21 / 22
19処刑
しおりを挟むシュッツが強姦されしばらくたった頃、シュッツは王様に呼ばれていた。
広い王室の玉座に座る王と跪くシュッツ。
目の前の王が何を言ってくるのかだいたい検討がついており、シュッツは珍しく青ざめている。
「ウルフは処刑だ」
長々あった前置きは全く耳に入ってこなかったが、この言葉だけはハッキリと聞こえ頭に入ってきた。
そして想像通りの答えに、シュッツは思わず声をあげる。
「待ってください王様!ウルフは……ウルフは……」
「シュッツ、貴様は魔族に魅了されているだけだ。目を覚ましなさい」
「そんな……違います!」
反論できずに、ただただ焦るシュッツ。
どうして良いかわからず握りこぶしをキツく結ぶ。と、その時、王室のドアが開いた。
現れた人物にシュッツは泣きそうな表情で無言で助けを求める。
「お待ちください王様」
「なんだ。団長とズークンか。珍しい組み合わせだが……一体どうしたのだ?」
「僭越ですが、ウルフの処分について申し上げたいことがございます」
団長とズークン、それと見覚えのない体格の良い男性が颯爽と王様の前に歩み寄り跪いた。
「私もウルフの処刑については反対です」
「なぜだ?」
団長の言葉に、王の眉がピクリと動く。
「なぜなら……ウルフは魔族ではなく伝説の狼族の一族だからです」
「な……なに?狼族はとても賢く強く、魔王に対抗していた一族だ。それ故、確か……魔王に滅ぼされたと聞いているが……」
絶滅したものが都合よく生き残っていたことなど有り得るのかと王は驚き考え込む。
「王様、恐れながら……」
考え込む王に、団長の後ろにいた人物が声をかける。その人物は、一昔前に騎士団長をつとめていた人物だった。
「おぉ……久しぶりだな。はは、団長時代のまま全く変わらんな。元気そうでなにより。して、ジェイドまでどうした?お主がわざわざここにくるとは……」
「私が団長をつとめていた頃の話なのですが……小さい子供が飼っていた犬が魔物だと騒ぎがありました。その際、騎士団はその魔物の討伐を任されたのです。」
「そんなこともあったな。しかしそんな簡単な任務……」
「しかし私は……その犬を逃がしました」
「なんだと!?」
どんな任務も完璧にこなしてきたジェイドの発言に、王は大きく目を見開いた。
「その犬は銀色の美しい毛並みを持ち、人に変身することが出来たのです。そのため魔族と疑われたようでした。私はその犬を見た時、魔力がないことや、人を襲う素振りが全くないことに本当に魔族なのか疑問を持ちました。同時に、私の伴侶であるクリスからも、その犬は魔族ではないと言われたのです」
「クリス……」
「当時はわからなかったのですが、クリスは魔王の兄です。同じ魔族ではないことに気づいていたのだと思います」
「魔族でないのであればやはり本当に狼族の生き残り……?」
ジェイドが嘘をつくような人物ではないのは王も重々承知している。
「王様、魔王自身も言ってました!狼族を抹消しようとしたけど逃げのびたものがいると……それがきっとウルフだったんです!子供の頃の私はそれを知らずに彼を保護しました」
シュッツはジェイドの話を聞き、慌てて補足を付け加えた。
「……すぐに判断は出来ない。時間をくれ」
果たして本当に狼族の生き残りなのか。
王は難しい判断に頭を悩ませた。
20
あなたにおすすめの小説
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
学園の卒業パーティーで卒業生全員の筆下ろしを終わらせるまで帰れない保険医
ミクリ21
BL
学園の卒業パーティーで、卒業生達の筆下ろしをすることになった保険医の話。
筆下ろしが終わるまで、保険医は帰れません。
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる