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続・魔界王立幼稚園ひまわり組
54:大人にもご褒美
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広場中央に並び終えた参加者と子ども達。はじめはざわざわしていたが、メイア先生の小さな姿が壇上に上がるとしんと静まり返った。子ども達まで静かにしてる。
「集計結果を発表します」
静かなた会場にメイア先生の声が響く。体は小さいのによく通る声なので拡声草もいらないね。
「勝者は……赤組!」
一転してわーっと大きな歓声があがった。
「やったー! 勝ったねさっちゃん!」
「はいっ! 嬉しいですっ、ココナさん!」
私は思わず横にいたさっちゃんと抱き合ってしまったが、しまった。またしてもお邪魔虫になってしまったんじゃないかと一瞬で気がついて魔王様の方を見たら、魔王様は無表情のまま一人でガッツポーズしてました。
「おほほほ、リレーが同着でしたので、わずかの差で赤でしたわ。綱引きと、リレーと同じく倍の点数の入る騎馬戦での勝ちが大きかったようですわね、ほほほ」
「わはははは~、園児の部は引き分けだったしな~わはは」
解説ありがとうヴェレットちゃんと後半出番のなかったジラソレ。
いくら結婚式の一環とはいえ、やらせなしの真剣勝負なのでどっちが勝ちでも良かったのだけど、結果的に新郎新婦のいる赤組の勝利ということで大変おめでたく終われて良かった。あ、私も赤組なので地味に嬉しいですよ。
「良かったですね、魔王様」
「やっと……三年ぶりにウリエノイルの組に勝ったぞ」
魔王様、やはり一番嬉しいのはそこだったんですか。幼馴染に負け続けてましたもんね、ここ数年。ホント第一回からずっと運動会の趣旨間違えてますよね。
一方、負けた白組もそう落胆した様子も無く、拍手で赤組の勝利を祝ってくれた……約一名を除いて。
「ふん、今年だけですよ、今年だけ。ええ、ご結婚のお祝いということで」
どこまでも負けず嫌いなウリエノイル宰相閣下でございました。
「ほほほほ、ではもうすぐ陽も沈みそうですし、最後に閉会の挨拶で運動会を終了いたしましょう。おほほほ」
やや元気の無くなってきたヴェレットの声。ホントだ、いつの間にかかなり日が暮れてしまった。そういえば夜は活動停止しちゃうのよね、植物魔人達。早く畑にもどしてやらないと。
でもプログラムにも書いてなかったし、閉会の挨拶って誰がするのか聞いてなかったな。午前の閉会の挨拶は私だったし、魔王様は午前の開会、午後の開会はウリちゃんだったし……。
「閉会の挨拶ってユーリちゃん?」
「え? 僕も聞いてませんよ。もう一度父上ではないのですか?」
「私も聞いておらん」
ユーリちゃんでも、もう一度魔王様でも無いんだ。え、じゃあ誰?
「まさか、さっちゃん?」
「ち、違いますっ、むむむ、無理です私には」
うん、そうだよね。超あがり症だし、なんかもう話振っただけでロボットモードになっちゃってる彼女には気の毒すぎて誰も頼まないだろう。
あ、そういえばさっきまで横にいたマーム先生がいない。そっか、マーム先生だったら無難に終わるよね。でも他の補助職員もエイジ君もいないのだけど?
「おや? リノちゃんは?」
ウリちゃんがきょろきょろと自分の足元を見ながら声を上げた。ウリちゃんの足にぶら下がってたリノちゃんがいつの間にかいなくなってる。
「そういえばペルも……」
さっちゃんもだ。それ以外にも保護者の方々もキョロキョロしてる。
それぞれの親の横にいた子ども達がいない。ひまわり組の年少さんだけだけど。
まさか……。
「うふふ、ほら、閉会の挨拶がはじまりまるわよ」
メルヒノア様が笑ってる。お姉さまは知ってらしたみたいだ。
壇上に上がりきれないからか、私とウリちゃんを除く職員と一緒にずらりと並んだひまわり組の子ども達に、メイア先生が拡声草を手渡した。小さすぎて、たぶん後ろのほうに並んでる人には見えないだろうな。
「みなさま、うんどーかい、ごくろうさまでした」
この落ち着いた声はひまわり組で一番しっかり者のラミアのえりちゃんとスケルトンのルナちゃん。
「パパやママ、まおーさま、えらい人達といっちょ、うんどーかいできて」
犬獣人のいく君、蔦魔族のボウちゃん、蜘蛛のミカちゃん。
「たのちかったれす!!」
耳がきーんってなっちゃうほど元気な声はさんちゃん、ガルダのジル君、サテュロスのカンちゃんのやんちゃさん達。
「いっぱいいっぱい思い出ができたよ」
河童のきゅうちゃんと吸血鬼のジュン君。
「おきゃくたんもおーえんありがとです」
控えめな声は沼魔族のポメちゃんと花魔族のちぃちゃん。
「かってーもー、まーけーてーもーがんばったーのでー」
ゆっくりなのは猫又のとめさんと岩魔族のモコちゃん。
「みんにゃ、みんにゃ、いっとーちょーれしゅ!」
一際滑舌が悪いのはやっぱりリノちゃんと狼族のきぃちゃん。みんな一等賞って言いたかったんだろうけどね。
「これで運動会を終わります! ありがとうございました」
綺麗な締めはペルちゃんでした。
競技中よりも大きな歓声と拍手が上がったのではないだろうかと思うほどの声と拍手が沸き起こる。そして開始の時同様、少し暮れかけた空にパーンと花火が上がる。
最後までなんというサプライズなんでしょうか。ってか、なんで私達にも内緒だったんですか他の先生達も子ども達も! 年長さんでなくてひまわり組にやらせたというのはきっとペルちゃんがいるからだろうが、それでもっ! ひまわり組の担任、私ですよ! いつの間にこんな練習してたの?
「うっうっ……なんて、なんてっ! しっかりおしゃべり出来るの! ああ、もう帰りたくないくらい可愛いっ!」
あ、ザラキエルノ様がビカビカ光りながらまた滝のような血の涙を降らせておいでだ。白い体操服が恐ろしいことになってるので、魔族ですら怯えてますよ。
「わはははは~では解散~!」
早く畑に帰りたいジラソレが拍手に負けない声を上げたが、まだ終わらせてはもれなかった。
「リノたち、きんぴかもらったぉ? おとにゃにはにゃいにょ?」
なぜか拡声草を持った娘が、一言。
「大人の分は金メダルを用意してなかったね」
エイジ君が困ってる。いらないよね普通は……。
パパそっくりの腕組みの格好で、リノちゃんがなにやら考えている。そして一緒にいたひまわり組のみんなに手招きしてなにやら話し始めた。
「ろうれちょうか?」
「いいねぇ」
「うんうん、いいにょ!」
「でぇ、まおーたまは……」
まだ三歳なのにとんでもない事をぱっと思いついちゃうのがパパそっくりで、時々我が娘ながら末恐ろしく思う所があるが、話はまとまったようだ。
慌てて駆け寄ると、にまーっと笑っているリノちゃんとペルちゃんはじめひまわり組面々。正直あまりいい予感はしないが幼稚園の今年の目標に『自主性』を謳っている以上、子ども達が率先して考えたのを止めるのも憚られる。
再び拡声草を手にしたリノちゃんが高らかに皆の前で宣言した。
「おとにゃもがんばっちゃにょに、ぴかぴかにゃいのれ、ちあうごほーびかんがえちぇみましたぉ」
あまりに滑舌が悪すぎて、たぶん私達幼稚園関係者くらいにしか通じてないだろうな。これは通訳が必要だな。
「大人も頑張ったのに金メダルが無いから違うご褒美を考えてみた……そう申しておるようです」
代わりにもう一度言うと、おおーっと声が上がった。
「で、ご褒美ってなに?」
「よーちえんのみんなれ、おとにゃ、ほっぺにちゅーちてあげゆですぉ!」
えっ? キスですか! それは微笑ましくていいかもしれないね。
というわけで、年長さん、年中さんも招集されて運動会の参加者にキッス。お父さんお母さんはともかく、王族や貴族の皆さまは可愛いご褒美にご満悦です。
ウリちゃん、娘にキスされてなんでそんなに感動してんでしょうか。最近はキスしに行っても逃げられてるからかな。
両方からバラ組さんの綺麗どころ(四・五歳児)にキスされて目尻が下がっちゃってる元勇者マファル国王キール様も、早く自分のお子さん作ってくださいね。
そんな様子を見てたら、ペルちゃんがザラキエルノ様と難しい顔のゾフィエお兄ちゃんに近づいて行った。
「ボ、ボクにも?」
「うん。だっておじさんもがんばったもの。パン競争一等賞すごかったよ」
にっこりと本物の天使よりも余程天使らしい甥っ子に可愛いお顔で微笑まれて、ムチムチお兄ちゃんもやや表情が緩んだね。
「あ、待ってペルちゃん。いくらバッヂがあっても流石に直接は……」
他の子に比べて半分は完全に堕天する前のさっちゃんの血が入っているので、ペルちゃんは神力に耐性があるみたいだし防御に昨日はばっちりおでこにちゅってしておいた。今日は体操服や鉢巻も神力を遮断してはいる。それでも魔王様ですら側にいるとキツイと仰っていた純粋な天界の高位天使の肌に、まだ小さなペルちゃんが触れるのはマズイだろう。
そんなわけで、ちっちゃな王子様の可愛い口唇に直接キッス。相手が娘と同じ三歳児なんで恥ずかしくも無いです。ペルちゃんもママとよくキスしてるし慣れたもので別段気にした様子もない。
「これで大丈夫だと思うよ」
「うん」
しゃがんでと言われて身を低くしたゾフィエ様の頬にペルちゃんが口唇を寄せると、ピンクの光が眩くはじけた。
おお、流石に直接触れるといかに防御のお守りでも一度でヤバそうだな。私も前にザラキエルノ様に腕を掴まれて倒れそうになったもんな。
まあいいや。ペルちゃんも無事だしお兄ちゃんも超嬉しそう。
「お、おばあちゃんにもいいかしら?」
「もちろんだよ!」
というわけで念のためもう一回ペルちゃんと私がちゅうしてからというワンクッション置いてのおばあちゃんへのご褒美のキス。
「こ、ココナ……さん?」
あれ? なんでゾフィエお兄ちゃんはそのタイミングで真っ赤になってるんだろうか? まあいいけど。
しゃがまれたザラキエルノ様の頬にペルちゃんが顔を寄せ、ピンクのシールドがはじけた。
可愛い可愛い孫にキスされて、またも感涙のばぁば。抱きしめそうな勢いだったのでヒヤヒヤしたが、流石にそれは踏みとどまれた。孫を抱きしめることもできない、辛いですねザラキエルノ様。
「もう会うことはないかもしれない。でも最高のご褒美をもらって、とてもいい思い出ができたわ、ペルちゃん」
「もう会えないの? どうして?」
ザラキエルノ様はお答えにならなかった。代わりに少しペルちゃんから離れてひらりと手を翻されると、体操服姿から元の青いドレス姿に変わった。ゾフィエお兄ちゃんもだ。
「それでは私達はそろそろ天界へ戻ります」
魔王様とさっちゃんも慌てて駆け寄ってきた。
「え? お母様、もうお帰りになってしまわれるのですか? 披露宴にはお出になってはくださいませんの?」
「私達はそう長くここにいることは出来ません。世の均衡を乱してしまいます。この度は創造主よりお許しをいただけましたが、もう二度とこちらへ来ることは無いでしょう」
「そんな……」
「お迎えが来ましたわ」
空を仰がれたザラキエルノ様の視線に合わせて見上げると、気がつけば濃い紫に暮れた空にあの巨大な目が現れ、微笑むように見下ろしていた。さっちゃんのお父さん。
「魔王、サリエちゃんを泣かせたら承知しないぞ」
お兄ちゃんは最後まで強気ですね。でも前より口調は柔らかい感じだった。
「泣かせることなど無い。必ず誰よりも幸せにしてみせる」
魔王様が力強く言われた。きゃー! それ最高のお言葉でございますよ! 固唾を呑んで見守っていた観衆からも、おおっ、とどよめきがあがった。主に女性たちから。言われてみたいよね、こういうの!
六枚と四枚の美しい白い羽根が広がり、すうっとザラキエルノ様の美しい姿とまん丸の卵みたいな体が宙に浮いた。
「私達はいつでも天の窓からペルちゃんを、サリエちゃんを、魔王様を、この魔界の子ども達を見守っています。どうかみんないつも笑顔で幸せに……」
眩い白い光に包まれて、二人が少しづつ遠ざかってゆく。
「ばいばい! おばあちゃん、おじさん!」
一生懸命空に向かって手を振るペルちゃんに合わせて、皆も一斉に手を振った。
「ありがとうございました……」
「どうかお元気で」
深く深く頭を下げられた魔王様とさっちゃんの姿に思わずもらい泣きしそうになっちゃいました。
「思ったよりいい所でよかったわ、魔界。どうしても裁きを下して堕天させなきゃいけない時があっても安心して執務ができますわ」
「ボクも帰ったらココナさんみたいなお嫁さんをもらう。早く子供がほしい」
「まあ、よい心がけですわ、ゾフィエさん」
……あのぅ……この地獄耳に聞こえちゃった最後のお二人の雑談部分は聞かなかった事にしておきますね。
キラリと光る星のように天使達は空に消えていった。
最後に。
「私には誰もご褒美をくれなかった……」
魔王様が小さく呟かれた。
「まおーたまは、おきしゃきしゃまとちゅーしゅるんれしゅ! ほら、あやく!」
リノちゃんに言われて、真っ赤になった新郎新婦はわぁわぁ歓声の上がる中、ぎこちなーくキスされました。
かくして運動会は全日程終了し、天界からの新婦側の客人は披露宴を待たず遠い世界にお帰りになった。
お疲れの園児と保護者はルウラで、街からの観客の多くも臨時の公共飛竜で下山して行き、お城も随分と静かになった。
何より天界からのお客さん方が帰られたので、少しは気が抜けるのがありがたい。寂しくはなったが、いくら神力をやや遮断してるとはいえ、やはり近づくと疲れるし、たぶん彼等も魔力に当たってきつかっただろう。
正直今すぐにでも自分の部屋に帰って、リノちゃんやウリちゃんと家族だけでまたり休みたいところだが……。
三日間の全日程に参列する国賓級の方々は明日の披露宴に備えて今晩もお泊りなので、夜は簡単な晩餐会が開かれることになっている。一応仲人的立場になっている私とウリちゃんは勿論参加しないといけないわけで。
晩餐会を待たずにおねむになっちゃったリノちゃんとペルちゃんを猫耳執事さんに預けて着替えに戻る途中。
「明日は幼稚園はお休みだけど……大変だね」
「そうですね」
あれ?
やっと二人きりになったのだが、ウリちゃんが酷くそっけない。なんなんだろうね、この距離感。
「ウリちゃん、なんか怒ってる?」
「いえ、怒ってなどおりませんけど」
うそ。ぷいって横向くなんて、絶対怒ってるもん。いつもしれっと毒吐くくせに、リアクションがわかりやすすぎるのよね、この人は。
何か気に触ることでもあったのだろうか。思い当たることと言えば……。
「まさか……ペルちゃんの口唇にキスしたから? ひょとしてヤキモチ妬いたとか? 男の子だけどリノちゃんと同じ三歳だよ? ユーリちゃんが小さい時だって普通にしてたよ」
いくら嫉妬深い旦那様でもまさかなぁ。いや、そのまさかだったらちょっと引いちゃうよ?
「そこではございません。流石にわたくしも幼子に嫉妬するほど肝が小さくはないですよ。その後ペルルリル君が誰に口づけしましたか? 間接的にとはいえ、あのブクブク天使にですよ! そしてその後ザラキエルノ様に口づけする前にもう一度しましたよね? しかも彼も赤くなったりして。あれはわかって照れてたんですよ。そしてその後の言葉。ああもう腹が立つと言ったら!」
「間接キス……」
うああああぁ。そうかー! 結果的に私はさっちゃんのお兄ちゃんにちゅうしたことになるのか! うっ、見た目幼児と変わらないにしてもウリちゃんや魔王様より年上の独身男に……しかもちょっと前に魔界をエライことにしちゃった人に……いや人じゃないけど。
「ま、まあ。直接キスしたわけじゃないし。事故みたいなものだし。ご機嫌直してよ。じゃあね……」
はい、誰も見てないのでウリちゃんにちゅってしてあげました。
「間接的じゃなくて旦那様には直にいつでもできるじゃん」
「こ、今回は許してあげます」
あっさりご機嫌がなおったウリちゃんでした。全くひまわり組のちっちゃい子達とかわらないお子様っぷりだよ。子供のパパで百三十歳過ぎてるくせに。でもそこがいいところなんだけどね~。
「あ」
チョット待て。私部屋にもまだ帰ってないので、勿論まだうがいも洗顔もしてないのだが。間接キスで怒ってた旦那には内緒にしておこう。
結果的にウリちゃんもぷくぷくお兄ちゃんと間接キスしたことになるのを。
「集計結果を発表します」
静かなた会場にメイア先生の声が響く。体は小さいのによく通る声なので拡声草もいらないね。
「勝者は……赤組!」
一転してわーっと大きな歓声があがった。
「やったー! 勝ったねさっちゃん!」
「はいっ! 嬉しいですっ、ココナさん!」
私は思わず横にいたさっちゃんと抱き合ってしまったが、しまった。またしてもお邪魔虫になってしまったんじゃないかと一瞬で気がついて魔王様の方を見たら、魔王様は無表情のまま一人でガッツポーズしてました。
「おほほほ、リレーが同着でしたので、わずかの差で赤でしたわ。綱引きと、リレーと同じく倍の点数の入る騎馬戦での勝ちが大きかったようですわね、ほほほ」
「わはははは~、園児の部は引き分けだったしな~わはは」
解説ありがとうヴェレットちゃんと後半出番のなかったジラソレ。
いくら結婚式の一環とはいえ、やらせなしの真剣勝負なのでどっちが勝ちでも良かったのだけど、結果的に新郎新婦のいる赤組の勝利ということで大変おめでたく終われて良かった。あ、私も赤組なので地味に嬉しいですよ。
「良かったですね、魔王様」
「やっと……三年ぶりにウリエノイルの組に勝ったぞ」
魔王様、やはり一番嬉しいのはそこだったんですか。幼馴染に負け続けてましたもんね、ここ数年。ホント第一回からずっと運動会の趣旨間違えてますよね。
一方、負けた白組もそう落胆した様子も無く、拍手で赤組の勝利を祝ってくれた……約一名を除いて。
「ふん、今年だけですよ、今年だけ。ええ、ご結婚のお祝いということで」
どこまでも負けず嫌いなウリエノイル宰相閣下でございました。
「ほほほほ、ではもうすぐ陽も沈みそうですし、最後に閉会の挨拶で運動会を終了いたしましょう。おほほほ」
やや元気の無くなってきたヴェレットの声。ホントだ、いつの間にかかなり日が暮れてしまった。そういえば夜は活動停止しちゃうのよね、植物魔人達。早く畑にもどしてやらないと。
でもプログラムにも書いてなかったし、閉会の挨拶って誰がするのか聞いてなかったな。午前の閉会の挨拶は私だったし、魔王様は午前の開会、午後の開会はウリちゃんだったし……。
「閉会の挨拶ってユーリちゃん?」
「え? 僕も聞いてませんよ。もう一度父上ではないのですか?」
「私も聞いておらん」
ユーリちゃんでも、もう一度魔王様でも無いんだ。え、じゃあ誰?
「まさか、さっちゃん?」
「ち、違いますっ、むむむ、無理です私には」
うん、そうだよね。超あがり症だし、なんかもう話振っただけでロボットモードになっちゃってる彼女には気の毒すぎて誰も頼まないだろう。
あ、そういえばさっきまで横にいたマーム先生がいない。そっか、マーム先生だったら無難に終わるよね。でも他の補助職員もエイジ君もいないのだけど?
