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「どう言う事だ!」
夫が私に向かって怒鳴り出す。それまで私が何を言ったのか理解出来ない様子のお2人だったが息子の怒鳴り声を聞いて我に返った。
「どう言う事だ!とはこちらの台詞だ!お前は折角娶った妻を放ったらかしにして一体何をやっているんだ!」
「そうよ、大事なお嫁さんを放ったらかしにして貴方は何をしているの!」
両親から責められ夫はタジタジだ。
「いや、そのこれには訳が・・・」
いや、訳って・・・ぷっ。あんまりにも狼狽えてるから思わず笑っちゃったわ。
あーいい気味。一体どう言ったら両親にこんな馬鹿げた話を納得して頂けるのでしょうね?精々頑張って考えなさい。
「お義父様、お義母様。わたくしなら大丈夫ですわ」
私はお茶を飲みながらそう言った。
「貴方はどこまでいじらしいの!」
そしてお義母様に抱きしめられる。
「こんなにいいおよめさんの何処が気に入らなくて屋敷に帰って来ないの?」
そしてお義母様は自分の息子である我が夫に厳しい目を向ける。
「良いんですよ、お義母様。わたくしの為に実の親子である皆様が喧嘩なさるなんて悲しいですわ」
私は目元にハンカチを当てる。
「なっ!お前!よくもそんな見え透いた嘘を!」
「黙れ!」
お義父様が立ち上がり夫の首根っこを掴みそのまま引きずるように夫を連れて行った。
「ごめんなさいね。貴方のような優しい子にこのような仕打ちをするなんて、我が息子ながら恥ずかしいわ」
「いいえ、構いません。お義母様がそう言ってくださるだけで今までの事が報われます」
私はハンカチの下でほくそ笑んだ。
夫が屋敷に帰って来ていないのは本当。
私が大丈夫だと言ったのも本当。
何一つ嘘は言っていない。身から出た錆。
私は義母様に付き添われて屋敷の中に入る。そしてお義母様と別れ自分の部屋に。
「いい気味だわ。あの男」
しばらくすると部屋をノックする音。
誰かしら?
「どうぞ」
すると扉を開けて入って来たのは夫だった。夫の頬には殴られたで有ろう痣・・・。
私はそれを見なかった事にして話し出す。
「あら、貴方がここに来るなんてどうなさったの?」
「私だって好きで来ている訳では無い!」
夫がチラリと自分の後を見る。そこにはこの屋敷の執事。
「ふっ、お義父様に謝って来い・・・とでも言われたのかしら?」
私がそう言うと夫の顔が羞恥で赤くなる。
「謝罪は結構。どうぞお引取りになって」
悪いと思っていない人間から謝られる事程無意味なことはない。私は夫に背を向ける。
「・・・お前、何故あんな事を2人に言った?」
「あんな事とは?」
私は夫を振り返る。
「私が屋敷に帰って来ていないなど!」
「本当の事よ」
部屋に一瞬の沈黙。
「・・・貴方がそんな態度ならば言わせて貰うわ。そっちこそどう言うつもりなの?」
「な、何がだ」
「何故、お2人共私達の本当の関係を知らないの?」
「別に教える必要は無いだろう」
「いいえ、必要な事よ。・・・貴方、本当にこの家を私の弟に継がせる気があるの?」
「も、勿論」
「では、何故その事をお2人は知らないの?」
「それは!・・・お前の弟に家を継がせるのはまだ先だからもうちょっと後でもいいかと・・・」
いいわけ無いでしょ。馬鹿なの?
「それよりも!お前があんな事言ったせいで私は父上に殴られたんだぞ!どうしてくれるんだ!」
「そんな事知りません」
「なにぃ!」
「貴方こそ文句を言いに来たのかしら?」
「当然だ!」
「・・・・・・屋敷に帰って来ないと言っただけでこれならば・・・。この契約書を見せたらどうなるかしらね?」
私は夫の目の前にあの契約書を突き付ける。
「よこせ!」
夫はその紙を私から奪い破り出した。
「ははは!これで契約は無しになった!」
どうだ!と言わんばかりにこちらを見てくる夫。あー憎たらしい。
「写に決まっているでしょ。本物はちゃんと信用の置ける人に預けてあるわ。ついでに言うとその時にこの馬鹿げた契約は国の神官による正式な物になったわ」
私が何も手を打たない訳無いでしょ!
