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髪を編む

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 髪の法則は以前書いたが、旦那さんたちの髪型と長さは基本変わらない。髪を切る店はあるにはあるのだが、平均的に1週間で元の長さに戻ってしまうらしい。

 それを含めて、個性なのだ。

 旦那さんたちで、髪が一番長いのは、孔明である。
 いつも、頭の高い位置で結わいている。いわゆるポニーテールだ。それでも、腰まで長さがある。解いているところを見たことなどない。眠る時ぐらいだろうか。

 髪を編む――

 孔明の髪を編む、なのだが、1人だけでするのではなく、別の人の髪を一緒に編み込むということだ。

 最近しなくなったが、前はよく、孔明は私のそばに来て、起用に自分の髪と私のそれを三つ編みにするのである。できあがると、春風みたいに柔らかな声で、

「これで、倫ちゃんとずっと一緒だね」

 十分な長さがあるので、普通に隣に座っている距離でも、一緒に編み込めてしまう。というか、

 これは何ですか!
 エロすぎだ、髪を一緒に編むこむなんて……。
 もう、るなすさんのスカートめくるだけじゃ足りなくて、妻の髪に手をかけて……。

 だが、髪の長い旦那はまだいる。申し合わせたように、というか、光命ひかりのみことは絶対に私のそばにくるので、孔明は鎖みたいにつながった髪のまま、振り返って、

「光、同じことやる?」
「えぇ」

 光命が優雅にうなずいてから、私は気づいた。

 光さん、孔明さんより全然髪が短いじゃないですか!
 肩より10cm下しか長さがない。
 それで編んだら……!
 
 孔明は鼻歌を歌いながら、

「♪~~」

 反対側に編み込んでゆく。そうして、すぐに、右に孔明のまま、左に光命になった。
 
 距離めちゃ近い!
 ちょっとでも振り向いたら、頬が触れそうだ。
 さらにエロ度が増して――

「おや~?」

 申し合わせたように、もうひとりの髪の長い夫――月命るなすのみことがやって来た。

るなすも編んであげる」

 髪を編み込まれるなど、負けるの大好きな月命にとっては、至福の極みなのである。リボンをすっと抜き取って、そこらへんにいる綺麗なお姉さんなんか顔負けの、髪の振りほどきをして、私の背後の髪と編み込まれてゆく。孔明の陽気な鼻歌とともに。

「♪~~」

 あっという間に、三方を旦那に囲まれるという拘束に見舞われたが、ちょうどプロット書きで、妻はPCの前から動けない。
 
 孔明は私の部屋の本棚の本を、すべて頭の中に記録している。
 月命は絵本を読む。仕事熱心だ。子供たちへの影響と、子供たちと話ができるように、努力を怠らない。
 そうして、光命は――!

 夕霧命が修業から帰ってきた。妻が3人の夫に髪を編み込まれているという、おかしな状況も眼中になく、一点集中で光命の前にやって来て、

 甘くとろけるようなキス――

 をし始めた。
 というわけで、妻が動くと、夫4人がもれなく一緒に動くになったのだった。

 取ればいいと思うかもしれないが、どうやって編んでいるのか、取れないのだ。

 最近、孔明は髪を編まなくなった。何だか物足りないのである。
 しかし、これも大先生の罠だったのかもしれない。妻を恋に落とすための策だったのかもしれない。

 2019年8月1日、木曜日
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