「おや? リノちゃんは?」
ウリちゃんがきょろきょろと自分の足元を見ながら声を上げた。ウリちゃんの足にぶら下がってたリノちゃんがいつの間にかいなくなってる。
「そういえばペルも……」
さっちゃんもだ。それ以外にも保護者の方々もキョロキョロしてる。
それぞれの親の横にいた子ども達がいない。ひまわり組の年少さんだけだけど。
まさか……。
「うふふ、ほら、閉会の挨拶がはじまりまるわよ」
メルヒノア様が笑ってる。お姉さまは知ってらしたみたいだ。
壇上に上がりきれないからか、私とウリちゃんを除く職員と一緒にずらりと並んだひまわり組の子ども達に、メイア先生が拡声草を手渡した。小さすぎて、たぶん後ろのほうに並んでる人には見えないだろうな。
「みなさま、うんどーかい、ごくろうさまでした」
この落ち着いた声はひまわり組で一番しっかり者のラミアのえりちゃんとスケルトンのルナちゃん。
「パパやママ、まおーさま、えらい人達といっちょ、うんどーかいできて」
犬獣人のいく君、蔦魔族のボウちゃん、蜘蛛のミカちゃん。
「たのちかったれす!!」
耳がきーんってなっちゃうほど元気な声はさんちゃん、ガルダのジル君、サテュロスのカンちゃんのやんちゃさん達。
「いっぱいいっぱい思い出ができたよ」
河童のきゅうちゃんと吸血鬼のジュン君。
「おきゃくたんもおーえんありがとです」
控えめな声は沼魔族のポメちゃんと花魔族のちぃちゃん。
「かってーもー、まーけーてーもーがんばったーのでー」
ゆっくりなのは猫又のとめさんと岩魔族のモコちゃん。
「みんにゃ、みんにゃ、いっとーちょーれしゅ!」
一際滑舌が悪いのはやっぱりリノちゃんと狼族のきぃちゃん。みんな一等賞って言いたかったんだろうけどね。
「これで運動会を終わります! ありがとうございました」
綺麗な締めはペルちゃんでした。
競技中よりも大きな歓声と拍手が上がったのではないだろうかと思うほどの声と拍手が沸き起こる。そして開始の時同様、少し暮れかけた空にパーンと花火が上がる。
最後までなんというサプライズなんでしょうか。ってか、なんで私達にも内緒だったんですか他の先生達も子ども達も! 年長さんでなくてひまわり組にやらせたというのはきっとペルちゃんがいるからだろうが、それでもっ! ひまわり組の担任、私ですよ! いつの間にこんな練習してたの?
「うっうっ……なんて、なんてっ! しっかりおしゃべり出来るの! ああ、もう帰りたくないくらい可愛いっ!」
あ、ザラキエルノ様がビカビカ光りながらまた滝のような血の涙を降らせておいでだ。白い体操服が恐ろしいことになってるので、魔族ですら怯えてますよ。
「わはははは~では解散~!」
早く畑に帰りたいジラソレが拍手に負けない声を上げたが、まだ終わらせてはもれなかった。
「リノたち、きんぴかもらったぉ? おとにゃにはにゃいにょ?」
なぜか拡声草を持った娘が、一言。
「大人の分は金メダルを用意してなかったね」
エイジ君が困ってる。いらないよね普通は……。
パパそっくりの腕組みの格好で、リノちゃんがなにやら考えている。そして一緒にいたひまわり組のみんなに手招きしてなにやら話し始めた。
「ろうれちょうか?」
「いいねぇ」
「うんうん、いいにょ!」
「でぇ、まおーたまは……」
まだ三歳なのにとんでもない事をぱっと思いついちゃうのがパパそっくりで、時々我が娘ながら末恐ろしく思う所があるが、話はまとまったようだ。
慌てて駆け寄ると、にまーっと笑っているリノちゃんとペルちゃんはじめひまわり組面々。正直あまりいい予感はしないが幼稚園の今年の目標に『自主性』を謳っている以上、子ども達が率先して考えたのを止めるのも憚られる。
再び拡声草を手にしたリノちゃんが高らかに皆の前で宣言した。
「おとにゃもがんばっちゃにょに、ぴかぴかにゃいのれ、ちあうごほーびかんがえちぇみましたぉ」
あまりに滑舌が悪すぎて、たぶん私達幼稚園関係者くらいにしか通じてないだろうな。これは通訳が必要だな。
「大人も頑張ったのに金メダルが無いから違うご褒美を考えてみた……そう申しておるようです」
代わりにもう一度言うと、おおーっと声が上がった。
「で、ご褒美ってなに?」
