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一緒かバラバラか
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今日の夕飯はトマトパスタ。
光命と話していると、子供たちふたりが夕飯の皿を持って、口のまわりを太陽みたいなオレンジ色にしてやってきた。
「ママ、食堂と違う場所で食べたい」
と言うのだ。
ちょうどその時、思い出したのだ、もう15年も前のことを。
恐れ多いが、陛下のお宅の食事は、いただきますは全員一緒だが、その後は好きな子同士で、好きな場所で食べる。それが当たり前だったなと。
だが、我が家は5歳児だけで40人もいる。言葉を話す子を入れたら、それ以上だ。
当然、反対意見があるはずだ。
「みんなに言ってみたら?」
「わかった!」
今のところ、食堂でみんなそろってご飯なのだ。チビよ、早く戻れ。である。
そうして、家族会議。
結局、一緒がいいと言う子供と別々に食べたい子供に分かれた。
食後に、策羅が膝の上にやってきた。
「ママ、どうしたら叶えられるかな?」
「そうだね~。1人でも一緒に食べたいって子がいたら、別々に食べるはできないよね?」
「う~ん……?」
だからと言って、別々に食べたいという子供の自主性を摘み取るのもいかがなものかと思う。
というか、旦那さんたちはこの問題を知っているはずである。一緒に夕飯を食べたのだから。子供たちに何も言っていないということは、考えがあるのだろう。
そう思って、策羅には、
「どうしたら、両方の意見を叶えられるか考えてみよう」
私と蓮は、厳格な明智の家で育ったので、当然、全員一緒である。どこか行こうものなら、叱られたのだった。
いい機会である。
他の旦那さんたちはどうなのかと思って、聞いてみた。
光命。
「私の家は全員そろってでしたよ」
わかる~! 光さんちお行儀いいもんね。紅茶じゃなくて、『お』紅茶だもんね。
夕霧命。
「うちは全員そろってだ」
わかる~! 夕霧さんちもお行儀いいもんね。武道家をやってるけど、上品なんだよね、基本的に。光さんと夕霧さんって、口調が違うだけで、言っていることと価値観同じなんだよね。
焉貴。
「うちは全員一緒」
やっぱり。焉貴さん、実家も兄弟多いけど、田舎だから家族の絆が強いんだろうなぁ。
月命。
「僕の家は変則的でしたよ」
お! やっぱり違う人がいた!
父親が指示を出して、それに家族が従うだったらしい。
孔明は仕事中で外出しているので、一番最後に回す。
明引呼。
「うちはバラバラだったぜ」
兄貴のフリーダムさが思いっきり出てる。のびのび育ってるもんなぁ。放任主義だったみたいだし。
貴増参。
「僕の家はその時次第です」
なるほど。集まりたければ、一緒。バラけたいのだったら、それぞれで食べるか。
独健。
「うちは一緒だった。両親が厳しかったからな」
家柄があったからね。わかる、わかる。
張飛。
「うちは一緒だったっす! 人数少ないっすからね」
5人家族なら、意見もまとまりやすいもんね。
ということで、最後に孔明。
誰かが電話をかけてくれた。
「倫ちゃん、どうしたの?」
理論派の大先生にこんなことを、感覚の妻は言ってしまうのである。
「一緒かバラバラかなんだけど……」
「倫ちゃん、順番おかしい」
即行突っ込まれた。その後きちんと話を順番立ててして、孔明の反応を待った。すると、こう返ってくるのである。
「それで、答えは?」
大先生にはバレているのである。私の中で、いい案があると。
「曜日決めて、一緒の日とバラバラの日を作る」
「どうして言わないの?」
旦那さんたちの意思を、妻はわかっている。
「この先も同じような問題が起きるでしょ?」
「そうかも?」
「だから、これを機に子供たちに解決方法を自分で学んでいただこうかと……」
「ふふっ」
春風みたいな柔らかな笑い声が、電話の向こうから聞こえてきた。孔明も賛成らしい。
「孔明さんはどうだったの?」
「ボクは一緒だったよ」
そんな話をしていると、ドアの向こうの廊下に小さな人が立った。
「ママ! わかった!」
「誰?」
「策羅!」
ニコニコしながら、部屋に入ってきた。
「どうするの?」
「ママがやってる、みんなと眠る日があるでしょ? あれと同じで日付決めればいい」
いいね。いい感じだ。
ママはそう思いながら、次の指示を出す。
「じゃあ、みんなに今から集まってもらって、提案しないとね」
「わかった!」
旦那さんたちもドアから出てゆく。ビデオ電話にしてある携帯も、一緒に持っていかれる。
そんな中で、さっきから私の膝の上に乗っていた焉貴が言うのだ。
「お前、1人で大丈夫?」
「大丈夫」
私は基本的に食堂には行けないのだ。誰かが来るまでは、どうなったのかはわからない。
しばらくすると、策羅が戻ってきた。
「火曜日と木曜日に、バラバラで食べるよ」
