幽霊と神様にこんにちは

明智 颯茄

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占い師――霊能者となる前に

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 霊感を持ち、見えたり聞こえたりすると、他の人の守護霊や守護神の姿に出会うことがある。

 こんな感じで見える。物質界にいる他の人と話していると、その背後に人が立っているのである。視線も合うし、自分をうかがうような仕草もされる。

 例えて言えば、仲のいい友達や恋人とふたりきりの世界で話しているのに、他の人が一緒に話に混じっているという感じである。

 人によっては、非常に落ち着かないのではないだろうか。そういうわけで、霊感を使う前に、以下のことを学ぼう。霊感を使わない。つまり、見ない聞かないすべを手に入れる。

 スキーやスノーボートを習う時、最初に止まり方や転び方を教わる。進み方ではない。それと同じで、まずは霊感の止め方を学ぼう。

 それから、こういうことも起きる。人の心の声――本音が聞こえてくるようになる。実際の音声とは別に、心の話し声が同時に聞こえてくる。

 おそらく自身で身に覚えがあると思うが、人はどこかで思っていることと違うことを口にする。つまりは嘘をつく。誰かを想ってつく嘘は構わないが、そうではなく、自身をごまかし、相手を利用しようとつくことのほうが、現実でははるかに多い。

 こんなに人は嘘をついているのかと驚くほど、この現象は起きている。これでは人間不信になってしまうだろう。だからこそ、見ない聞かないというすべを手に入れることが大切なのである。

 感覚的な問題だが、脳の左後ろで物事を見ないようにする。霊感がなかった時の自分へ戻るだけである。

 それでは次の注意点である。

 知らぬがほとけ――

 こんな言葉がある。幽霊や神様の世界や話には、聞かなくてよかったと後悔するような非常に厳しい真実がゴロゴロと転がっている。

 これを聞いてしまったがため、精神的にんでしまったり、人間不信におちいることもあるので、他人のために霊感を使うとどんなことが起きるのか、体験談を交えながら、具体的に話していこう。

 それから、これは霊感を持っていなくても、人に何かをアドバイスする時の当たり前の注意事項である。こんな言葉をご存知だろうか。

 過去と人の気持ちは変えられない――

 起きてしまった過去は神様でも変えられない。
 人の気持ちはどうだろうか。あなたがいい話を知って、誰かにそれを教えたする。その人がいい話を実践したとする。ここで勘違いをしてはいけない。

 あなたがその人の気持ちを変えたのではないということだ。その人はあなたのアドバイスを聞いて、他の選択肢と並べ考えた末に、あなたのアドバイスを採用した――すなわち、その人が自身で選び、自身で気持ちを変えたのである。

 人は皆平等で、誰かを従わせたりはできないものだ。もし、何らかの形で、相手の気持ちを変えたいと望んでいるのなら、そのような自己中心的な考え方はすぐにやめよう。

 なぜあの人は自分に振り向かないのかと、なぜあの人は自分の言うことを聞かないのかと、ヤキモキしイライラするという苦しみからすぐに抜け出そう。振り向かない、言うことを聞かないのが当然なのだから。

 ここを間違ってしまうと、親切のつもりでしていることが、迷惑でしかなくなってしまう。世の中にはスピリチュアルの話をまったく信じていない人もいる。先ほどの人の気持ちを変えられないという法則を使うと、話を聞く気のない人に話すだけ、時間と労力の無駄である。