「よーちえんのみんなれ、おとにゃ、ほっぺにちゅーちてあげゆですぉ!」
えっ? キスですか! それは微笑ましくていいかもしれないね。
というわけで、年長さん、年中さんも招集されて運動会の参加者にキッス。お父さんお母さんはともかく、王族や貴族の皆さまは可愛いご褒美にご満悦です。
ウリちゃん、娘にキスされてなんでそんなに感動してんでしょうか。最近はキスしに行っても逃げられてるからかな。
両方からバラ組さんの綺麗どころ(四・五歳児)にキスされて目尻が下がっちゃってる元勇者マファル国王キール様も、早く自分のお子さん作ってくださいね。
そんな様子を見てたら、ペルちゃんがザラキエルノ様と難しい顔のゾフィエお兄ちゃんに近づいて行った。
「ボ、ボクにも?」
「うん。だっておじさんもがんばったもの。パン競争一等賞すごかったよ」
にっこりと本物の天使よりも余程天使らしい甥っ子に可愛いお顔で微笑まれて、ムチムチお兄ちゃんもやや表情が緩んだね。
「あ、待ってペルちゃん。いくらバッヂがあっても流石に直接は……」
他の子に比べて半分は完全に堕天する前のさっちゃんの血が入っているので、ペルちゃんは神力に耐性があるみたいだし防御に昨日はばっちりおでこにちゅってしておいた。今日は体操服や鉢巻も神力を遮断してはいる。それでも魔王様ですら側にいるとキツイと仰っていた純粋な天界の高位天使の肌に、まだ小さなペルちゃんが触れるのはマズイだろう。
そんなわけで、ちっちゃな王子様の可愛い口唇に直接キッス。相手が娘と同じ三歳児なんで恥ずかしくも無いです。ペルちゃんもママとよくキスしてるし慣れたもので別段気にした様子もない。
「これで大丈夫だと思うよ」
「うん」
しゃがんでと言われて身を低くしたゾフィエ様の頬にペルちゃんが口唇を寄せると、ピンクの光が眩くはじけた。
おお、流石に直接触れるといかに防御のお守りでも一度でヤバそうだな。私も前にザラキエルノ様に腕を掴まれて倒れそうになったもんな。
まあいいや。ペルちゃんも無事だしお兄ちゃんも超嬉しそう。
「お、おばあちゃんにもいいかしら?」
「もちろんだよ!」
というわけで念のためもう一回ペルちゃんと私がちゅうしてからというワンクッション置いてのおばあちゃんへのご褒美のキス。
「こ、ココナ……さん?」
あれ? なんでゾフィエお兄ちゃんはそのタイミングで真っ赤になってるんだろうか? まあいいけど。
しゃがまれたザラキエルノ様の頬にペルちゃんが顔を寄せ、ピンクのシールドがはじけた。
可愛い可愛い孫にキスされて、またも感涙のばぁば。抱きしめそうな勢いだったのでヒヤヒヤしたが、流石にそれは踏みとどまれた。孫を抱きしめることもできない、辛いですねザラキエルノ様。
「もう会うことはないかもしれない。でも最高のご褒美をもらって、とてもいい思い出ができたわ、ペルちゃん」
「もう会えないの? どうして?」
ザラキエルノ様はお答えにならなかった。代わりに少しペルちゃんから離れてひらりと手を翻されると、体操服姿から元の青いドレス姿に変わった。ゾフィエお兄ちゃんもだ。
「それでは私達はそろそろ天界へ戻ります」
魔王様とさっちゃんも慌てて駆け寄ってきた。
「え? お母様、もうお帰りになってしまわれるのですか? 披露宴にはお出になってはくださいませんの?」
「私達はそう長くここにいることは出来ません。世の均衡を乱してしまいます。この度は創造主よりお許しをいただけましたが、もう二度とこちらへ来ることは無いでしょう」
「そんな……」
「お迎えが来ましたわ」
空を仰がれたザラキエルノ様の視線に合わせて見上げると、気がつけば濃い紫に暮れた空にあの巨大な目が現れ、微笑むように見下ろしていた。さっちゃんのお父さん。
「魔王、サリエちゃんを泣かせたら承知しないぞ」
お兄ちゃんは最後まで強気ですね。でも前より口調は柔らかい感じだった。
「泣かせることなど無い。必ず誰よりも幸せにしてみせる」
魔王様が力強く言われた。きゃー! それ最高のお言葉でございますよ! 固唾を呑んで見守っていた観衆からも、おおっ、とどよめきがあがった。主に女性たちから。言われてみたいよね、こういうの!