「今回は契約書を見せなかっただけでも有難いと思って頂かないと・・・ね?わたくしの旦那」
そう言って微笑むと夫は膝からその場に崩れ落ちた。
「何をショック受けてるの?あんなふざけた話を持って来るような相手に私が黙って従うとでも思ったの?貴方の運命は私が握っているのよ、精々私のご機嫌をどうやって取るか考えてね」
私は夫の近くに立ち上から夫を見下ろす。
「分かったらさっさと部屋から出ていきなさい」
そう言うと今度こそ私は夫に背を向けた。
後で扉の音。やれやれやっと出ていったわ。
しかしあの男やっぱりクズだったわね。
・・・こんなものまだまだ序の口。これからもずっと仕返ししてやるわ。
私を馬鹿にした事絶対に後悔させてやる。
夫が私に向かって怒鳴り出す。それまで私が何を言ったのか理解出来ない様子のお2人だったが息子の怒鳴り声を聞いて我に返った。
「どう言う事だ!とはこちらの台詞だ!お前は折角娶った妻を放ったらかしにして一体何をやっているんだ!」
「そうよ、大事なお嫁さんを放ったらかしにして貴方は何をしているの!」
両親から責められ夫はタジタジだ。
「いや、そのこれには訳が・・・」
いや、訳って・・・ぷっ。あんまりにも狼狽えてるから思わず笑っちゃったわ。
あーいい気味。一体どう言ったら両親にこんな馬鹿げた話を納得して頂けるのでしょうね?精々頑張って考えなさい。
「お義父様、お義母様。わたくしなら大丈夫ですわ」
私はお茶を飲みながらそう言った。
「貴方はどこまでいじらしいの!」
そしてお義母様に抱きしめられる。
「こんなにいいおよめさんの何処が気に入らなくて屋敷に帰って来ないの?」
そしてお義母様は自分の息子である我が夫に厳しい目を向ける。
「良いんですよ、お義母様。わたくしの為に実の親子である皆様が喧嘩なさるなんて悲しいですわ」
私は目元にハンカチを当てる。
「なっ!お前!よくもそんな見え透いた嘘を!」
「黙れ!」
お義父様が立ち上がり夫の首根っこを掴みそのまま引きずるように夫を連れて行った。
「ごめんなさいね。貴方のような優しい子にこのような仕打ちをするなんて、我が息子ながら恥ずかしいわ」
「いいえ、構いません。お義母様がそう言ってくださるだけで今までの事が報われます」
私はハンカチの下でほくそ笑んだ。
夫が屋敷に帰って来ていないのは本当。
私が大丈夫だと言ったのも本当。
何一つ嘘は言っていない。身から出た錆。
私は義母様に付き添われて屋敷の中に入る。そしてお義母様と別れ自分の部屋に。
「いい気味だわ。あの男」
しばらくすると部屋をノックする音。
誰かしら?
「どうぞ」
すると扉を開けて入って来たのは夫だった。夫の頬には殴られたで有ろう痣・・・。
私はそれを見なかった事にして話し出す。
「あら、貴方がここに来るなんてどうなさったの?」
「私だって好きで来ている訳では無い!」
夫がチラリと自分の後を見る。そこにはこの屋敷の執事。
「ふっ、お義父様に謝って来い・・・とでも言われたのかしら?」
私がそう言うと夫の顔が羞恥で赤くなる。
「謝罪は結構。どうぞお引取りになって」
悪いと思っていない人間から謝られる事程無意味なことはない。私は夫に背を向ける。
「・・・お前、何故あんな事を2人に言った?」
「あんな事とは?」
私は夫を振り返る。
「私が屋敷に帰って来ていないなど!」
「本当の事よ」
部屋に一瞬の沈黙。
「・・・貴方がそんな態度ならば言わせて貰うわ。そっちこそどう言うつもりなの?」
「な、何がだ」
「何故、お2人共私達の本当の関係を知らないの?」
「別に教える必要は無いだろう」
「いいえ、必要な事よ。・・・貴方、本当にこの家を私の弟に継がせる気があるの?」
「も、勿論」
「では、何故その事をお2人は知らないの?」
「それは!・・・お前の弟に家を継がせるのはまだ先だからもうちょっと後でもいいかと・・・」
いいわけ無いでしょ。馬鹿なの?
「それよりも!お前があんな事言ったせいで私は父上に殴られたんだぞ!どうしてくれるんだ!」
「そんな事知りません」
「なにぃ!」
「貴方こそ文句を言いに来たのかしら?」
「当然だ!」
「・・・・・・屋敷に帰って来ないと言っただけでこれならば・・・。この契約書を見せたらどうなるかしらね?」
私は夫の目の前にあの契約書を突き付ける。
「よこせ!」
夫はその紙を私から奪い破り出した。
「ははは!これで契約は無しになった!」
どうだ!と言わんばかりにこちらを見てくる夫。あー憎たらしい。
「写に決まっているでしょ。本物はちゃんと信用の置ける人に預けてあるわ。ついでに言うとその時にこの馬鹿げた契約は国の神官による正式な物になったわ」
私が何も手を打たない訳無いでしょ!
「今回は契約書を見せなかっただけでも有難いと思って頂かないと・・・ね?わたくしの旦那」
そう言って微笑むと夫は膝からその場に崩れ落ちた。
「何をショック受けてるの?あんなふざけた話を持って来るような相手に私が黙って従うとでも思ったの?貴方の運命は私が握っているのよ、精々私のご機嫌をどうやって取るか考えてね」
私は夫の近くに立ち上から夫を見下ろす。
「分かったらさっさと部屋から出ていきなさい」
そう言うと今度こそ私は夫に背を向けた。
後で扉の音。やれやれやっと出ていったわ。
しかしあの男やっぱりクズだったわね。
・・・こんなものまだまだ序の口。これからもずっと仕返ししてやるわ。
私を馬鹿にした事絶対に後悔させてやる。
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