ボルディロート‼︎』」
「『火剣の精よ、貫け! フレンショル‼︎』」

 俺大人気だな。国王を筆頭にエルフ達の総攻撃が始まった。
 こっちは準備万端だ。悪いな、お前達の魔法全て奪わせてもらう。

「ぐぅぅぅ……‼︎」

 地に押し潰す重力、大地から噴き上がる氷の竜巻、天から降り注ぐ雷の雨、高熱の炎の剣の射撃……
 多彩な攻撃魔法に俺の身体が地味に痛がっている。服はとっくに燃え尽きた。
 七大悪魔の隕石岩拳と比べれば、どの攻撃も雑魚だが、針で刺されるような痛みを感じる。

 流石に限界突破無しの身体能力と魔法防壁だけで耐えるのは難しかった。
 最強でも無敵という訳にはいかないらしい。油断大敵ってヤツだな。

(…………終わりか?)

 千発を超える魔法の砲撃が止まった。
 弾切れ、この場合は魔力切れと言った方がいいか。
 それとも弾薬の補充の方がいいだろうか?
 まあ、どっちでもいい。俺の前では全てが無駄弾になる。

「「「きゃああああ⁉︎」」」
「……馬鹿な。何故生きていられる‼︎」
「ひぃっー‼︎ ば、化け物だ‼︎ 奴は正真正銘の化け物だ‼︎」

 立ち込める粉塵を片手で吹き飛ばすと、愚かなエルフ達の前に神々しい一糸纏わぬ姿で現れた。
 女エルフ達は俺の見事な身体に黄色い悲鳴を上げ、国王は目を見開いて驚いている。
 中でも宰相の爺さんは超合格だ。床に尻餅をついて、驚愕の顔で震える指で俺を指差している。
 流石は宰相まで上り詰めた男だ。国賓の扱いを分かっているじゃないか。

「どうした、もう終わりか? だったら次は俺の番だな♪」
「「「ぐっ‼︎」」」

 どうやら打つ手なしのようだ。身体を守るように剣や杖を素早く身構えた。
 では、実験させてもらおうか。嘘吐き町の神に出来るなら、俺にも出来るはずだ。
 これが出来たら完全犯罪ヤり放題だ。気合い入れて行くぜ。

「『時よ戻れリバース』‼︎」
「「「——‼︎」」」

 キメ顔で右手首を反時計回りにクイッと回した。
 その瞬間、世界が真っ白に包まれた。光が消えると……

「な、何だ……今の光は?」
「何も起こってないよな?」

 チッ、失敗した。エルフ達の記憶が攻撃前に戻っていない。
 いや、半分成功か。俺の服と破壊された床が元通りになっている。
 一部の時間が戻っている証拠だ。

 だが、こんな未完成な『コンティニュー』では、男の夢『合法レイプ』は不可能だ。
 全ての女を手当たり次第に抱くという、壮大な願望を叶える事は出来ない。

 やはり力尽くで抱けという事か。何て神は過酷な試練を与えるんだ。
 心と身体を傷つけてまで、俺に女を抱けというのか?
 身体も記憶もレイプ前にどうして戻させてくれないんだ。
 あぁ、神は何て残酷なんだ。

「さて、遊びは終わりだ。姫は貰っていく」
「「「——ッッ‼︎」」」

 まあ、仕方ない。現実的な『違法レイプ』に夢を切り替えるか。
 大人になるには妥協を覚えないといけない。玉座に向かって突撃した。

「お前の好きにさせるか‼︎ 臆するな、敵は一人だ‼︎ おかしな術に惑わされるな‼︎」
「「「うおおおおお‼︎」」」
 
 国王の勇ましい声に従って、遠距離魔法を捨てたエルフ達が向かってきた。
 肉弾戦最強の脳筋に、数だけで勝とうとは魔法と一緒に賢さも捨てたようだ。
 では、教えてやろう。本物の拳というヤツをな……。

