スライムの、のんびり冒険者生活

南柱骨太

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第1章「転生しました!」

第08話「スライム冒険者になる?」

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 エルゲの街。
 この大陸の中央に位置するトール王国の東端に位置する街で、『大森林』に面しており、魔物狩りの冒険者が数多く集まっている。
 また大森林を隔てた東のアウストス王国からの街道が北から、南へはサンタホヘ地方に向かう街道が通っており、西へ中央都市街町への街道も合わせて3つの街道の中継地点として賑わっている通商街でもある。
 冒険者を含めた住民は5万人程度。トール王国では第3の都市と呼ばれる程の規模である。
 街全体を高い城壁で囲い、街中に魔物や野生生物が入り込まないようにされていた。
 街の外は広大な農地や牧場になっていて、食糧事情も悪くないそうである。
 そんな事を農地を歩きながら彼は聞いた。

「あっ、入壁の時に名前と入壁税が必要なんだけど、どうする?」
「名前は‥‥シンジで良いや」
「それ、前の名前?」
「そう。お金はオークやゴブリンが溜め込んでたのがいくらか」
「どれくらいあるの?」
「金貨が200枚くらいかな?」
「‥‥当面の資金は問題なさそうだな」
「微妙に貨幣価値がよくわかってないんだけど‥‥どうしよう?」
「あー、オーリィはお金の計算とか苦手だったから」
「あ、それじゃ文字は‥‥書ける?」
「たぶん、無理っぽい」

 オーリィはどんな奴だったんだ、とシンジは苦笑する。

「剣で突っ込むしか能の無いバカ」
 そう評するのはチームの盾役、ジミー16歳。
 金属で補強された皮鎧を着込んだ少年で、大きな木盾とショートソードを装備している。頭だけは金属製のヘルメットだ。
 盾役らしく固そうだ。性格も固いというか生真面目らしい。

「おつりをもらう意識の無いバカ」
 そう容赦のない発言をするのは、弓役のサニア15歳。
 防具こそ皮革製の胸当てや腕当て、すね当てなどの最低限度だけど、弓だけはしっかりとした中弓を持っている。母親の形見なのだそうだ。
 冷静沈着でクールなイメージの女の子。

「でも他人に気を遣う優しいところはあったよ? よく空回ってはいたけど‥‥」
 本当に恋人だったのか疑わしいのが、魔法使い役のルイーザ15歳。
 サニアと同じような防具を着け、赤い魔石の付いた魔法の杖マギスタッフを持っている。サブだろう短剣を腰に2本差していた。
 だいぶ落ち着いたのか、元々の性格なのか、かなりおしゃべりだ。

 そんな雑談をしながら歩いていると、すぐに城壁へと着いてしまった。
 入壁の名前はルイーザが代筆してくれた。さすがに情けない。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ギルドまでの道筋で、ある程度の貨幣価値は把握できた。
 単位はギルで、肉の串焼きが30ギル、食堂での1食が50~100ギル、宿での素泊まりが200~300ギルと、1ギル10円くらいの価値らしい。
 貨幣は1ギル銅貨、10ギル角銅貨、その後は銀貨、金貨と続くみたいだ。最高額は10万ギル角金貨で、角貨というのは四角い硬貨を指す。もっと高額の白金貨とか魔法紙幣とかもあるらしいが、3人とも見たことが無いくらいに縁のない存在だそうな。
 角金貨はもとより、金貨だけでも10万円相当の価値だ。シンジが200枚くらい持っていることは内緒にしておけと、キツく言い渡されている。
 ちなみに入壁税の200ギルは、ジミーが立て替えてくれた。金貨を出すなというお達しからだった。実は言いそびれているだけで、銅貨も銀貨もそれなりにあるのだが、今は頼っておこうとシンジは思っている。

 さて、文字については覚え易そうではある。
 商店や露店の看板や広告表示を見る限り、言葉の発音のままに30種ほどの文字で表しているようだ。同音異義語や固有名詞などの特別な単語に関しては、単語に記号を付けて読み分けしている感じだった。
 シンジにとってみれば、発音記号付きのローマ字で表記しているようなものである。

(この程度の読み書きが出来なかったオーリィって一体‥‥)
(バカですまん)

 さて、冒険者ギルドに着いた。

「良いんだな? 俺たちのチームで」
「ああ、事情を知っている君らがフォローしてくれるなら、僕としてもありがたい」

 ジミーの確認に笑顔で応えると、ジミーも笑顔でギルド建物のドアを開いた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「名前はシンジ、年齢は皆と同じ16で良いや、武器は、剣‥‥っと」
「すごい! もう文字が書けるようになってるなんて!」
「まだ難しい言葉は無理だけどね。チーム名って何だっけ?」

 シンジは魔法使いの少女ルイーザに付き添われ、ギルドのカウンターで登録用紙を記入していた。
 できるだけ項目は埋めるように言われたが、出身地とかはさすがに書けない。

「チーム名は夜明けの星、よ」
「夜明けの‥‥星、これで大丈夫?」
「ああ、星はね、こう書くの」
「なるほど、これで星って読み分けるんだ?」
「そういうこと」

 書き終えた用紙を受付嬢に渡すと、ボウリング玉くらいの水晶球を差し出される。

「これに手を当てて、魔力を流して下さい」
「何、これ?」
「私も良く知らないけど、これで種族とか犯罪歴とかわかるんじゃなかったかな?」
「そうです、申込書に虚偽の項目が無いか、調べるものです」

 受付嬢がさあ、と促すのでシンジは観念して手を置いた。
 まさかこれで、元はスライムだとバレたりしないよな?、とか不安を感じたが、特に何もなかったようだ。流すも何も、手を置いたとたんに強引に何か吸われた感覚だったが。

「はい、結構です。それではカード発行まで、しばらくお待ち下さい」
(良かった~~~、どういう仕組みかは知らないけど、人間で通ったみたいだ)

 とかシンジが安心していたら。

「シンジ様、カード発行に際し、ギルド支部長との面談を行っていただけますか?」

 やっぱりダメだったみたいです。
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