 知りたいと思っている他の人に伝えたほうが、よほど世のため人のためになるだろう。

 霊感を持っていると、見えない人が気にならないことが、気になるものである。とにかく、目の前にいる他の人たちは、少なくとも実際の二倍、三倍となっているのだから。

 それでは、ここから筆者の体験談である。

 筆者はバーによく行く。一人で行くので、席はカウンターになる。混んでくると、すぐ隣の席に初対面の人が座る。

 駅のホームや病院なので、隣の席に座るという同じシチュエーションになっても、なかなか話をかけたりまではいかないのではないだろうか。

 しかし、バーはお酒が入るので、隣の人と話すことがかなり高い確率で起きる。すると、こんな出来事が多発するのだ。

 話の流れで、霊感を持っていると伝えると、ぜひ占って欲しいと頼まれる。了承するかどうかは、自身の判断で行おう。

 人それぞれ知っている霊的な世界が違うため、自身が思ってもみない相談事を振られることもある。

 例えば、オーラを見てください。などである。前の章でも書いたが、霊感とは見る周波数が違うだけだが、普段から練習しておかないと、答えることはできない。

 霊感とひとえに言っても、様々な捉え方、見方があるので、人を占う前にはきちんとした勉強が必要である。

 それでは次の体験談である。
 バーカウンターで隣の席に座っている人の、守護神に声をかけられた。

「あの~」
「はい?」

 守護されている人には素知らぬふりをして、心は神様と話を始める。

「本人に伝えたいことがあるのですが、なかなかうまく伝わらないんです」
「はい……」
「どうか、間を取り持って、本人に伝えていただけませんか?」 

 そういうわけで、神様に通訳を頼まれることがある。自身の守護神からの指示でないので、断ることもできる。これは厄落としではないからだ。

 それでは受けたとしよう。問題が出てくる。

 まずひとつ目。
 隣の人とは初対面。
 神様とも初対面。

 初対面の人と話す時、緊張すると思う。仲間内や家族なら、多少言葉を適当でも、ニュアンスという慣れで通じる。しかし、初対面の人はそうはいかないだろう。

 自身の守護霊や神様と、霊視の仕方と勝手が違うことが起きる。神様の伝え方や言葉の使い方が違うなどだ。世の中には私たちの価値観では計り知れない、色々な神様がいる。そういうわけで、話し方も違って当然である。

 まずはこれを心得ておこう。つまりは、聞き取りづらく、非常に精神的に疲れる作業となる。

 次に霊視をして、隣の席に座っている人の神様から話を聞く。ここでも、既成概念を入れずに、隣にいる人の人生に何が起きているのかを、視野を広くして聞き入れる必要がある。

 全て聴き終えた時が一番のヤマ場となる。守護をされている人の、人となりを見ることをしないといけない。聞いたこと全てをそのまま伝えると、人によっては厳しい内容で受け入れることができず、その後の人生が大きく狂ってしまう。ここは細心の注意が必要となる。

 別の章で紹介するが、人を見る目を養わないといけない。

 話す内容と、伝えない内容を決め、その人に声をかける。

 ここまでのやり取りでは、守護される人はまったく入っていない。つまり、自分のことを話されているとは、本人は知らないのである。

 知らない人に話しかける手順でまず話そう。まずはたわいのない会話をする。少しずつ本題へと入り、先ほどの応用で、決して相手の心を変えようとはしない。たとえ、神様から通訳が頼まれていても、変えるかどうかは本人次第である。

 大抵は気のない返事を返される。守護されている人間からしてみれば、自身で頼んだことでもない。たまたま隣に座った人間が言ったことである。重要だと判断しない可能性が非常に高い。

 守護をしている神様が言っているから、こうしろ。と命令するような言動は決して取らないようにしよう。たとえそれが正しいことだとしても、選択の自由はその人にある。選ぶも選ばないも、その人の責任である。

 『正しい』は悪に属する言葉だということを思い出そう。

 冷たい言い方かもしれないが、その人の人生がスムーズに進むかどうかは、占う人間の人生にはほとんど関係ないのである。仲良くなるのなら話は別だが、占いという場所は、人生の素通りに近いからだ。

 あくまでも、いろいろな考え方がある中での、ひとつであるというアドバイスをする気持ちで伝えよう。

 その人がその後どうなったかは気になるものだが、本人が言ってこない限りは、それはそれとして脇へ置くという気持ちの切り替えも、とても大切である。
 気持ちの切り替えは、他にも重要な意味があり、次の章で詳しく話そう。

 それでは、次は霊感を使って、過去世を見る時の注意点である。
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