「『鳳凰拳ほうおうけん』——炎の拳。火葬されたい奴から来い」
「くっ、くそぉー!」

 ただ両拳に炎を纏っただけだが、カッコイイ名前を付ければ必殺技に変わる。
 炎の両拳にエルフ達が明らかに動揺している。それもそのはずだ。雑魚とは魔力の桁が違う。
 腕力+魔力で殴れば全てが一撃必殺だ。魔力が込められた剣を躱すと、

「フヌッ‼︎」
「ごへええっっ‼︎」

 腹に一発ブチ込んだ。男エルフが壁に吹き飛んで激突した。
 殴られた部分の服は燃えて、焼かれた肉が丸見えだ。

(安心しろ。男の急所は狙わねえからよ♪)

 俺は優しい男だ。男珍宝丸出しの見っともない負け姿にはさせない。
 ただブチのめすだけだ。殴って殴って殴りまくるだけだ。

「シィッ! ハァッ! フウリァッ!」
「「「ぐあああああ‼︎」」」

 姫を連れ去るのを邪魔する敵は僅か二百だ。
 一人殴り飛ばせば、巻き添えに五、六人倒せる。
 壁にぶつけるよりは、人にぶつける方が効率的だ。

 けれども、殴るだけでは芸がない。
 分厚い人壁を殴り壊すよりは、跳び越えた方が楽だ。
 四人殴り飛ばして、前方に道を作ると、軽く助走をつけて跳んだ。

『がぁっ⁉︎』と上を見上げてエルフ達が驚いている。
 魔法と弓矢が飛んできたが、俺の後ろを通過するだけだ。
 当たったとしても、ダメージはほぼゼロだ。
 何の問題もなく目的地の玉座の階段に着地した。

「やあ、お父さん♪ 娘さんを僕にください」
「なっ⁉︎ 巫山戯るなぁー‼︎」

 男が言ってみたい台詞だが、やはりお父さんが激怒した。
 豪華な杖を俺の頭に振り回してきた。どうやら大反対らしい。
 やはり計画通りに駆け落ちするしかない。
 プラトニック・ラブ——二人の純愛は誰にも止められないってね♪

「フゥッ、オラッ‼︎」

 杖をしゃがんで避けると、お父さんの顎下に右拳を振り上げた。

「ごぶうぅ‼︎」

 お父さんが宙に舞い上がり、玉座に向かって飛んでいく。
 狙い澄ました、計算された一撃が国王を玉座に沈めた。
 ガクリと着席したお父さんが項垂れて、杖を床に落とした。

「ありがとうございます、お父さん」
「……」

 何も言わないが、確かに頷いた。王女を貰って行っていいらしい。
 俺の熱い想いが脳髄まで伝わったようだ。
 
「貴様、よく——」
「きゃああああ‼︎」
「動くんじゃねえ‼︎ 王女ブッ殺すぞ‼︎」
「「「——ッッ‼︎」」」

 王女の細い首に左腕を回すと、近づこうとしたエルフ達に素早く言った。
 誰にも邪魔させない。それがプラトニック・ラブだ。

「姫は預かった。無事に返して欲しいなら、そこの三人と爺さん、あんたが俺の城まで迎えに来い」
「な、何故、私が……」

 右手で倒れている剣聖と賢者、立ち竦んでいる聖女、そして、座り込んでいる宰相の爺さんを指差した。
 決まっているだろ。その方が面白いからだよ♪ 何処にもない俺の城を頑張って探す旅だ。
 その間にたっぷりと王女を可愛がってやる。さーて、異世界新婚旅行に行くぞ。

『創造主・異世界旅行』——発動。足元に金の魔法陣が出現した。
 一瞬で移動する魔法じゃなくて、数秒はかかるようだ。
 まあ、そのぐらいは待ってやる。新婚旅行先は誰も助けに来ない女神様の荒野だ。
 王女と女神和香梅の3P開始だな♡

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