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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 13-05
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ギノアは行方不明という形で世間から隔離され、眠らされていた。そして数十年ものあいだ、ひたすら霊力を充填させられていたのだ。
用途は、今まで戦った通り神影鎧装オーディン・シャドーの起動及び運用。
立案者は背後にいるであろう、凪守に敵意を抱く黒幕の差金。今叫んだサトウとやらが関係者だろうか。
「……気の長い事を」
毒づく辰巳。だが実際のところ、数十年単位で実行される計画というものは、そう珍しくもない。高位の魔術師とは、ギノアのように生命のあり方が常人とは逸脱している場合が多いのだ。
そうした連中に、ギノア・フリードマンは利用されているのだろう。
恐らくは、今この瞬間でさえも。
「あ、が、ああああああァァァァ!」
力の限りに、怒りの限りにギノアは叫ぶ。
マントの裾から、甲冑の隙間から、噴出する霊力が嵐のごとく渦を巻く。
術式を介さずとも空気を撹拌するそれは、もはや存在自体が一個の暴力だ。
その暴力が天を衝く一振りの長槍――グングニルへと収束。
ゆらりと、切っ先がレツオウガを捉える。
「受けてもらいますよ、レツオウガ……私が、私の、全ての怒りを――ッ!」
轟。
台風の如き、凄まじく膨大な霊力を纏うオーディン。
全てのものを吹き飛ばす、烈火のごとき怒りの具現。
気を抜けばよろめいてしまいそうな烈風に、風葉はうろたえる。
「ちょ、ちょっと!? なんでこっちに怒りが向くの!?」
「さぁな。気紛れと抽選くじなんてのは、どこに当たるか分からんもんだろ」
などと言いつつ、薄々察しはついていた。
死霊術師ギノアの本体である髑髏。あれには何かの機械、恐らく制御装置が取り付けられていた。
用途はギノアの霊力と、何より人格を操るためだろう。
そう考えれば、ギノアの今までの行動に色々と合点がいく。
縁もゆかりもない日本の日乃栄高校に、いきなり現れた事。あらゆるリスクを無視し、迷いなく凪守に戦いを挑んだ事。
彼は、ギノア・フリードマンは、本当に鉄砲玉だったのだ。
「となると、校庭で拾ったあの欠片は――」
あれも、十中八九ギノアの骨だろう。恐らく制御装置をつける時、削り落とした部分の。
用途は、今まで戦った通り神影鎧装オーディン・シャドーの起動及び運用。
立案者は背後にいるであろう、凪守に敵意を抱く黒幕の差金。今叫んだサトウとやらが関係者だろうか。
「……気の長い事を」
毒づく辰巳。だが実際のところ、数十年単位で実行される計画というものは、そう珍しくもない。高位の魔術師とは、ギノアのように生命のあり方が常人とは逸脱している場合が多いのだ。
そうした連中に、ギノア・フリードマンは利用されているのだろう。
恐らくは、今この瞬間でさえも。
「あ、が、ああああああァァァァ!」
力の限りに、怒りの限りにギノアは叫ぶ。
マントの裾から、甲冑の隙間から、噴出する霊力が嵐のごとく渦を巻く。
術式を介さずとも空気を撹拌するそれは、もはや存在自体が一個の暴力だ。
その暴力が天を衝く一振りの長槍――グングニルへと収束。
ゆらりと、切っ先がレツオウガを捉える。
「受けてもらいますよ、レツオウガ……私が、私の、全ての怒りを――ッ!」
轟。
台風の如き、凄まじく膨大な霊力を纏うオーディン。
全てのものを吹き飛ばす、烈火のごとき怒りの具現。
気を抜けばよろめいてしまいそうな烈風に、風葉はうろたえる。
「ちょ、ちょっと!? なんでこっちに怒りが向くの!?」
「さぁな。気紛れと抽選くじなんてのは、どこに当たるか分からんもんだろ」
などと言いつつ、薄々察しはついていた。
死霊術師ギノアの本体である髑髏。あれには何かの機械、恐らく制御装置が取り付けられていた。
用途はギノアの霊力と、何より人格を操るためだろう。
そう考えれば、ギノアの今までの行動に色々と合点がいく。
縁もゆかりもない日本の日乃栄高校に、いきなり現れた事。あらゆるリスクを無視し、迷いなく凪守に戦いを挑んだ事。
彼は、ギノア・フリードマンは、本当に鉄砲玉だったのだ。
「となると、校庭で拾ったあの欠片は――」
あれも、十中八九ギノアの骨だろう。恐らく制御装置をつける時、削り落とした部分の。
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