ということで、新しい食卓の囲み方が始まるようだ。
2019年7月28日、日曜日
光命と話していると、子供たちふたりが夕飯の皿を持って、口のまわりを太陽みたいなオレンジ色にしてやってきた。
「ママ、食堂と違う場所で食べたい」
と言うのだ。
ちょうどその時、思い出したのだ、もう15年も前のことを。
恐れ多いが、陛下のお宅の食事は、いただきますは全員一緒だが、その後は好きな子同士で、好きな場所で食べる。それが当たり前だったなと。
だが、我が家は5歳児だけで40人もいる。言葉を話す子を入れたら、それ以上だ。
当然、反対意見があるはずだ。
「みんなに言ってみたら?」
「わかった!」
今のところ、食堂でみんなそろってご飯なのだ。チビよ、早く戻れ。である。
そうして、家族会議。
結局、一緒がいいと言う子供と別々に食べたい子供に分かれた。
食後に、策羅が膝の上にやってきた。
「ママ、どうしたら叶えられるかな?」
「そうだね~。1人でも一緒に食べたいって子がいたら、別々に食べるはできないよね?」
「う~ん……?」
だからと言って、別々に食べたいという子供の自主性を摘み取るのもいかがなものかと思う。
というか、旦那さんたちはこの問題を知っているはずである。一緒に夕飯を食べたのだから。子供たちに何も言っていないということは、考えがあるのだろう。
そう思って、策羅には、
「どうしたら、両方の意見を叶えられるか考えてみよう」
私と蓮は、厳格な明智の家で育ったので、当然、全員一緒である。どこか行こうものなら、叱られたのだった。
いい機会である。
他の旦那さんたちはどうなのかと思って、聞いてみた。
光命。
「私の家は全員そろってでしたよ」
わかる~! 光さんちお行儀いいもんね。紅茶じゃなくて、『お』紅茶だもんね。
夕霧命。
「うちは全員そろってだ」
わかる~! 夕霧さんちもお行儀いいもんね。武道家をやってるけど、上品なんだよね、基本的に。光さんと夕霧さんって、口調が違うだけで、言っていることと価値観同じなんだよね。
焉貴。
「うちは全員一緒」
やっぱり。焉貴さん、実家も兄弟多いけど、田舎だから家族の絆が強いんだろうなぁ。
月命。
「僕の家は変則的でしたよ」
お! やっぱり違う人がいた!
父親が指示を出して、それに家族が従うだったらしい。
孔明は仕事中で外出しているので、一番最後に回す。
明引呼。
「うちはバラバラだったぜ」
兄貴のフリーダムさが思いっきり出てる。のびのび育ってるもんなぁ。放任主義だったみたいだし。
貴増参。
「僕の家はその時次第です」
なるほど。集まりたければ、一緒。バラけたいのだったら、それぞれで食べるか。
独健。
「うちは一緒だった。両親が厳しかったからな」
家柄があったからね。わかる、わかる。
張飛。
「うちは一緒だったっす! 人数少ないっすからね」
5人家族なら、意見もまとまりやすいもんね。
ということで、最後に孔明。
誰かが電話をかけてくれた。
「倫ちゃん、どうしたの?」
理論派の大先生にこんなことを、感覚の妻は言ってしまうのである。
「一緒かバラバラかなんだけど……」
「倫ちゃん、順番おかしい」
即行突っ込まれた。その後きちんと話を順番立ててして、孔明の反応を待った。すると、こう返ってくるのである。
「それで、答えは?」
大先生にはバレているのである。私の中で、いい案があると。
「曜日決めて、一緒の日とバラバラの日を作る」
「どうして言わないの?」
旦那さんたちの意思を、妻はわかっている。
「この先も同じような問題が起きるでしょ?」
「そうかも?」
「だから、これを機に子供たちに解決方法を自分で学んでいただこうかと……」
「ふふっ」
春風みたいな柔らかな笑い声が、電話の向こうから聞こえてきた。孔明も賛成らしい。
「孔明さんはどうだったの?」
「ボクは一緒だったよ」
そんな話をしていると、ドアの向こうの廊下に小さな人が立った。
「ママ! わかった!」
「誰?」
「策羅!」
ニコニコしながら、部屋に入ってきた。
「どうするの?」
「ママがやってる、みんなと眠る日があるでしょ? あれと同じで日付決めればいい」
いいね。いい感じだ。
ママはそう思いながら、次の指示を出す。
「じゃあ、みんなに今から集まってもらって、提案しないとね」
「わかった!」
旦那さんたちもドアから出てゆく。ビデオ電話にしてある携帯も、一緒に持っていかれる。
そんな中で、さっきから私の膝の上に乗っていた焉貴が言うのだ。
「お前、1人で大丈夫?」
「大丈夫」
私は基本的に食堂には行けないのだ。誰かが来るまでは、どうなったのかはわからない。
しばらくすると、策羅が戻ってきた。
「火曜日と木曜日に、バラバラで食べるよ」
ということで、新しい食卓の囲み方が始まるようだ。
2019年7月28日、日曜日
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