明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄

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心霊探偵はエレガントに〜karma〜

心霊探偵と心霊刑事/11

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 現実に戻ってきた国立はまったく想像がつかず、ただつぶやいた。

「朝、夜、昼……? お前さんみてえに、デジタルじゃねえからよ。わかりやがらねえ」

 今朝、執事に仕掛けた罠の構造と同じかもしれないと思いながら、全てを記憶するデジタルな頭脳で、崇剛は簡単にやってのけた。

「ひとつひとつの事実をバラバラにして、組み立て直します。すると、一通りだけ、筋の通った並びがあります」

 国立は返事が返ってこないことを承知で、自問自答する。

「どれがどうだ?」

 真の回答を聖霊師はさけてゆく。

「こちらから読み取れること……。そちらは、恩田 元が全ての原因である、という可能性が非常に高いです」

 短くなった葉巻の吸殻を灰皿へ投げ入れ、国立は新しいミニシガリロの巻き目をグルグルと回しながら堪能する。

「『返して……』は命、人生のことだろ。それを、恩田は奪ったっつうことだ。そうなっと……」

 あのおどおどして、嘘ばかりついてくる男は、過去世で人を殺したのだ。しかし、矛盾点が探偵と刑事の中でぽっかりと浮かび上がった。

「ですが、少々おかしいですね」
「だな」

 崇剛と国立はいつの間にか、切り立った崖の上に並んで立っていた――。

 少し離れた崖の上で、元が大鎌を持った悪魔に蹴りつけられ、谷底へと落ちてゆこうとする。

 それでも何とか、元は手で地面にしがみつき、少しずつガラガラと瓦礫が落ちていく。

 崇剛は手をあごに当てたまま、茶色のロングブーツで斜面を右に左に落ち着きなく歩いた。

「転落現場は一ミリもずれていない。そちらから見てとれるのは、恩田 元に罪を着せようとしている人間がいる可能性が高いです。そちらから考えると、夢の順番を正しいまま見せれば、恩田 元の逮捕には近づきます」

 大鎌を持った悪魔は元の足元に突然現れ、浮いたまま、自ら落としたはずの哀れな男を安全な場所へと持ち上げるのだ。

 完全に地面に立ったところで、悪魔はまた元の腹へ蹴りを入れて、谷底へ突き落とそうとするのだ。

 突然吹いてきた強風が谷間を咆哮する。一瞬目を伏せた崇剛と国立の前で、また元は地面の上へ助けられている。

「しかし、順番を入れ替えているとすると、混乱させるために入れ替えているという可能性が出てきます。恩田 元の事件を解決できないようにしている……という可能性も出てきます」

 海で溺れそうで溺れないのと、いい勝負で、落ちそうなのに落ちることができないのも、難儀だと思いながら、国立は乾いた風に声をしゃがれさせた。

「時間稼ぎ……てか? どいつが何のために?」

 石臼で挽いたようなじりじりという足音がしていたが、崇剛の優雅な声で一気に、聖霊寮の応接セットへ意識が戻ってきた。

「これ以上は言えませんよ。こちらには結界が張ってありませんからね。邪神界に簡単に情報漏洩してしまいます」

 のらりくらりと交わしてきやがって――。国立はドスのきいた声で、聖霊師に末恐ろしい提案をした。

「てめえ、牢屋に入れてやっか? あそこには結界張ってあんぜ」

 そこで白状しろというのだ、刑事は。それなのに、崇剛は涼しい顔をして、しれっと了承する。

「えぇ、構いませんよ」

 何が起きても、全てを記憶する頭脳で、崇剛は言い逃れてゆくのだった。

(正神界の私を、牢屋へ入れることはできません。いくら、法整備の行き届いていない聖霊寮でも、そちらの決まりはあります。さらに、次の私の言葉がオチです――)

 ビーチフラッグのように、砂浜をふたりで駆け抜けて、笑いの落ちという旗をスライディングしながらつかんでやろうと、密かに楽しんでいたのだった。

 国立は口の端でニヤリとしながら、

「早く話進めやがれ」

 フラッグを勝ち取った崇剛は、手厳しいツッコミをした。

「今話を脱線させようと誘導したのは、四個前のあなたが言った『どいつが何のために?』ではありませんか。私ではありませんよ」

 理論派のツッコミだなと、国立は苦笑して、速やかに話を戻した。

「関係者が他にもいるってか?」

 振り出しに戻るどころか、海底深くへ沈んでしまったような事件。

「…………」
「…………」
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