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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 01-04
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「変も何も、どこか変わったの?」
心底不思議そうな返答に、風葉の思考はフリーズする。
「変、わって、ない?」
「うん。綺麗な黒髪じゃないの。うらやましいよホント」
くしゃりと。『黒髪』と言い切った風葉の頭軽くを撫でた後、泉は改めて鏡へと向き直る。
「何だか知らないけど、とりあえず顔洗ったら? よだれの跡もついてるしさ」
「えっ!?」
慌てて風葉は鏡を振り返る。が、いくら眺めても口元にそんな跡はついていない。
ようやくそれが冗談だということに気付いたのは、泉が洗顔を終えた頃だった。
「……もう、ちょっと泉!?」
「はっはっは! 一足遅かったな明智くん!」
手を振りながら洗面所を出て行く泉。
その後ろ姿を見送ってしまった風葉は、気を取り直しながら蛇口と首を捻った。
次いで改めて鏡を、自分自身を見つめる。
「泉には、黒く見えてた、ってことなの?」
鏡に映った銀色に戸惑いながらも、風葉はとりあえずヘアバンドを取り出し、いつも通りのポニーテールに結わえた。
◆ ◆ ◆
同じ頃、廊下を歩く泉も似たような怪訝顔をしていた。
「なーんか変だったなぁ、風葉」
つぶやき、泉は何となく自分の手を見つめる。サラサラした髪の感触は、まだ少し指先に残っていた。
うらやましい触り心地だったのでついからかってしまったが、当の風葉はその髪を妙に気にしていた。
だが、変わったところは何もなかった。いつも通りの『黒髪』だったはずだ。
「うーん。何なんだろ?」
それは独り言。特に意味は無い、誰に言うでもない、ぼそりと漏れた疑問の欠片。
だが。
「知りたいですかぁ?」
それに。誰かが答えた。
「えっ!?」
驚いて振り向く泉。だが廊下を見渡しても、窓の外を眺めてみても、誰もいない。
いない、はずだ。
「……はは、は。空耳、だよね?」
そっち系の話が苦手な泉は、半ば自分へ言い聞かせるように独りごちる。
だが。
その肩を、誰かが叩いた。
心底不思議そうな返答に、風葉の思考はフリーズする。
「変、わって、ない?」
「うん。綺麗な黒髪じゃないの。うらやましいよホント」
くしゃりと。『黒髪』と言い切った風葉の頭軽くを撫でた後、泉は改めて鏡へと向き直る。
「何だか知らないけど、とりあえず顔洗ったら? よだれの跡もついてるしさ」
「えっ!?」
慌てて風葉は鏡を振り返る。が、いくら眺めても口元にそんな跡はついていない。
ようやくそれが冗談だということに気付いたのは、泉が洗顔を終えた頃だった。
「……もう、ちょっと泉!?」
「はっはっは! 一足遅かったな明智くん!」
手を振りながら洗面所を出て行く泉。
その後ろ姿を見送ってしまった風葉は、気を取り直しながら蛇口と首を捻った。
次いで改めて鏡を、自分自身を見つめる。
「泉には、黒く見えてた、ってことなの?」
鏡に映った銀色に戸惑いながらも、風葉はとりあえずヘアバンドを取り出し、いつも通りのポニーテールに結わえた。
◆ ◆ ◆
同じ頃、廊下を歩く泉も似たような怪訝顔をしていた。
「なーんか変だったなぁ、風葉」
つぶやき、泉は何となく自分の手を見つめる。サラサラした髪の感触は、まだ少し指先に残っていた。
うらやましい触り心地だったのでついからかってしまったが、当の風葉はその髪を妙に気にしていた。
だが、変わったところは何もなかった。いつも通りの『黒髪』だったはずだ。
「うーん。何なんだろ?」
それは独り言。特に意味は無い、誰に言うでもない、ぼそりと漏れた疑問の欠片。
だが。
「知りたいですかぁ?」
それに。誰かが答えた。
「えっ!?」
驚いて振り向く泉。だが廊下を見渡しても、窓の外を眺めてみても、誰もいない。
いない、はずだ。
「……はは、は。空耳、だよね?」
そっち系の話が苦手な泉は、半ば自分へ言い聞かせるように独りごちる。
だが。
その肩を、誰かが叩いた。
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