六枚と四枚の美しい白い羽根が広がり、すうっとザラキエルノ様の美しい姿とまん丸の卵みたいな体が宙に浮いた。
「私達はいつでも天の窓からペルちゃんを、サリエちゃんを、魔王様を、この魔界の子ども達を見守っています。どうかみんないつも笑顔で幸せに……」
眩い白い光に包まれて、二人が少しづつ遠ざかってゆく。
「ばいばい! おばあちゃん、おじさん!」
一生懸命空に向かって手を振るペルちゃんに合わせて、皆も一斉に手を振った。
「ありがとうございました……」
「どうかお元気で」
深く深く頭を下げられた魔王様とさっちゃんの姿に思わずもらい泣きしそうになっちゃいました。
「思ったよりいい所でよかったわ、魔界。どうしても裁きを下して堕天させなきゃいけない時があっても安心して執務ができますわ」
「ボクも帰ったらココナさんみたいなお嫁さんをもらう。早く子供がほしい」
「まあ、よい心がけですわ、ゾフィエさん」
……あのぅ……この地獄耳に聞こえちゃった最後のお二人の雑談部分は聞かなかった事にしておきますね。
キラリと光る星のように天使達は空に消えていった。
最後に。
「私には誰もご褒美をくれなかった……」
魔王様が小さく呟かれた。
「まおーたまは、おきしゃきしゃまとちゅーしゅるんれしゅ! ほら、あやく!」
リノちゃんに言われて、真っ赤になった新郎新婦はわぁわぁ歓声の上がる中、ぎこちなーくキスされました。
かくして運動会は全日程終了し、天界からの新婦側の客人は披露宴を待たず遠い世界にお帰りになった。
お疲れの園児と保護者はルウラで、街からの観客の多くも臨時の公共飛竜で下山して行き、お城も随分と静かになった。
何より天界からのお客さん方が帰られたので、少しは気が抜けるのがありがたい。寂しくはなったが、いくら神力をやや遮断してるとはいえ、やはり近づくと疲れるし、たぶん彼等も魔力に当たってきつかっただろう。
正直今すぐにでも自分の部屋に帰って、リノちゃんやウリちゃんと家族だけでまたり休みたいところだが……。
三日間の全日程に参列する国賓級の方々は明日の披露宴に備えて今晩もお泊りなので、夜は簡単な晩餐会が開かれることになっている。一応仲人的立場になっている私とウリちゃんは勿論参加しないといけないわけで。
晩餐会を待たずにおねむになっちゃったリノちゃんとペルちゃんを猫耳執事さんに預けて着替えに戻る途中。
「明日は幼稚園はお休みだけど……大変だね」
「そうですね」
あれ?
やっと二人きりになったのだが、ウリちゃんが酷くそっけない。なんなんだろうね、この距離感。
「ウリちゃん、なんか怒ってる?」
「いえ、怒ってなどおりませんけど」
うそ。ぷいって横向くなんて、絶対怒ってるもん。いつもしれっと毒吐くくせに、リアクションがわかりやすすぎるのよね、この人は。
何か気に触ることでもあったのだろうか。思い当たることと言えば……。
「まさか……ペルちゃんの口唇にキスしたから? ひょとしてヤキモチ妬いたとか? 男の子だけどリノちゃんと同じ三歳だよ? ユーリちゃんが小さい時だって普通にしてたよ」
いくら嫉妬深い旦那様でもまさかなぁ。いや、そのまさかだったらちょっと引いちゃうよ?
「そこではございません。流石にわたくしも幼子に嫉妬するほど肝が小さくはないですよ。その後ペルルリル君が誰に口づけしましたか? 間接的にとはいえ、あのブクブク天使にですよ! そしてその後ザラキエルノ様に口づけする前にもう一度しましたよね? しかも彼も赤くなったりして。あれはわかって照れてたんですよ。そしてその後の言葉。ああもう腹が立つと言ったら!」
「間接キス……」
うああああぁ。そうかー! 結果的に私はさっちゃんのお兄ちゃんにちゅうしたことになるのか! うっ、見た目幼児と変わらないにしてもウリちゃんや魔王様より年上の独身男に……しかもちょっと前に魔界をエライことにしちゃった人に……いや人じゃないけど。
「ま、まあ。直接キスしたわけじゃないし。事故みたいなものだし。ご機嫌直してよ。じゃあね……」
はい、誰も見てないのでウリちゃんにちゅってしてあげました。
「間接的じゃなくて旦那様には直にいつでもできるじゃん」
「こ、今回は許してあげます」
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